こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 不登校のお子さんに言ってはいけない言葉
- 不登校の親がガス抜きする方法【限界が来る前に】
- 死にたいなどのネガティブな発言への対処法
私は児童精神科や学校で不登校の親御さんとカウンセリングをしていた臨床心理士です。
親御さんと話す機会も多く、無意識にやっている親御さんの対応も知っている身です。
そんな私が解説していきます。
1.不登校のお子さんに言ってはいけない言葉
結論から言いますと、以下のようなメッセージはお子さんの心のエネルギーを減らすため言わないほうが無難です。
- 先回りした発言・行動(過干渉)
- 質問攻め
- 感情的な叱責や追求
- 他者との比較
①~④の具体例
- 「(本人が望んでないことを)~~やっておいたから」
- 「勉強した?」
- 「~~はやったの?」
- 「~~しなきゃだめでしょ?」
- 「何で言葉にできないの?」
- 「何が嫌なの?」と連発する
- 「もういい加減にしてよ!!」
- 「あの子はできてるじゃないの」
先回りして色々と口出しをしてしまうことは心のエネルギーを減らすことばの代表格と言えます。
親御さんの心理としてはお子さんに「他の子と同じように真っ当に成長して欲しい」、お子さんの気持ちを聞いて「何かしら対策をとってあげたい」につきると思います。
それ自体は愛情によるものと想像します。
一方でこのような行動は、親自身が子どもの不登校から解放されたいがためにとっている「親の不安やストレス解消行動」かもしれません。
親御さんも余裕がなく、感情的に「なぜ、なんでなの」となってしまうことも多いと思います。
それを防ぐには、親御さんご自身の精神的なケアがとても重要であり次の章でお伝えします。
このような先回りや過干渉に対して、菜花先生(2017)はお子さんを「放っておくこと」の重要性を述べています。
何も話さない息子さんへの対応として私は「息子さんを放っておきましょう」とアドバイスしました。
実は、不登校のお子さんをもつご両親に多いのが、「放っておけない症候群」です。(中略)不登校に関する相談に対して、私が差し上げるアドバイスの1位は「そんな時は放っておきましょう!」です。放っておくとは次のことを意味します。
①子どもの言動に一喜一憂するのはやめて、
②親自身がいつも笑顔でいられるように心身を健全に保ち、
③子どもを批判するのではなく、
④全力で応援し(成功しても失敗しても努力をたたえること)、
⑤子どもに幸せの手本を示すこと(あるいは、成長の手本を示すこと)放っておくことと無関心は違いますから、子どもが話さないからと言ってこちらも話しかけてはいけないというわけでは、もちろんありません。
むしろ、「応援しているよ」「何かあったらいつでも相談に乗るよ」という親の気持ちを伝えることは積極的にした方が良いでしょう。
引用元:不登校から脱け出した家族が見つけた幸せの物語
理由:なぜ先回りしたり、干渉しない方が良いのか
理由は3つです。
- 1つ目:単純に嫌な気持ちになるから
- 2つ目:本人の成長を妨げるから
- 3つ目:「登校刺激」と同じことをしているから
嫌な気持ちになって心のエネルギーが減るというのはもちろんですが、先回りは本人の成長を妨げてしまいます。
特に中学生のような第二次成長期の場合、お子さんの「自立しよう」とする気持ちが高まり、自分の行動は自分で決めたいという思いが強くなります。
そのような時に行動を指示するのはいわゆる「勉強しようとしているのに勉強しろと言われるとやる気がなくなる」と同じことがおきてしまい、やる気をそいでしまいます。
また、親御さんが先回りするとお子さんが失敗する機会が減り、失敗から学ぶ機会を奪ってしまいます。
失敗への耐性がないと、ちょっとのことで情緒不安定になり、社会性が育たず、自立を妨げることに繋がります。
行くところまで行くと、お子さんが親に対して「お前がそうしろって言ったからこうなったんだ!」と逆恨みするようになる場合もあります。
それはそれでかなり未熟な発言ですが、時々本当にそのように言うお子さんとお会いします。
こういった恨まれない方法については以下の記事を参考にしてみてください。
菜花先生(2017)も登校刺激について以下のように書いています。
覚えておいて欲しいことは「登校刺激・学習刺激」と「登校支援・学習支援」は違うということです。少し厳しい言い方になりますが、大事なことなのでハッキリ言いましょう。「登校刺激・学習刺激」は親自身のための行為です。「そろそろ学校に行った方がいいんじゃない」「ゲームばかりしてないで少しは勉強したら?」こうした声掛けは親の焦りや不安、苛立ちを子どもにぶつける行為、つまり、親のストレス発散です。
引用元:不登校から脱け出した家族が見つけた幸せの物語
不登校の親がガス抜きする方法【限界が来る前に】
お子さんに親御さんの不安をぶつけないために、最も大切なのは親御さん自身のガス抜きです。
親御さん自身のガス抜きは「お子さんへの支援の1つ」だと思ってください。自分をいたわるためにできることは、違法でなければ何でもしてあげてください。
ガス抜きの具体例
- SNSで不登校の親御さんとつながる
- 友人やカウンセラーに話を聞いてもらう
- 理解してくれない人とは距離をとる(祖父母など)
- 趣味の時間を作る
- 家にいるのがしんどければパート等で働く
- 毎日自分にご褒美をあげる
- 親が自分の人生を生きる
「自分が楽しむのは罪悪感があるから無理」という親御さんとお会いすることがあります。
とても責任感のある親御さんだからこそ、そう感じるのだと思います。
では、お子さんの目線でそういう親御さんを見たらどう見えるでしょうか?
「僕が(私が)お母さんを苦しめているんだ」と思うかもしれません。
すぐに元気出してと言われても難しいかもしれませんが、親だって安らかに生活する権利はありますし、それでいいのではないでしょうか。
死にたいなどのネガティブな発言への対処法
日常的なコミュニケーションの架け橋があったとしても、時にはお子さんがネガティブなことを言うこともあるでしょう。
そんな場合について、菜花先生は以下のような対応を推奨しています。
いなくなりたい、死にたい、等の言葉は「この辛さをわかって欲しい」「本当の気持ちに気づいて欲しい」というお子さんからのメッセージです。ですから、次のように受け止めながら聞いてあげてください。
- 子どもの発言を否定しない。例「そんな風に思っているんだね…」
- そう思う理由を聞いてあげる。例「どうしてそう思ったの?」「何か辛いことがあるの?」
- (もし、あれば)同じような体験を話してあげる。例「お母さんもあなたと同じ年の頃、そうおもったことがあるんだ。というのはね…」と親の経験したこと、その時の気持ちなどを話してあげる。
もしその時びっくりしてうまく反応できなかったときは、「この前あんなこと言っていたけど、何か辛いことがあるの?」と落ち着いたときに話を振ってみても良いでしょう。お子さんが話に乗ってくるようであれば、どうしてそう思うのか理由を聞いてあげてください。話したがらなければ別の機会にしましょう。
引用元:不登校から脱け出した家族が見つけた幸せの物語
3は本当に「あれば」で良いと思います。ちょっと押しつけがましいと「お母さんと私は違うし」と抵抗されるかもしれません。
なかなか頭でわかっていても難しいことですが、お子さんに「そんなこと言わないでよ」と言うことは我慢しましょう。
私もカウンセリングしていてこういう場面は難しいものです。
特に親御さんは「親として聞くだけではいけない」「親として何か救いになることを言わないといけない」というプレッシャーを感じてしまうかもしれません。
むしろ、そのように感じることができる親御さんはとても愛情深い方だと想像します。
ではお子さんの心理に目を向けると、何を思ってこのような発言をするのでしょう。
親に問題の分析や解決策の提案を望んでいるのでしょうか?
恐らくそうではありません。ひどい言い方かもしれませんが親にそんなに期待してないです。
お子さんは辛すぎて混乱しているかもしれませんし、途方に暮れているのかもしれません。
そんなときに正論は逆効果になることが多いです。
まずは一緒にその場に踏みとどまることがお子さんの支えになります。
踏ん張ったうえで、心に浮かんできた言葉をかけてあげるしかないのかもしれません。
それは「辛かったね」かもしれないし、「何かできることある?」かもしれません。
ただ一緒にいた方が良いと思えばいてあげてください。
注意:いわゆる境界性パーソナリティ障害(精神疾患のひとつです)の心性があり、日常的に過度の「自傷行為」や「摂食障害」の症状(過食や嘔吐)がある場合は医療機関につなげる必要があります。どうしても専門知識なしに親が子どもの病的な部分と向き合うことには限界があるためです。
本記事のまとめ
今回は親御さんが不登校のお子さんに言ってはいけない言葉として以下を紹介しました。
- 先回りした発言・行動(過干渉)
- 質問攻め
- 感情的な叱責や追求
- 他者の比較
頭ではわかっても難しい場面も多いかと思います。
そういう時はまず母ではなく、一個人として自分を甘やかしましょう。
私は自分を甘やかすときはチョコレート食って風呂入ってパックして超寝ます。
本記事で参考にした書籍は菜花先生の「不登校から脱け出した家族が見つけた幸せの物語」です。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
他にも不登校の記事がありますので、よかったら参考にしてみてください。
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