【図解】なぜ不登校になるのか-心のエネルギー切れ仮説

不登校
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この記事では「なぜ子どもは不登校になるのか」について図解していきます。

不登校支援を行う専門家の方、教師の先生方、不登校児童の親御さん、どなたが読んでも良いように作成したつもりです。

  • 不登校支援をしているけどいまいち全体像がつかめない。
  • 子どもが不登校になったけど理由がわからない。
  • どういう風に対応していったら良いか悩んでいる。
といった悩みに答えられるように書きました。
この記事で書いてあることをざっくり言うと以下です。
・不登校になる理由は登校を継続する心のエネルギーがなくなってしまったから
・心のエネルギーは「リスク要因」と「きっかけ」の掛け算によって増減する

【図解】なぜ不登校になるのか

前情報:不登校とは

以下が文部科学省の定義です。

何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの

論文であれば人数や増減の傾向を書いた方がいいと思いますが、ブログ記事なので不登校という現象自体の背景は割愛します。

なぜ不登校になるのか―心のエネルギー切れ仮説

私自身現在の考えでは、児童生徒が不登校になる理由は当該児童が登校を維持するのに必要な「心のエネルギー」がなくなっているため、です

これを便宜的に「不登校の心のエネルギー切れ仮説」と呼びます。

この考えは私の臨床上の経験に基づき、神村(2019)の書籍にある「心のエネルギー」という言葉を使わせてもらいました。

不登校は様々な要因が複合して起きる現象なので、これ!と理由をつけるのは危ないのですが、「心のエネルギー」という概念を使うとひとまず色々と説明しやすいので採用しています。

「心のエネルギー」をなんと表現すれば良いか難しいのですが、goo辞書でエネルギーを調べたところ、“物事をなしとげる気力・活力。精力“と書いてありました。

なので、”登校を続ける気力・活力・元気”と言えるかなと思います。

不登校児のたどる経過(図解)

以下が私の考える児童が不登校になってから回復するまでの図です。


縦軸が心のエネルギーの量で横軸が時間軸です。なお、数値は便宜的なもので実際に計測できるものではありません。

学校生活をしていればどんな児童でも失敗や挫折、傷つき等によって元気がなくなることがあります。大人が仕事をしていても同じです。では全員が不登校になるかと言えばそうではありません。多くの児童は良いことがあれば元気になりますし、ストレス解消や日々の休養で回復し、継続して登校を維持できます(図の点線枠)。

しかし、様々な要因が重なって心のエネルギーの量が何とか頑張れるラインを下回ってしまうことがあり、それによって不登校になる、そのように仮定するのがこのモデルです。

現実問題、どんな児童でも不登校になる可能性があります(実線部分)。加えて、不登校のリスク要因が大きい児童は心のエネルギーが低下しやすく、それが不登校のなりやすさにつながるというのが点線部分です。

もちろんこれは便宜的(都合の良い)な図なので、実際はなんとか頑張れるライン上を行ったり来たりしつつ登校を維持している児童もいるとは思います。何度も言って恐縮ですが、このように図解するとわかりやすい、という意味で作りました。

また、「うちの子めちゃめちゃ元気だけど学校行けてません」という親御さんもいるかと思います。

そういうお子さんをどう見立てれば良いかというと、なんとか頑張れるラインが高い位置にある、と理解できるかと思います(ちょっと無理やりな気もしますが…)。これについては後々不登校のタイプ分け(類型)の記事で説明する予定です。

上図の下部に書いてあるのは児童の変化・成長の過程に区切りと名称を付けたものです。

「キズキ分類」は家庭教師キズキ化家学のWebページから引用し、「諸富分類」は諸富祥彦先生の書籍(諸富,1999)から引用しています。

●諸富先生の分類

  1. 不登校開始期
  2. 苦悶期
  3. 無為期
  4. エネルギー再活性化期
  5. 学校帰心期
  6. 不完全登校期
  7. 完全登校期

●家庭教師キズキ家学の分類(https://tokyo-yagaku.jp/futoukou/type/

  1. 前駆期
  2. 進行期
  3. 混乱期
  4. 回復期

このように心のエネルギーを仮定し、その増減によって不登校を説明すると、○○期という過程を統合的に理解できると私は思っています。

生物・心理・社会モデルによる不登校のリスク要因(図解)

ではリスク要因(維持要因・脆弱性)にはどんなものがあるのか、についてです。

私は生物・心理・社会的要因(リスク要因)ときっかけ掛け算で心のエネルギーが減少していくと考えています。

生物・心理・社会モデルというのは臨床心理学を学んだ方にとってはおなじみのモデルで、要支援者を身体の面、心の面(性格、考え方等)、環境の面から総合的に理解しようという考え方です。

小児科診療ガイドライン[第3版]のひきこもりの章においても以下のように書かれています。

ひきこもり問題というのは、多様な要因が考えられ、単一の原因を追究していくことは困難を生じる。つまり、「生物-心理-社会」という多次元における複合性により現象化していく。とりわけ、ひきこもり問題を考えていく際には、維持要因への着目が有効である

小児科診療ガイドライン[第3版]

【生物・心理・社会的要因】と【きっかけ】を整理した図が以下です。

生物・身体要因

これは一言で言うと、もって生まれたものです。

発達障害はいわゆるASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)などです。これは生まれ持った脳(身体の一部)の特徴に起因しているのでここに入れています。

知的障害も脳の問題なのでここです。医療機関で臨床しているとよく出会うのが境界知能(概ねIQが80前後)のお子さんです。知的障害まではいかないものの、平均に比べれは知的に遅れがあり、同年代のなかで適応するのが難しいお子さんがいて、これも不登校のリスクになることがあります。

体格は例を挙げると太っているとか、背が小さいとか、そういうことです。

病気は例えば起立性調節障害で朝起きるのが非常につらい、それによって午後から行くと他児童の目が気になる(実際に、「何で午後から来るの?」「ずるい!」と言われる)等があります。

病気自体で登校できないのではなく、病気に付随した「社会的な問題」によってエネルギーが減る要因になるということです。

心理・性格要因

性格も生まれ持ったものでは?というツッコミがきそうですが、人との出会いや経験で変化しうるので別で考えていきます。

不登校児童においては本人の性格として、神経質で内向的な方が多いように思います。

真面目できちっとしていて、完璧にやろうとしたり、期待に過度にこたえようとしたり、こうしなきゃというこだわりがあるとそれだけで色々と疲れるからです。

※外向的な不登校がいないというわけではありません。

反対に、精神的に未熟で「別にいかなくても良いでしょ」と短絡的に考えてしまうお子さん、甘えているように見えるお子さんもいます。

環境要因

社会的要因の「社会」という言葉が「学校制度」のような広い意味でとらえられる気がするのでここでは「環境」という言葉を使いました。

これは本人に影響を与える周りのこと全てということです。

例えば両親が不仲で家にいるだけで疲れる(心のエネルギーが減りやすい)、家が著しく汚い、相性の悪い担任の先生、友人関係が乏しい等です。

本人に対するコミュニケーションもここに入れて良いかと思います。例えば過度な期待や干渉が挙げられます(「テストの点数どうだったの?」、「宿題やった?」、「どうしてできないの?」と過度に言う等)。

きっかけ

これは実際に起きた本人にとってネガティブな出来事です。

例えば何かしらの失敗体験、友達との不仲、学業上の挫折、教師からの叱責、いじめ、最近ではコロナの罹患などもあり得るかもしれません。

図でも書きましたがこのモデルで説明すると、仮にリスク要因が小さくてもきっかけが大きければ心のエネルギーが大きく減って不登校になりえるし、きっかけはささいで小さくても、リスク要因が大きければ同じようにエネルギー切れを起こし不登校になり得ると捉えることができます。

例えば、何の問題なく登校していた子が卑劣ないじめにあえばとんでもなく元気がなくなって不登校になったり、常にストレスフルで緊張したお子さん(高リスク児)が一見些細に見える失敗で不登校になるということです。
  • 不登校は登校の継続に必要な心のエネルギーがなくなった状態である。
  • 心のエネルギーの減り方はリスク要因ときっかけの掛け算によって説明される。

・不登校支援の概要

このモデルを使うと支援の方針は以下となります。

リスク要因を減らし、心のエネルギーを十分に貯め、そのうえで再登校のきっかけを作る。

だいぶ大雑把な結論になってしまいましたが徐々に具体的な対応方法についても書いていきたいと思います。

モデルの穴もたくさんあると思いますが、参考になれば幸いです。ご意見ご感想あればtwitterかコメント欄でいただけると幸いです。

参考文献

  • 神村 栄一(2019). 不登校・ひきこもりのための行動活性化―子どもと若者の“心のエネルギー”がみるみる溜まる認知行動療法
  • 諸富 祥彦(1999). 学校現場で使えるカウンセリング・テクニック(下 ):問題解決編・10の法則
  • 五十嵐 隆(編)(2016). 小児科診療ガイドライン―最新の診療指針

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この記事を書いた人
モトセ

30代の心理職です。元会社員で社会人入試組。ITベンチャー→大学→大学院→心理職。SC、精神科クリニック、企業内心理職の経験ありです。twitterでは心理学関係の学会の更新情報をつぶやいていますので、情報収集に使ってください。

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