不登校

【緊急】学校への行きしぶりがある時の対応【休ませるかどうか】

子どもが学校へ行きしぶるようになった…。お腹がいたいとか、起きられないとか言うけれど、休ませていいのかな…。このまま不登校になってしまうの?

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 学校へ行きしぶるときの対応方法(登校しぶり対応)
  2. それでも学校に行かないときの対応方法

 

私は児童精神科でお子さんのカウンセリングや心理検査を行っている身ですが、正直なところ、登校しぶりの段階で病院に来る親御さんはまれです。まだ病院に行くほどではないだろうと感じているからこそ、この記事を読んでおられるのではないでしょうか。

登校しぶりの要因はさまざまだと思いますが、オーソドックスな対応について解説していきます。

学校へ行きしぶるときの対応方法(登校しぶり対応)

結論から言うと、登校しぶりが始まった段階では、常識的な対応として学校に行くよう促した方が良いです。ここで、「あ、不登校始まったのね、休ませてあげなきゃね」というのは物分かりが良すぎだと思います。

児童精神科医の成重先生も不登校初期の対応について、以下のように言っています。

子どもが学校に行き渋る時に、親としての常識的な対応は、学校に行くよう促すことです。そうした対応でなんとか学校に行けるのであれば、それをそのまま続けるのが最善の方法です。

※「不登校に陥る子どもたち」より引用(成重,2020)

ただし、お子さんも嫌なことがあるから行きしぶっているので、環境調整は検討した方がよいでしょう。

具体的には、お子さんや担任の先生から情報収集して、何がどう変わったら少し行きやすくなるか聞いて、できることは対応してあげるなどです。教師の対応、クラスメートとのトラブル、学習に追いつかない、習いごとが多すぎて疲れ切っている、などが多く見られます。

また、お子さんの心理として、大した理由はないけど願わくば行きたくない、くらいのレベルの登校しぶりもあるかと思います。そういう場合は休む基準を伝えてあげると良いでしょう。例えば以下です。

  • 熱があるなら、何度以上なら病院に行く
  • お腹が痛いなら病院に行き、お医者さんが休む必要があると言ったら休む
  • 体調が悪くて休むのだから、家では体をやすめることに努め、ゲームはやらない

この時期は対応を少し工夫するだけで状況が改善する可能性があります。習慣的にやっている対応を変えてみたり、お子さんの考え方を変えてあげたりするアプローチもありだと思います。

例外もあります。例えば、いじめで非常に傷ついているなど、本人の精神的なストレスが強い場合は、休ませた方が良いこともあります。

まとめ
基本的には嫌な要因を取り除いて登校を促す。明確な理由がない場合は欠席する基準を設けて守るようにする。

なお、ご本人の生まれ持った特徴として、分離不安が強い、発達障害の特性があるなどの理由から、学校にいることがストレスになっている場合もあります。そういった可能性がありそうであれば、小児科や児童精神科を受診するのも選択肢の1つです。

次に、登校しぶりが長期化した際の対応について説明します。

「何日休んだら不登校と思った方がいいのか?」と疑問に思う方もおられると思います。これといって基準はないですが、1ヵ月間登校できないないのであれば、継続した登校は難しいとは感じます(あくまで目安です)。

それでも学校に行かないときの対応

成重先生は以下のように述べています。

不登校の初期の対応は非常にシンプルです。この段階でやるべきことは、とにかく不登校を周囲の関係者が受け入れるということにつきます。不登校の初期において子どもが苦しいのは「学校は行くべきである」という観念によって自身の不登校を受け入れることができず、無理を重ねていくからです。(中略)子ども自身が率先して不登校を受け入れることは困難ですから、親や教師といった周囲の人たちがまず子どもの不登校を受け入れ、子どもに対して「この状況で学校に行くのが苦しいのは当然だから、無理して学校にちゃんと行こうとする必要はない」と繰り返し伝えることです。

※「不登校に陥る子どもたち」より引用(成重,2020)

登校への希望を持ちたい親御さんにとってはきつい現実かもしれませんが、認めることが第一歩です。この対応をとる理由は、登校刺激を続けてお子さんのエネルギーが減れば減るほど、回復までに時間と労力がかかるからです。

「それって専門家のくせに積極的に不登校増やそうとしてない?」「休ませるだけじゃだめって聞いたけど?」と感じる方もいるかもしれません。それについて成重先生は以下のように解説しています。

不登校への対応なのに、これでは積極的に不登校にさせていることになりますが、それこそが良い方法なのです。不登校の経過において、不登校の初期が子どもの苦痛が強い時期で、この段階が長引くとそれだけ心理的な後遺症が残ってしまいます。逆にこの初期を速やかにやり過ごせれば、次に来る中期を短期化できたりします。より早期の段階で、子どもと周囲の関係者が不登校という事態を受け入れられれば、中期を飛ばしてそのまま回復期に移行させられる可能性もあります。

※「不登校に陥る子どもたち」より引用(成重,2020)

先を見すえるとこれが最善なのかもしれません。

初期段階で無理に粘ると、親子関係がかなり険悪になってしまい、安定したコミュニケーションをとることすらままならなくなるリスクがあります。

その後の不登校としての対応については大きく2パターンあると私は考えています。それについては以下の記事をご覧ください。成重先生の支援方法は「長期的視点型の支援」に属すると私は解釈しています。

 

本記事で参考にした書籍

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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