不登校

【薬で解決?】ADHDだと不登校になりやすい?【ぐれない子育て】

不登校の子どもを病院につれていったらADHDと診断された…。ADHDが治れば不登校は解決するの? 薬が効くから考えてくださいとお医者さんに言われたけど、怖くてつかいたくない…

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. ADHDだと不登校になりやすい?
  2. ADHDが治れば不登校は解決するか【コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセで不登校は解決する?】
  3. ADHDのお子さんがぐれない子育て方法【ペアトレが最強】

 

私は現在、児童精神科で臨床心理士をしています。不登校のお子さんやADHDのお子さんのカウンセリングをしており、自分もそういったお子さんのカウンセリングをどうやって進めればよいか悩んだ経験があります。

その経験や反省を書いていきますので、参考にしてみてください。

では、Let’s 心理教育っ。

ADHDだと不登校になりやすい?

統計上の結果を一言で言うと、定型児と比較して発達障害のお子さんの方が不登校になるリスクは確かに高いですが、ASD(自閉症スペクトラム)やLD(学習障害)と比較してADHDのお子さんが不登校になりやすいか調べるのは困難、ということです。

比較検討した研究が見当たらないのと、統計を取るのが難しいという現実があるようです。統計的なことを詳しく知りたい方は以下の記事が役立ちます。
>>不登校と発達障害の重複割合は?医療機関・教育機関の調査・統計から見える傾向(外部サイト)

ではなぜADHDのお子さんの不登校のリスクが高くなるかというと、学習や対人関係の面で失敗して傷つく可能性が高いからです。

具体例

  • 多動で動き回ってしまい「座りなさい!」と怒られる
  • 衝動的に行動したり、しゃべったりすることで「空気が読めない」と怒られる
  • 不注意によって忘れ物をして怒られる
  • ケアレスミスが増えて「また失敗しちゃった…」と自信がなくなる。
  • やりたくないことを先延ばしにして準備も宿題もおわらず「学校に行きづらい」と感じる

こういったことが日常的におこれば、そりゃ元気も減りやすいですよね。

「でも、ADHDの子どもだって学校に行けている人はいるじゃん」と感じた人もいるかと思います。それはその通りで、ADHDの診断を受けていても、不登校にならず、学校に登校できているお子さんはたくさんいます。

この理由は、不登校になる要因(リスク)がほんっとうに様々でADHDだけで説明するのは無理だからです。次の画像がイメージ図になります。不登校は身体的、心理的、環境的な要因が混ざり合って生じます。

 

一旦まとめ

ADHDのお子さんは定型のお子さんに比べて不登校のリスクはありますが、ADHDだけで不登校になりやすいか説明するのは難しいのです。

ADHDが治れば不登校は解決するか【コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセで不登校は解決する?】

大前提として、ADHDの症状自体を薬で軽減することは可能ですが、ADHDは生まれ持った脳の特徴なので、治るものではなく、付き合っていくものです。

顔や体形が遺伝的にある程度決まった個性であるように、ADHD特性も能力的な個性です。だたし、それで日常生活に困難が生じる場合は「障害」と呼ばれます。

前置きはこれくらいにして、ADHDの症状を軽減すれば学校に行くかどうかですが、それはケースバイケースです。

「そんなことはわかっとるわ!」と思われたかもしれませんが、そうとしか言えないのです。不注意症状が軽減されて集中力がキープでき、授業を受けることが嫌でなくなり、友達からのからかいが減り、結果的に学校に行っても良いかと思えるようになるお子さんもいます。

とはいえ、ここからは現場でカウンセリングをしてる私の完全なる主観ですが、症状が改善しても学校に再登校できる不登校のお子さんはほぼいません。

不登校の定義は年間30日以上の欠席ですが、1ヵ月以上家にいたらADHD症状うんぬんの問題ではなくなります。そこには学校いったら恥をかくかも、という「気後れ」の心理が大きくからんでくるためです。気後れについては【図解】学校に行けない理由・原因・対応方法|不登校の心理「気後れ」を解説を参考にしてみてください。不登校のお子さんの気持ちがぐっとわかるようになれます。

1点だけ例外なのは、完全に不登校になっておらず、「時々学校を休む」状態(登校しぶりと言います)であれば、薬のアシストによって学校にいることの「嫌度」が減る可能性はあります。

まだ登校しぶりで一進一退のお子さんであれば、薬物療法を試してみることもよいかもしれません。その場合に受診する医療機関は「児童精神科」をおすすめします。

ADHDのお薬としては以下の薬があります。

  • コンサータ
  • ストラテラ
  • インチュニブ
  • ビバンセ

効果と副作用についてはネットで調べることもできますが、素人の自己判断はたいへん危険ですので、医師の指導をしっかり受けてください。

ADHDの症状を軽減しても再登校は難しいことが多いですが、登校しぶりで一進一退状況であれば、お子さんの気持ちの負担を取り除くために、受診を検討してみるのもよいと思います。

最後に、一番大切な薬である、「親御さんのかけることば」について紹介して終わりたいと思います。

ADHDのお子さんがぐれない子育て方法【ペアトレが最強】

結論から言えば、ADHDのお子さんがぐれないような子育て方法は、ペアレントトレーニング(ペアトレ)です。

ペアトレの厳密な定義はないですが、厚生労働省の「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」から説明を引用おきます。

ペアトレは、環境調整や子どもへの肯定的な働きかけを学び、保護者や養育者の関わり方や心理的なストレスの改善、子どもの適切な行動の促進と不適切な行動の改善を目的としたプログラムです。

引用元:ペアレント・トレーニング実践ガイドブック(外部サイト)

ペアトレではADHDのお子さんへの適切な関わり方を学びます。

「子育てに適切もくそもないだろう」と思われた方もいるかもしれませんが、ADHDのお子さんはせわしなかったりわすれっぽかったりと、とにかく怒られやすいです。

どうやったら親御さんができるだけ怒らず、お子さんのよい行動を増やせるか、その悩みから解放されるために、ペアトレは大変役にたちます。不登校の解決というより、日々子どもに怒らない生活を手に入れたい方は学んでみてはいかがでしょうか。

ペアトレを学ぶには講習会や本を読んで勉強する方法があります。私が読んだ中では以下の本が安く、短く、読みやすいのでおすすめです。

 

本記事のまとめ

1.ADHDだと不登校になりやすい?
➝統計上は、定型発達のお子さんよりは、発達障害をお持ちのお子さんの方が不登校になりやすいようです。

2.ADHDが治れば不登校は解決するか【コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセで不登校は解決する?】
➝長期化した不登校の場合はADHD症状を軽減しても再登校につながる可能性は低いですが、登校しぶりの段階での投薬はお子さんの学校生活ストレスを減らせるかもしれない。

3.ADHDのお子さんがぐれない子育て方法【ペアトレが最強】
➝子どもを怒りまくる生活から解放されたい方はペアレントトレーニングがおすすめです。

他にも不登校の記事がありますので、参考にしてみてください。

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  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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