不登校

不登校のお子さんが言われて嬉しい言葉:コンプリメントの具体例5選

不登校の中期対応で決定的に重要なのは本人が動き出すことができるくらいに「心のエネルギー」を貯めることです。今回はその方法の1つである「コンプリメント」についてお伝えしていきます。

  • 何となく会話はできてるけど、動き出す気配がない
  • どんな言葉をかけてあげれば元気がでるんだろう

おさらいですが、不登校中期で大切なことは以下の2つです。

  1. 心のエネルギーが増えるようなコミュニケーションを増やす
  2. 心のエネルギーが減るようなコミュニケーションを減らす

また、重要なことは、この2つはセットでないといけません。どちらか一方だけやっても効果が半減どころかマイナスになることさえあります。

この記事では1の心のエネルギーが増えるコミュニケーションについてお伝えしています。

コンプリメントとは?

お子さんと日常的な会話ができるようなったら、心のエネルギーを貯めるための会話を導入していきましょう。それが「コンプリメント」という技法です

コンプリメントはブリーフセラピーという心理療法で良く使われる技法で、一般的な言葉を遣えば「ほめること・賞賛すること」とほぼ同じ意味です。

ちなみにコンプリメントはお子さんだけでなく配偶者や友人、会社の同僚すべてのコミュニケーションに活かせる必殺技ですので是非とも覚えて帰っていただければと思います。

もし、会話のきっかけをまだつかめない状態であれば以下の記事を参考にしてみてください。

コンプリメントの具体例5選

親自身が喜んでいることを伝える

例「~~してくれてありがとう、お母さん(お父さん)嬉しいよ」

アサーションでいうIメッセージのようなイメージです。「誰かを喜ばせた」という体験はお子さんにとってとても大きなものであり、その積み重ねが自信につながります。

ほめたい行動を見つけ、本人の能力に帰属した伝え方をする

例「○○(子どもの名前)は~~する力があるね」

褒めるときは行動に加えて、その子の能力がすごい!ということを伝えてあげると良いです。ゲームや勉強に集中しているときに、集中する力があるねなどと伝えても良いでしょう。

お母さんも、掃除機をかけ終わった後に夫から「部屋きれいになったね」と言われてもまぁまぁ嬉しいですが、「お母さんは丁寧だね」と言われた方が嬉しくありませんか?

叱るときは逆で、行動を叱って人格を責めてはいけません。

ほめるほど大げさではなくても「認める」

例「頑張ったね」「できたね」「やったね」「挑戦したね」

肯定的な注目はそれだけでも嬉しいものです。褒めるというのはなかなかつかれるものでもあるため、親御さんが無理なくやるために、さらっと認めてあげることも役に立ちます。

その行動ができた理由を驚きをもって聞く

例「なんでそんなことできたの!」「どうしてやろうと思えたの!?」「コツはなんなの?」「その発想はどこからでてくるの?」

これは質問の体で、その行動すごいねということを暗に伝えるという方法です。なかなか高度な方法に見えますが、リアクション芸人になったつもりでやってみると楽しみながらできますよ。

間接的に褒めを伝える

例1(子どもがいる場面で父に向って)「今日○○が~~してくれて私嬉しかったんだ」 

例2「そういえば、お父さんが○○の~~すごいなって言ってたよ」

例3「夫(妻)に子どものほめたい行動を伝え、夫(妻)から「お母さんから聞いたんだけど、~~やったんだな・できたんだな」などと伝える

間接コンプリメントは何種類かパターンがあります。例1は「他者に向かって本人の良いところを伝え、それを本人に聞かせる」という方法、例2、3は「他者が褒めていたよと本人に伝える方法」です。特に2と3は本人が否定できないのでかなり強いです。

以上、具体例をお伝えしました。

初めて聞くと、コンプリメントに対して非常に抵抗があるかもしれません。恐らく、多少はクサかったり、恥ずかしいことを言うためかと思います。しかしそれこそが大切な要素でもあります。

イメージとしては、病気の時に薬を飲むという行為を考えたときに、それはこれまでとは違った(身体への)刺激です。コンプリメントを心に効くの薬と考えると、多少はこれまでと違った刺激になるのはやむを得ないのです。

ここで一息。このコンプリメントですが、何もしない夫を動かす起爆剤になる可能性をもっています。なぜなら、大人というのは総じて褒められる機会が少ないことと、男は頼りにされると頑張りたくなる生き物だからです。

何もしないぐうたら夫には死んでもやりたくないかもしれませんが、お子さんへの練習と割り切って旦那にちょっとやってみるのも面白いかもしれません。それでお子さんのために動いてくれるなら儲けものです。

コンプリメントのタイミング

コンプリメントではタイミングも重要です。理由は、タイミングを間違うと皮肉になってしまうことがあるからです。例えば中学生のお子さんに「こぼさず食べれたね、すごいね」なんて言おうものなら「いや、赤ちゃんじゃないんだからさ」となります。

菜花(2017)はコンプリメントのタイミングについて以下のポイントを挙げています。

  1. 子どもが褒めて(認めて)欲しいことをほめる(認める)
  2. 子どもが褒めて欲しい時に褒める
  3. 親自身が自信を持っていることに関して褒める

例えばゲームで難しいステージをクリアしたとか、部屋が汚いから掃除したとか、お子さんが自発的に考えてやったことに注目してあげることが大切です。

<自我>は自分がやろうと思ってやったことがうまくいけば強まります。周囲の関係者がやるべきことは、子どもがその時点でやっていることを積極的に肯定し、うまくやれていると認識させることです(成重, 2020)。

また、森田(2011)は、コンプリメントを1日最低3回は行い、それをノートにつけることを勧めています。

ここからは私見ですが、私は親御さんが焦ってコンプリメントする必要はないと思っています。理由は伝える側に「頑張ろうとする感じ(非言語で緊張している様子など)」があると、子どもは「お母さん頑張ってるな」と思って興ざめするからです

お子さんが「お母さん頑張ってくれているな」と肯定的に捉えてくれたら良いのですが、そもそも子どもは学校に行っていないという負い目を常に感じており警戒心が強く肯定的に受け取ってもらえないときもあります。また、親に頑張らせてしまって申し訳ないと思うお子さんもいます。

なので、私が一番最初にやる事としてお勧めするのは、お子さんの「観察」です

コンプリメントを始める前に、まずはお子さんの行動を観察してみる

日常的なコミュニケーションは続け、そのうえで「コンプリメントできそうだな」という場面を観察し、それをノートにメモしていくところから始めることをお勧めします。

例えば1日最低3回のコンプリメントを目標にするなら、1日3個をノートに記録してみてください。1日3つであれば、恐らく慣れれば10分もあれば書けるようになります。

ノートにはコンプリメントしたい「状況(いつどこで)」、「お子さんの行動」、「伝えてあげたい言葉」を記録するとよいでしょう。

予行練習みたいな感覚です。できそうだなと思えるくらいまで観察してみて、少しずつチャレンジするのが良いと思います。

例:夕飯の後、お皿を流しにいれた、「お母さん助かるわ、嬉しいからアイス食べちゃおう」

非言語メッセージの重要性

コンプリメントするときは非言語メッセージが大切です。

非言語とは姿勢、体の向き、表情、ジェスチャーなど、言葉の意味を決定づけるものです

「いいね」と「そっぽをむきながら」言えば、それは「いいねはと思っていないこと」を伝えているのと同じです。ありがとうと不愛想に言われても、言われた側は「本当に思ってんの?」となりますよね。

森田(2011)は「世界一幸せな母親になったつもりで伝えること」を強調しています。

子どもも最初は気持ち悪いと言ってくるかもしれませんが、そういう時は「本当に思ってるよ」とさらっと伝えるだけで良いそうです。

まとめとこの記事で参考にした書籍

今回は心のエネルギーを貯めるためのコミュニケーションとしてコンプリメントを紹介してきました。

コンプリメントについてお話するとよく「甘やかしすぎ」と言われてしまうのですが、誤解しないでください。何度も言いますが、お子さんの機嫌をとるのと褒めることは違います。間違った行動をとったら毅然と叱ってください。不登校だってなんだって子育てという大枠は一緒です。

  • この記事を書いた人

モトセ

精神科・児童精神科クリニックの心理職です。他には学校、企業内で心理的支援の経験があります。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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