こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 不登校の運動不足は解消するべき?
- 子どもを外出に誘う上手な方法
- スマホ・youtube・ゲームなどは止めさせた方がよいのか
私は現在、児童精神科で不登校などのお子さんのカウンセリングを実践している臨床心理士です。
カウンセリングをしていても、ぽっちゃりしていて、きっと運動不足だろうなぁという不登校のお子さんに出会うことがあります。ダイレクトに「運動しよう」とは言いませんが、元気が出てきたら行動を活性化する方向にもっていくことはあります。
運動不足による体の病気を心配する親御さんもたくさんおられると思いますので、参考にしてみてください。
不登校の運動不足は解消するべき?
結論から言えば、運動不足は解消するに越したことはないですが、運動不足を解消したからといって不登校が解決するわけではありません。
当たり前の話ですが、不登校であろうとなかろうと、適度に運動はした方が心身の健康に良いです。アメリカではうつ病への運動療法のエビデンスも豊富にあり、皆さんが思っている以上に運動がメンタルヘルスに与えるいい影響は大きいのです。
肥満や生活習慣病が心配な時の対応方法
家系的に肥満や生活習慣病が心配という親御さんもいるかもしれません。
その場合、一般的なことではありますが、食生活の改善やおやつの制限をするのも手だと思います。もしお子さんが怒るからおやつを制限できないのであれば、家庭内の上下関係を見直す良い機会かもしれないので、この機会にルールを設定していくのも良いでしょう。食事に関する工夫は以下のサイトが参考になります。
>>【成功談】子どものダイエット方法。肥満を治すには?食事&運動のコツも(外部サイト)
とはいえ、いくら食生活を見直しても、身体を動かさなければ健康的とは言えません。次の章ではお子さんを上手に外出に誘う方法をお伝えします。
子どもを外出に誘う上手な方法
まず、上手に外出に誘うにはタイミングが大切です。
本人に外出する元気がないうちから誘うのは得策ではありません。家庭内でお子さんに肯定的なメッセージを伝え続け、心のエネルギーがある程度たまってから誘うとよいでしょう。肯定的なメッセージの送り方は以下の記事を参考にしてみてください。
外出したい気持ちが高まってきたサインの一例は、自分から「○○へ連れて行って欲しいんだけど」と言ってくることです。そのような状態であれば、こちらから誘いにのってくる可能性は十分あります。
次に外出に誘う3つのポイントをご紹介します。
- 外出しやすい時間帯に誘う
- 外出しやすい場所に誘う
- 本人が納得できる理由をつける
ポイント1:外出しやすい時間帯に誘う
意外かもしれませんが、外出しやすい時間帯はお子さんによって異なります。
学校の他の生徒と会う確率が低い平日の日中が良いというお子さんもいれば、平日昼間に外出するのは不自然なので休日や夜の方がよいというお子さんもいます。
そのため、直接お子さんに「外に出るのに気が楽な時間はいつ?」と聞いてみると良いでしょう。
1点だけ注意していただきたいのは、お子さんが1人で平日の昼間外出したいと言ってきたら、「警察に声を掛けられるかもしれないから、その時は素直に「不登校です、電話で母に確認しても良いです」と答えるように」と伝えておくことです。
ポイント2:外出しやすい場所に誘う
学校に近い場所に外出すると誰かと会う気がするのでなんとなく嫌、というお子さんは多いです。
その場合、知り合いに会いそうもない遠くの商業施設やレストランに誘ってみるとよいでしょう。
図書館や美術館、本屋のような静かな場所を好むお子さんも多いですし、動物が好きなので動物園や猫カフェなら行けるというお子さんもいます。また、カードショップなど趣味を堪能できる場所なら時間を問わず行きたいというお子さんもいます。
ポイント3:本人が納得できる理由をつける
これはお子さんに「それならしょうがないか」と外出する言い訳を用意するイメージです。
例えば以下のような言い方が効果的な場合があります。かっこ内は「意味づけ」です。
- お母さん腕が痛いから、買い物の荷物持ちを手伝って欲しい(私を助けて欲しい)
- お父さんにプレゼントをあげたいのだけど、どれを選んだらお父さんが喜ぶかわからないから一緒に来て考えてくれないかな(私に協力して欲しい)
- ついでに行きたかったところに連れて行くから、買い物に行こう(本人の行きたいところに行く約束をする)
- 他のきょうだいには内緒でお母さんとおいしいもの食べよう(親と2人の時間というのはお子さんにとって思いのほかご褒美になります)
注意点として、「○○を買ってあげるから外出しよう」という取引はおすすめしません。
なぜなら、お子さんが調子にのって「○○を買ってくれないと外出しない」という態度をとるようになる可能性があるからです。
以上、外出に誘う3つのポイントを紹介しました。
親御さんのなかには「そもそも運動不足なのは、家でスマホ・ゲーム・TVなどの電子メディアに依存しているからでしょ?」と考える方も多いと思います。最後に、スマホやゲームは止めさせた方がよいのかについて解説して終わりたいと思います。
スマホ・youtube・ゲームなどは止めさせた方がよいのか
前提として知っていただきたいことがあります。それは、スマホやゲームなどの電子メディア依存が原因で不登校になることはまずない、ということです。
因果関係としては逆で、学校に行きたくない、もしくは行っていないから、日中に電子メディアに依存する(逃避する)、という理解が正しいです。
話を戻しまして、お子さんが日中家にいる間、電子メディアの使用は止めさせた方がよいのかですが、それは親御さんがとる支援方法によって異なります。
不登校の支援方法には大きく2つのパターンがあり、私はそれを「長期的視点型の支援」と「再登校重視型の支援」と呼んでいます。
長期的視点型の支援では基本的に日中の電子メディア利用に口は出しませんが、再登校重視型の支援では「やるべきことをやっていないのに、やりたいことはできない」というスタンスを取りますので、電子メディア利用には制限を設けます。
詳しくは以下の記事で解説しています。私の不登校支援の結論になりますので、参考にしてみてください。
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