こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 子どもが部屋に閉じこもっているときの対応方法
- 子どもが自分の話をしないときの心理
- 会話のきっかけづくりと上手な広げ方
私は児童精神科や学校でお子さんや親御さんのカウンセリング経験があり、不登校のケースも多くもっていました。
内容はオーソドックスな方法でありお子さんやご家庭の状況に応じて個別のアプローチを考えることが望ましいことを補足しておきます。
では、解説していきます。
子どもが部屋に閉じこもっているときの対応方法
最初にやるべきことは、今親御さんがよかれと思ってやっている対処方法を見直すことです。
先にお子さんの気持ちを分析してもよいのですが、「何となく家族に会いたくない」など、はっきりとしないことも多くあります。
明確な理由がわかるのであれば、対応の参考にしましょう。
部屋に閉じこもってコミュニケーションが取れない場合、食事を部屋に持って行く、遠方に出かけないようにしているといった親の対処行動自体が部屋への閉じこもりを維持している場合があります。
対処方法が問題を維持する結果になっているので、この解決行動を「偽解決」と呼びます。
そんなときは適切な理由をつくり、親の対処行動自体を変える必要があります。
例えば部屋に食事を持って行っているとしたら、今日は親は外でご飯を食べる用事があるから等、何らかの理由や方法で親の対処行動を変えていきます。
やや戦略的な対応が必要な場面でもありますので、専門家に相談することは1つの手段です。
最も重要なポイントは「食事を持って行かない」ということではなく、今行っている対処が切ないんだけどうまくいっていないことを自覚し、試行錯誤して変えていくことです。
上のような悪循環図を書いてみるとわかりやすいのでおすすめです。
子どもが自分の話をしないときの心理
不登校支援で有名な菜花先生によれば、お子さんが何も話してくれない理由は以下の3つだそうです。
- 心配かけたくない(親が動揺したり、余計悩んでしまったりするから)
- 批判される(聴いてもらえない、説教されるから)
- 自分でもよくわからない(つらくて苦しいけど言葉でうまく表現できないから)
※「不登校から脱け出した家族が見つけた幸せの物語」(菜花,2017)より引用
どれか1つの時もあれば、全て当てはまるときもあるかもしれません。
この心理分析は的を得ていると感じますし、問題と偽解決の悪循環を切ることにも役立ちそうです。
例えば以下のように。
- 親が心配しすぎている自覚があるのであれば、心配していないと思わせるような行動をとる。
- お子さんの話を批判的に聞いていた自覚があるのであれば、批判せずに受け止めるようにコミュニケーションをとる。
でもやっぱり閉じこもる理由が知りたい、という親御さんもいるでしょう。
しかし、こういった理由はその時追求してもわからないことが多いです。
どうしても知りたければ、会話ができるようになって落ち着いた状況になった後で「そういえばあの時どうして閉じこもっていたの?」と聞けると良いかもしれません。
今すぐ理由はわからなくとも、やりようはあります。
ちなみに、菜花先生が不登校の親御さんにするアドバイスで一番多いのは「放っておきましょう」らしいです。
不登校に関する相談に対して、私が差し上げるアドバイスの1位は「そんな時は放っておきましょう!」です。(中略)放っておくことと無関心は違いますから、子どもが話さないからと言ってこちらも話しかけてはいけないというわけでは、もちろんありません。むしろ、「応援しているよ」「何かあったらいつでも相談に乗るよ」という親の気持ちを伝えることは積極的にした方が良いでしょう。(菜花, 2017)
会話のきっかけづくりと上手な広げ方
無理に会話をする必要はないとは思いますが、会話のとっかかりがないと次のステップに行くことも難しいので工夫を少し紹介いたします。
会話のきっかけづくりの工夫
- 暑いね、天気いいねなど、ささいなことで話しかける
- 子どもの好きなことを話題にする
- 子どもは聞いてないかもしれないけど、親が自分のことを話す
①は単純接触効果を狙っています。「気をつかってないよ」というメッセージにもなります。
②は子どもが話しやすい話題を持ち出すということです。
好きなことを話す場合、何を話せばよいかわからない、という葛藤がないので比較的スムーズにいきます。
③は自己開示の返報性を狙っています。
人は自己開示されると、自分も話した方が良いと思う心理が働き、自分の話をしやすくなります。
会話の広げ方
コツとしては話を広げる質問を意識して、ときどき要約してあげると良いかと思います。
- 「あーこう思ったのね」
- 「それってこういうこと?」
- 「これは?」
- 「ふむふむ、それでそれで」
- 「~~はこうで、~~はこうなんだね」
あまり気負わず、話をつなぐことができれば何でも良いです。
「それは悲しかったね」といった感情へのコメントもあるに越したことないですが、苦手な人は頑張りすぎなくても大丈夫です。
youtuberでもゲームでも漫画でも、「それってどうやるの?」「どういうものなの?」「何したら勝ちなの?」「どのキャラクターが好きなの?」などと、その子が好きなことやハマっていることを教えてもらうように話を進めると、比較的安全に会話を維持しやすいです。
子どもに教えてもらうことは話を広げることにかなり役立ちます。
共通の敵を見つけると話がはずむ
共通の敵を見つけるというのも結びつきを強めるのに効果的です。
お子さんがTVを見ているときに「~~はなんか嫌い」みたいなことを言って来たら、親御さんの無理のない範囲で話にのっかってあげると良いでしょう。
親御さんが自分に嘘をつく必要はないですが、多少の方便でお子さんが元気になるならやってみる価値があると私は思います。
但し、注意しなければいけないのは、お子さんに夫(妻)の愚痴は言ってはいけません。
お子さんと旦那の愚痴で盛り上がることは、母とお子さんvs父という家族内の構図を作りだすことになり、父親が活躍する土台が築けないからです。
本記事の内容は以上です。読んでいただきありがとうございました。
私の不登校支援の結論は以下の記事で書いていますので、参考にしてみてください。