どんな言葉をかけてあげれば元気がでるんだろう…。
コンプリメントがいいって聞いたけど、どんな言葉がけなのか具体例を知りたい…
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- コンプリメントとは?
- コンプリメントの具体例5選
- コンプリメントのタイミング
- 非言語メッセージの重要性
私は児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御のカウンセリングをしていた臨床心理士です。
不登校の中期対応で決定的に重要なのは本人が動き出すことができるくらいに「心のエネルギー」を貯めることです。
今回はその方法の1つである「コンプリメント」についてお伝えしていきます。
具体例をお見せするので、今日からすぐできます!
youtubeでも不登校対応について話していますのでよかったらご覧ください。
コンプリメントとは?
コンプリメントはブリーフセラピーという心理療法で良く使われる技法で、一般的な言葉を遣えば「ほめること・賞賛すること」とほぼ同じ意味です。
ちなみにコンプリメントはお子さんだけでなく配偶者や友人、会社の同僚すべてのコミュニケーションに活かせる必殺技ですのでぜひとも覚えてみてください。
もし、会話のきっかけをまだつかめない状態であれば以下の記事を参考にしてみてください。
コンプリメントの具体例5選
具体例を5つ紹介します。
①親自身が喜んでいることを伝える
例「~~してくれてありがとう、お母さん(お父さん)嬉しいよ」
アサーションでいうIメッセージのようなイメージです。
「誰かを喜ばせた」という体験はお子さんにとってとても大きなものであり、その積み重ねが自信につながります。
②ほめたい行動を見つけ、本人の能力に帰属した伝え方をする
例「○○(子どもの名前)は~~する力があるね」
褒めるときは行動に加えて、その子の能力に結び付けて伝えてあげると良いです。
ゲームや勉強に集中しているときに、集中する力があるねなどと伝えても良いでしょう。
お母さんも、掃除機をかけ終わった後に夫から「部屋きれいになったね」と言われてもまぁまぁ嬉しいですが、「お母さんは丁寧だね」と言われた方が嬉しくありませんか?
叱るときは逆で人格を責めてはいけません。
③ほめるほど大げさではなくても「認める」
例「頑張ったね」「できたね」「やったね」「挑戦したね」
肯定的な注目はそれだけでも嬉しいものです。
褒め言葉を考えるのは時に疲れるので、親御さんが無理なくやるためにさらっと認めてあげることも役に立ちます。
④その行動ができた理由を驚きをもって聞く
例「なんでそんなことできたの!」「どうしてやろうと思えたの!?」「コツはなんなの?」「その発想はどこからでてくるの?」
これは質問の体でその行動すごいねということを暗に伝えるという方法です。
なかなか高度な方法に見えますが、リアクション芸人になったつもりでやってみると楽しみながらできますよ。
⑤間接的に褒めを伝える
例1(子どもがいる場面で父に向って)「今日○○が~~してくれて私嬉しかったんだ」
例2「そういえば、お父さんが○○の~~すごいなって言ってたよ」
例3「夫(妻)に子どものほめたい行動を伝え、夫(妻)から「お母さんから聞いたんだけど、~~やったんだな・できたんだな」などと伝える。
間接コンプリメントは何種類かパターンがあります。
例1は「他者に向かって本人の良いところを伝えてそれを本人に聞かせる」という方法です。
例2、3は「他者が褒めていたよと本人に伝える方法」で要するに伝言です。
特に2と3は本人が否定できないのでかなり強いです。
以上、具体例をお伝えしました。
初めて聞くと、コンプリメントに対して非常に抵抗があるかもしれません。
恐らく、多少はクサかったり、恥ずかしいことを言うためかと思います。
しかしそれこそが大切な要素でもあります。
例えばなしですが、病気の時に薬を飲むという行為はこれまでとは違った(身体への)刺激です。
コンプリメントを心に効くの薬と考えると、多少はこれまでと違った刺激になるのはやむを得ないかもしれません。
ここで一息。
このコンプリメントですが、何もしない夫を動かす起爆剤になる可能性をもっています。
なぜなら、大人というのは総じて褒められる機会が少ないことと、男は頼りにされると頑張りたくなる傾向が強い生き物だからです。
何もしないぐうたら夫には死んでもやりたくないかもしれませんが、お子さんへの練習と割り切って旦那にちょっとやってみるのも面白いかもしれません。
それでお子さんのために動いてくれるなら儲けものです。
コンプリメントのタイミング
コンプリメントではかける言葉の内容やタイミングも重要です。
理由は皮肉になってしまうことがあるからです。
例えば中学生のお子さんに「こぼさず食べれたね、すごいね」なんて言おうものなら「いや、赤ちゃんじゃないんだからさ」となります。
不登校支援で有名な菜花先生はコンプリメントのタイミングについて以下のポイントを挙げています。
- 子どもが褒めて(認めて)欲しいことをほめる(認める)
- 子どもが褒めて欲しい時に褒める
- 親自身が自信を持っていることに関して褒める
例えばゲームで難しいステージをクリアしたとか、部屋が汚いから掃除したとか、お子さんが自発的に考えてやったことに注目してあげるとよいでしょう。
また、森田先生はコンプリメントを1日最低3回は行い、それをノートにつけることを勧めています。
親御さんが無理して褒める必要はない
ここからは私見ですが、私は親御さんが焦ってコンプリメントする必要はないと思っています。
理由は伝える側に「頑張ろうとする感じ(非言語で緊張している様子など)」があると、子どもは「お母さん頑張ってるな」と思って興ざめするからです。
お子さんが「お母さん頑張ってくれているな」と肯定的に捉えてくれたら良いのですが、そもそも子どもは学校に行っていないという負い目を常に感じており警戒心が強く、肯定的に受け取ってもらえないときもあります。
また、親に頑張らせてしまって申し訳ないと思うお子さんもいます。
なので、私が一番最初にやる事としてお勧めするのはお子さんの「観察」です。
コンプリメントを始める前に、まずはお子さんの行動を観察してみる
日常的なコミュニケーションは続け、そのうえで「コンプリメントできそうだな」という場面を観察してノートにメモしていくところから始めることをお勧めします。
例えば1日最低3回のコンプリメントを目標にするなら、1日3個をノートに記録してみてください。
1日3つであれば、恐らく慣れれば10分もあれば書けるようになります。
ノートにはコンプリメントしたい「状況(いつどこで)」、「お子さんの行動」、「伝えてあげたい言葉」を記録するとよいでしょう。
予行練習みたいな感覚です。
できそうだなと思えるくらいまで観察してみて、少しずつチャレンジするのが良いと思います。
非言語メッセージの重要性
コンプリメントするときは非言語メッセージが大切です。
非言語とは姿勢、体の向き、表情、ジェスチャーなど、言葉の意味を決定づけるものです。
「いいね」と「そっぽをむきながら」言えば、それは「いいねはと思っていないこと」を伝えているのと同じです。
ありがとうと不愛想に言われても、言われた側は「本当に思ってんの?」となりますよね。
森田(2011)は「世界一幸せな母親になったつもりで伝えること」を強調しています。
子どもも最初は気持ち悪いと言ってくるかもしれませんが、そういう時は「本当に思ってるよ」とさらっと伝えるだけで良いそうです。
まとめとこの記事で参考にした書籍・サイト
今回は心のエネルギーを貯めるためのコミュニケーションとしてコンプリメントを紹介してきました。
コンプリメントについてお話するとよく「甘やかしすぎ」と言われてしまうのですが、誤解しないでください。
何度も言いますが、お子さんの機嫌をとるのと褒めることは違います。
間違った行動をとったら毅然と叱ってください。不登校だってなんだって子育てという大枠は一緒です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。私の不登校支援の結論は以下に書いておりますので、良かったら参考にしてみてください。