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【2024年】認知行動療法おすすめ本10選【臨床心理士が紹介】

心のセルフケアに認知行動療法がいいって聞いたけど、ネットで調べてもよくわからなかった。本で勉強したいけど、数がありすぎてどれがよいかわからないよ…
カウンセリングで認知行動療法をするから勉強したいけど、読みやすくて内容が濃い本ってあるかな。

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 【専門家向け】認知行動療法のおすすめ本3選
  2. 【一般向け】認知行動療法のおすすめ本3選【セルフケアにおすすめです】
  3. 行動療法のおすすめ本2選
  4. 認知療法のおすすめ本2選

 

記事の信頼性
私は現在、医療機関でカウンセリングや心理検査を行っている臨床心理士です。年間のカウンセリング回数は約1000回。研究では査読ありの学会誌に論文が1本掲載されました。

勉強はしたいけど本を買うお金には限りが…。

というのが私を含め皆さんの本音ではないでしょうか。

この記事では現役の臨床心理士が、実際に役に立った「認知行動療法」に関する本を紹介いたします。

著者の知名度などにも踏み込んで紹介していきますので、参考にしてみてください!

【専門家向け】認知行動療法のおすすめ本3選

カウンセリングで認知行動療法を行う専門家の方向けのおすすめ本は以下です。

  1. カウンセリングの理論 (下):力動論・認知行動論・システム論
  2. 認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング
  3. 臨床心理フロンティアシリーズ 認知行動療法入門 (KS専門書)

 

①カウンセリングの理論 (下):力動論・認知行動論・システム論

私が様々な本を読んだ結論は、認知行動療法がどのような心理療法かを知るためには、他の心理療法と比較しないとわからない、ということです。

例えばですが、格闘技を学ぶときにボクシングしか知らないとしたら「格闘技はパンチのみで戦うものである」と思うはずです。しかし、キックボクシングや柔道などを学ぶことで、キックや寝技というのもあるんだ、という発見があり、ボクシングはパンチやフットワークを極めて相手を倒す格闘技なのだと、ボクシングの独自性がわかるはずです。

心理療法も同じで、1つの心理療法の「らしさ」・「独自性」を理解するには他の心理療法と比較する相対化の作業が不可欠だと思います。

その作業にうってつけなのが諸富先生の「カウンセリングの理論 (上)(下)」です。

諸富先生ご自身はクライアント中心療法などのパーソンセンタードアプローチの大家ですが、多くの心理療法に精通しておられ、その語り口も迫力があるというか、わかりやすいうえに芯をくった詳しい解説をしてくださいます。

認知行動療法は(下)の方に記載があるので、精神分析と家族療法のことも学べてしまうためお得感もあります。

認知行動療法の独自性を理解するために大変おすすめな書籍です。

②認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング

恐らく、臨床心理士の方であれば、やったことはなくてもCBTがどのような心理療法かは大体知っているはずです。

例えば、認知再構成法、コラム法、問題解決技法、セルフモニタリング、活動記録表、行動活性化、などがどんな技法かは知っていますよね。

では皆様が何が知りたいかというと、技法の具体的な使い方や面接の流れではないでしょうか。

伊藤先生のこの本はワークショップ形式で、具体的な面接の手順を解説してくださいます。

もし認知行動療法の基礎知識自体をおさらいしたい方は、伊藤先生の「ケアする人も楽になる 認知行動療法入門」もお勧めです。

なお、伊藤絵美先生はCBTを行う個人オフィスを構えておられて、著作もめちゃめちゃ多く、有名な先生です。私はDVD持っていますが、冷静沈着でスムーズな面接運びには圧倒されました。

 

参考

ちょっとブレイク。私が勝手に感じている認知行動療法の認知行動療法らしさは技法ではなく「面接の構造化」です。面接の最初に何を話すかをあらかじめ決める、というのは他のセラピーではあまりないでしょう。時間を有効活用してできるだけ意味のある面接にする、という実用主義的な面が強く出ていると感じます。

③臨床心理フロンティアシリーズ 認知行動療法入門 (KS専門書)

この本は教科書的な本としておすすめです。

理由は著者の先生方が有名だからです。日本の大学院で認知行動療法で有名なのは東京大学と早稲田大学だと思いますが、この本は東大の下山先生と、早稲田の熊野先生、鈴木先生が書いている本です。

結局のところ、本を選ぶ基準は、誰が書いているかだったりします。

有名な先生の本は1回読んでおいて損はないかと思います。

【一般向け】認知行動療法のおすすめ本3選【セルフケアにおすすめです】

専門家でない方がメンタルヘルスのセルフケアとして認知行動療法を行う場合におすすめの本を紹介します。

  1. マンガでやさしくわかる認知行動療法
  2. 認知行動療法で「なりたい自分」になる: スッキリマインドのためのセルフケアワーク
  3. 心の容量が増えるメンタルの取扱説明書【「くり返し使える! 心を整理するワークシート」DL特典付き】

 

①マンガでやさしくわかる認知行動療法

何だかんだ言って、とっつきやすいのは漫画です。

漫画のように絵がついている方がわかりやすいですし、何より、ちょっと読んでみようかなという気持ちになりますよね。究極を言えば、「本を買って認知行動療法に取り組むこと」が何よりも大切でして、ぶっちゃけ「どの本を使うか」は大した問題ではないです

Amazonで★4以上であればたいていは良い本ですから、読みやすさを重視するなら漫画で大丈夫です。

②認知行動療法で「なりたい自分」になる: スッキリマインドのためのセルフケアワーク

漫画でなくてもよいという方は、高井先生の「認知行動療法で「なりたい自分」になる: スッキリマインドのためのセルフケアワーク」がおすすめです。

高井先生は神戸で開業されておられるカウンセラーであり、信頼性は太鼓判。本もカラーで見やすいですし、何より、自分で取り組めるワークシートやマインドフルネス動画リンクを収録している点もありがたいです。

Youtubeに宣伝があったので参考までに貼っておきます。

セルフケアは、この本から始めてみましょう。

③心の容量が増えるメンタルの取扱説明書【「くり返し使える! 心を整理するワークシート」DL特典付き】

認知行動療法の入門書ではないですが、メンタルヘルスのセルフケアにおいては相当に良い本なので紹介いたします。

とにかく表紙の絵が可愛いですよね。もうそれだけでとっつきやすいです。内容も感情、行動、思考、という認知行動療法の要素を含み、明日からできるストレスケアの方法がやわかりやすく書いてあります。

洋書の翻訳なので文章がすこーし硬いところはありますが、内容的には素晴らしい良書です。

行動療法のおすすめ本2選

行動療法に特化した本として2冊を紹介します。

  1. はじめてまなぶ行動療法
  2. 新訂増補 方法としての行動療法

 

①はじめてまなぶ行動療法

ここ数年で最も有名な行動療法の本ではないでしょうか。

以下Amazonからの抜粋ですが、

  • 心理療法としての行動療法の発展を解説した第I部(第1章)
  • それぞれ行動療法のエンジンとも呼べる「レスポンデント条件づけ」「オペラント条件づけ」を紹介する第II部(第2~3章)と第III部(第4~8章)
  • 人間に固有の行動といえる「ものを考えること(認知・言語的行動)」に焦点を当てた第IV部(第9~11章)
  • 行動療法の臨床応用において永遠のテーマと呼べるセラピストとクライエントとの関係性にフォーカスした第V部(第12~14章)
  • 行動療法の世界観を解説した第VI部(第15章)

もう十分すぎて読むのが大変そうですが、読みやすい文章ですのでご心配なく。

三田村先生は立命館大の先生でインタビューがありましたので、どんな人が書いているか知りたい方は参考にしてみてください。

行動療法を網羅的に学びたい方はひとまずこの本から入るのが吉。

②新訂増補 方法としての行動療法

実はわたくしこの本が大好きでして、この記事で一番おすすめです。

行動療法の本なのですが、山上先生は行動の連鎖を円環的に見ることの重要性を話しておられ、ブリーフセラピーのMRIモデルと近い捉え方をされているのかなと感じました。

山上先生はなんとあのウォルピから直に学んだ先生のようで、まさに行動療法の大家です。

認知療法のおすすめ本2選

①はじめての認知療法/②こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳

結論、認知療法を学ぶなら大野先生の本を読めばよいかと思います。

大野先生は日本の認知療法の第一人者ですし、たぶんこの記事で紹介したなかで最も有名な先生で、生きる伝説レベルかと思います。認知療法の提唱者であるA.ベックの本の翻訳も数多いです。

この本は新書なので読みやすいですが、ワークシートなどは「こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳」にあたった方がよいです。

認知行動療法は行動療法と認知療法を含んだ技法群なので、改めて認知療法の本を買う理由はあまりない気はしますが、大野先生の本を読むことが目的であれば、上記2冊が入りやすくおすすめです。

以上になります。

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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