不登校

【断言】不登校で受診する病院は何科がベスト?【現場の心理職が解説】

不登校の子どもの対応に困っているけど、病院に行った方がよいのかしら…。もし行くとしたら小児科でいいの? 何回も行くのは親子ともに負担だから少ない回数で済ませたいけど…

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 不登校で受診する病院は何科がベスト?
  2. 児童精神科のメリット・デメリットと、初診から診断までの流れを具体的に解説
  3. 受診前に準備できるとよい情報【無駄に相談回数を増やさないコツ】

 

私は現在、児童精神科に勤務している臨床心理士です。不登校を含め、日々お子さんとカウンセリングをしています。

状況が改善しなければ「病気かも…」という不安も強くなると思いますし、受診するにしても「小児科(内科)、児童精神科、精神科、心療内科など色々あって悩む…」というのも無理はないかと思います。

この記事では、現役の児童精神科心理職である私が不登校で受診するべき病院と、「児童精神科」を選択した場合の治療の流れを解説していきますので参考にしてみてください。

ではではLet‘s 心理教育!

不登校で受診する病院は何科がベスト?

結論から言えば不登校で病院を受診する場合、「児童精神科」で良いと思います。

理由は以下の3点です。

  1. 子どもの心理的な問題に幅広く対応できる
  2. 小児科は体の病気は診れるが心の病気の治療は弱い
  3. 心療内科、精神科は大人向けで、子どもを対象とした治療ができない可能性がある

 

理由1:子どもの心理的な問題に幅広く対応できる

児童精神科は子どもの心理的な問題に幅広く対応してくれます。

不登校は「状態」であり、「病気」ではありませんが、それでも不登校を主訴に児童精神科にくる親子はたくさんいます。不登校で病院を受診することは、全く不思議なことではありません。

不登校の背景に発達の遅れや精神疾患がある場合に、そのまま治療や支援に進むことができることもよい点ですね。

理由2:小児科は体の病気は診れるが心の病気の治療は弱い

小児科は身体疾患への対応は強いですが、心因(心理的な要因)の問題には弱いことが多いです。

実際、小児科から紹介状をもらい、児童精神科を受診される方は少なくないですが、その逆は少ないようです。

ただし、起立性調節障害や過敏性腸症候群など、今現在「身体に症状が出る状態」であれば、受診の入り口は小児科でも全然よいと思います。その方が抵抗が少ない親御さんやお子さんも多いです。

理由3:心療内科、精神科は大人向けで、子どもを対象とした治療ができない可能性がある

心療内科や精神科を掲げている病院は大人を対象としている病院がほとんどです。

素人目には、「大人も診れるなら子どもも診れるんじゃないの?」と思ってしまいますが、どちらかに特化している病院がほとんどです。総合病院でも、精神科と児童精神科は分かれていますよね。

一方で、大人と子ども、両方診る先生がいるクリニックもあります。その場合は標榜に「精神科、児童精神科、心療内科」などと全部書いてあると思いますので、Webページや看板を見てチェックしてみてください。

ここまで、児童精神科をおすすめする3つの理由を紹介しました。

「病院を受診したら病気にされ、薬漬けにされそうで怖い…」という親御さんもいるかと思います。投薬は相談の上で行うものですので、医師としっかり相談すればそういうことはありません。どうしても怖い場合はセカンドオピニオンとして、不登校支援サービスに無料相談するのもありだと思います。>>逸高等学院の無料オンラインセミナー(外部リンク) 

では次に、児童精神科を受診するメリットとデメリット、どういう流れで支援が始まるのか具体的な流れをお伝えします。良かったら読んでみてください。

児童精神科のメリット・デメリットと、初診から診断までの流れを具体的に解説

先に見出しを書きますので、興味のあるところだけもよいので参考にしてみてください。

不登校のお子さんが児童精神科を受診するメリット

  1. 不登校の背景に発達の遅れや心理的な問題があるかわかる
  2. 必要に応じて投薬治療が受けられる
  3. 医師や臨床心理士から助言を受けることができる

 

不登校のお子さんが児童精神科を受診するデメリット

  1. 病気と診断された場合、病気が治れば学校に行けると思ってしまう
  2. 薬で全て解決できると思ってしまう
  3. 児童精神科に不登校の専門家はほぼいない

1つずつ手短に解説していきます。

児童精神科を受診するメリット1:
不登校の背景に発達の遅れや心理的な問題があるかわかる

お子さんが「勉強がめちゃ難しい」、「友達関係でいつもからかわれる」といった理由から学校を嫌がる場合、発達の遅れがある可能性があります。

具体例として、「軽度の知的障害」や「自閉スペクトラム症(ASD)」、「注意欠如・多動症(ADHD)」、「限局性学習症(sLD)」などの「発達障害」があります。

特性が強いお子さんに、他の子と同じことを求め続けることで失敗が重なり、どんどん元気がなくなって不登校に…

なんてこともあるでしょう。児童精神科を受診することで、そういった発達の遅れの可能性を評価することができ、適切な関わりや環境調整につなげることができます。

児童精神科を受診するメリット2:
必要に応じて投薬治療が受けられる 

もし不登校の背景に、薬が効果を発揮する疾患があるのであれば、ダイレクトに治療をすることができます。

例えばADHDの症状が強くて適応が難しい場合は投薬治療ができますし、うつ状態や不眠の症状に投薬治療をすることもできます。

児童精神科を受診するメリット3:
医師や臨床心理士から助言を受けることができる 

児童精神科の医師や臨床心理士は不登校のお子さんを見る機会も多く、そこそこの知見をもっています。

適切な親子関係を築けているのか、築くためにどうすればよいか、などの助言をしてくれる場合も多いでしょう。

ただし、デメリットのところでもお話ししますが「不登校だけに特化してめちゃくちゃ詳しい先生」というのはなかなかいません。そのため、医師や心理職によっては「見守りましょう」の1点張り、なんてこともあるかもしれません。

次にデメリットを3点紹介します。

児童精神科を受診するデメリット1:
病気と診断された場合、病気が治れば学校に行くと思ってしまう

お子さんが不登校になる理由は本当に色々あり、「これ!」と特定することが難しいです。

そのため、不登校のお子さんを見立てるときは、身体・心理・環境の3側面から総合的に診ていくことが大切なのですが、病院で診断名がつくと親御さんは「それが治れば学校に行くに違いない」という考え方になってしまいやすいようです。

親御さんは藁にもすがる思いで病院を受診されるわけですから、診断がついたらそれを解決の糸口と考えることに無理はありません。

しかし、ほぼ99%、病気に対してアプローチしただけでは学校には行きません。それは日本全体で、不登校がいまだに増え続けている事実からもお分かりいただけるかと思います。

児童精神科を受診するデメリット2:
薬で全て解決できると思ってしまう

これは上記1とほぼ同じですが、投薬で状態が良くなればそれだけで不登校も解決すると思ってしまうことも、医療機関を受診する際のデメリット、というか思い込みと言えます。

確かに、精神状態が非常に悪く、抑うつ状態のケースにおいて、投薬治療で元気を取り戻すと自然と学校に足が向く子もいます。しかしそれは、別室登校や通信制への転校など、学校に行きやすくするように環境調整も同時にしていることが多いです。

児童精神科を受診するデメリット3:
不登校の専門家はほぼいない

児童精神科のなかで不登校はたくさんある問題の1つです。

発達障害、うつ、パーソナリティ障害、摂食障害、心身症など、問題の種類はたくさんあり、全てに超1流の対応をできる先生は珍しいと思います。

そういう意味では不登校支援の専門業者さんの方が洗練された考え方、具体的な親の関わり方を助言してくれる確率は高いです。業者さんの話は無料で聞くことができますので、参考にするのも手だと思います。

以上メリットとデメリットをお伝えしました。次に児童精神科を受診した場合の流れを紹介していきます。

児童精神科の初診から診断までの具体的な流れ

私の経験談としては、以下の流れで診察・診断・治療(支援)が行われます。

  1. 初診で医師の聞き取り
  2. 心理検査(知能検査・性格検査)
  3. 医師または心理職から心理検査結果の説明
  4. 今後の治療(支援)方針の説明
  5. 医師や心理職とカウンセリング、親の子育て相談

 

1.初診

問診票をもとに、困っていること、現在の状況、発達の経過、家族関係などを医師が聞き取っていきます。

2.心理検査

医師の指示のもと、知能検査や性格検査を実施する場合があります。理由は、「お子さんがなぜ学校に行けないのか」を見極めるために、身体、心理、環境の総合的な観点から見立てていくためです。

3.医師または心理職から心理検査結果の説明

知能検査であればIQや発達障害の特性の有無、性格検査であれば性格的な特徴を説明されます。

4.今後の治療(支援)方針の説明

3と同時に行われることが多いと思いますが、親御さんからの聞き取り内容や検査の結果、行動観察などを総合して対応方針を説明してくれると思います。

5:必要に応じて医師や心理職とカウンセリング、親の子育て相談

見立ての結果、お子さんへのカウンセリングや親御さんへの養育相談が改善に役立つと判断されたらそれらを提案される場合があるでしょう。無理強いはされませんので、信頼できると思ったら受けてみるとよいでしょう。

このような流れで進んでいきます。

最後に、実際に受診する場合に事前に準備できるとよい情報を解説して終わりたいと思います。

受診前に親が準備できるとよい情報【無駄に相談回数を増やさないコツ】

実際に受診するとなったら状況の説明だけで何回も受診したくないですよね?

なるべく回数を少なく正確な見立てをしてもらうコツは「親御さん自身が普段、お子さんにかけている言葉や態度をメモしておくことです」

不登校の経過というのは「事実」なので説明しやすいです。例えばいつから、家で何しているか、などです。

一方で対応というのは日々無意識でやっていることだったりするので、意外と説明が難しいものです。

親御さんの対応は不登校の改善に非常に重要な部分ですから、そこはもうお子さんのためと思って正直にぶっちゃけて欲しいです。その方が短時間で明確な方針を立てることができます。

本記事のまとめ

1.不登校で受診する病院は何科がベスト?

➝児童精神科が第1候補です。

2.児童精神科のメリット・デメリットと、初診から診断までの流れを具体的に解説

メリット

  1. 不登校の背景に発達の遅れや心理的な問題があるかわかる
  2. 必要に応じて投薬治療が受けられる
  3. 医師や臨床心理士から助言を受けることができる

デメリット

  1. 病気と診断された場合、病気が治れば学校に行けると思ってしまう
  2. 薬で全て解決できると思ってしまう
  3. 児童精神科に不登校の専門家はほぼいない

3.受診前に準備できるとよい情報【無駄に相談回数を増やさないコツ】

➝親御さん自身が普段、お子さんにかけている言葉や態度をメモしておくと役にたつ。

さいごに、以下が私の不登校支援の結論です。

>>【重要】不登校支援の結論をお話しします【後悔しない基本の知識】

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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