書籍紹介

【2025年】認知行動療法おすすめ本12選【セルフケア・専門家向け両方】

心のセルフケアに認知行動療法がいいって聞いたけどネットで調べてもよくわからなかった。

本で勉強したいけど数がありすぎてどれがよいかわからない…

ベストセラーの本や有名な著者を教えてほしい…

カウンセリングで認知行動療法をするから勉強したいけど、読みやすくて内容が濃い本ってあるかな。

こういった疑問にお答えします。

 

本記事の内容

  1. 【専門家向け】認知行動療法のおすすめ本3選
  2. 【一般向け】認知行動療法のおすすめ本5選【セルフケアにおすすめです】
  3. 行動療法のおすすめ本2選
  4. 認知療法のおすすめ本2選

 

記事の信頼性

私は医療機関や企業でカウンセリング経験のある臨床心理士です。

研究では査読ありの学会誌に論文が1本掲載されました。

勉強はしたいけど本を買うお金には限りが…

というのが私を含め皆さんの本音ではないでしょうか。

この記事では現役の臨床心理士が実際に役に立った「認知行動療法」に関する本を紹介いたします。

 

セルフケアで認知行動療法の本を使用したい方へ

心理学の専門家でない一般の方向は「セルフケア」のために本を探していることと思います。

そのために大事なことは以下の要素ではないでしょうか。

  • 読みたいと思えること
  • 文章が読みやすいこと
  • 内容がわかりやすいこと
  • 自分でもできそうだと思えること

本記事ではこれらを網羅する本を紹介していますし、ワークブック付きのものも紹介しています。

また、日々新しい本が出版されるので2025年最新版の良い本を選びなおしました

KindleUnlimitedを使うことで無料で読める本も紹介していますので参考にしていただければ幸いです。

著者の知名度などにも踏み込んで紹介していきます。

 

【専門家向け】認知行動療法のおすすめ本3選

専門家の方が自己研鑽したり業務の参考として使う場合のおすすめ本は以下です。

  1. カウンセリングの理論 (下):力動論・認知行動論・システム論
  2. 認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング
  3. 臨床心理フロンティアシリーズ 認知行動療法入門 (KS専門書)

 

①カウンセリングの理論 (下):力動論・認知行動論・システム論

私が様々な本を読んだ結論は、認知行動療法がどのような心理療法かを知るためには他の心理療法と比較しないとわからない、ということです。

例えばですが、格闘技を学ぶときにボクシングしか知らないとしたら「格闘技はパンチのみで戦うものである」と思うはずです。

しかし、キックボクシングや柔道などを学ぶことで「キック」や「投げ技」「寝技」というのもあるんだ、という発見があり、ボクシングはパンチやフットワークを極めて相手を倒す格闘技なのだと、ボクシングの独自性がわかるはずです。

心理療法も同じです。

1つの心理療法の「らしさ」・「独自性」を理解するには他の心理療法と比較する相対化の作業が不可欠だと思います。

その作業にうってつけなのが諸富先生の「カウンセリングの理論 (上)(下)」です。

諸富先生ご自身はクライアント中心療法などのパーソンセンタードアプローチの大家ですが、多くの心理療法に精通しておられます。

その語り口も迫力があるというか、わかりやすいうえに詳しい解説が満載です。

認知行動療法は(下)の方に記載があるので、精神分析と家族療法のことも学べてしまうためお得感もあります。

Amazonレビューは記事更新時点で21件、★4.2と高評価です。

目次を引用します。

【目次】
第4章 精神力動論の立場
1 精神力動論の特徴
2 フロイトの精神分析
3 「精神分析的カウンセリング」「力動的カウンセリング」
4 対象関係論
5 力動論的方法の短期化の動きと短期力動療法
6 AEDP(加速化体験力動療法)

第5章 ユング心理学とアドラー心理学──「精神力動論」と「自己成長論」の間
1 ユング心理学(分析心理学)
2 ジェイムス・ヒルマン「魂の心理学」(ユング派の「元型心理学」)
3 アドラー心理学(個人心理学)

第6章 認知行動論の立場
1 認知行動論の特徴
2 第一世代──行動療法
3 第二世代──認知行動療法
4 第三世代の認知行動療法

第7章 システム論の立場──家族療法、ブリーフセラピィ、ナラティブ、オープンダイアローグ
1 システム論的な見地
2 家族療法
3 ブリーフセラピィ
4 ソリューション・フォーカスト・アプローチ
5 ナラティブ・アプローチとナラティブ・セラピー
6 ライフデザイン・カウンセリング
7 オープンダイアローグ

第8章 その他のアプローチ
1 動機づけ面接
2 交流分析
3 内観法
4 森田療法
5 EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
6 回想法(ライフレビュー)
7 ピークエクスペリエンス体験ワーク
8 ソマティック・エクスペリエンシング

第9章 カウンセリングのおける「開かれた統合的アプローチ」
1 「カウンセリング理論・全体見取り図」に「その他のアプローチ」を位置づける
2 まとめ
3 統合に向かう傾向──「大きな統合」と「小さな統合」
4 日々の臨床の基本スタンスとしては「小さな統合」=「面接のタイプや経過とともに技法を変えていくスタンス」
5 「開かれた統合」へ──統合性と多元性
6 「核に据える学派(ベースに据える学派)」をどのようにして選択するか──あなたは「何のスペシャリスト」になりたいのか
7 「自分のライフワークにかかわる特定のテーマ」に関しては「大きな統合」
8 EAMA(体験‐アウェアネス‐意味生成アプローチ)──実存的自己探究を援助する新たな統合的アプローチ

Amazonより

認知行動療法の独自性を理解するために大変おすすめな書籍です。

 

②認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング

恐らく臨床心理士の方であれば、やったことはなくてもCBTがどのような心理療法かは大体知っているはずです。

認知再構成法、コラム法、問題解決技法、セルフモニタリング、活動記録表、行動活性化、などがどんな技法かはすでにご存じかと思います。

では皆様が何が知りたいかというと、技法の具体的な使い方や面接の流れではないでしょうか。

伊藤先生のこの本はワークショップ形式で、具体的な面接の手順を解説してくださいます。

もし認知行動療法の基礎知識自体をおさらいしたい方は、伊藤先生の「ケアする人も楽になる 認知行動療法入門」もお勧めです。

なお、伊藤絵美先生はCBTを行う個人オフィスを構えておられて著作も非常に多く有名な先生です。

私はDVD持っていますが、冷静沈着でスムーズな面接運びには圧倒されました。

 

参考

私が勝手に感じている認知行動療法の認知行動療法らしさは技法ではなく「面接の構造化」です。

面接の最初に何を話すかをあらかじめ決める、というのは他のセラピーではあまりないでしょう。

時間を有効活用してできるだけ意味のある面接にする、という実用主義的な面が強く出ていると感じます。

 

③臨床心理フロンティアシリーズ 認知行動療法入門 (KS専門書)

この本は教科書的な本としておすすめです。

理由は著者の先生方が有名だからです。

日本の大学院で認知行動療法で有名なのは東京大学と早稲田大学だと思いますが、この本は東大の下山先生と、早稲田の熊野先生、鈴木先生が書いている本です。

結局のところ、本を選ぶ基準は誰が書いているかだったりします。

有名な先生の本は1回読んでおいて損はないかと思います。

 

【一般向け】認知行動療法のおすすめ本5選【セルフケアにおすすめです】

次に専門家でない方が自分のセルフケアとして認知行動療法を行う場合におすすめの本を紹介します。

専門家の方がクライアントさんにわかりやすく伝える際の参考にもなると思うので専門家の方にもお勧めです。

  1. マンガでやさしくわかる認知行動療法
  2. マンガ ネコでもできる! 認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?! に変わる本(2025年追加)
  3. 自分にやさしくする生き方 (ちくまプリマー新書 484)&セルフケアの道具箱 ―― ストレスと上手につきあう100のワーク
  4. 認知行動療法で「なりたい自分」になる: スッキリマインドのためのセルフケアワーク
  5. 心の容量が増えるメンタルの取扱説明書【「くり返し使える! 心を整理するワークシート」DL特典付き】
  6. Kindleで無料で読める認知行動療法の本

 

①マンガでやさしくわかる認知行動療法

何だかんだ言って、とっつきやすいのは漫画です。

漫画のように絵がついている方がわかりやすいですし、何より、ちょっと読んでみようかなという気持ちになりますよね。

究極を言えば「本を買って認知行動療法に取り組むこと」が何よりも大切でして、ぶっちゃけ「どの本を使うか」は大きな問題ではないです

Amazonで★4以上であればたいていは良い本ですから、読みやすさを重視するなら漫画で大丈夫です。

 

②マンガ ネコでもできる! 認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?! に変わる本(2025年追加)

認知行動療法で最も有名と言っても過言ではない大野先生が漫画家のねこまきさんとタッグを組んで2024年12月に出版した新しい本です。

まず絵が可愛い。

それは内容とは関係ないと思われるかもしれませんが、初めて学ぶことに立ち向かうときに「読んでみたい」と思えるポップさは背中を押してくれる重要な要素だと思います。

内容的にもレジリエンス、自動思考など専門語をわかりやすく説明してくださっています。

私が最近カウンセリングをしていて思うのは、多くの方が「不安」という感情への対処に難しさを感じているということです

その点この本は【「不安」はシャボン玉ニャ。そのうちなくなるニャ】と軽快な見出しで理屈と対処を教えてくれるため勇気づけられる本だと思います。

わかりやすさ重視の方におすすめなのでAmazonで目次だけでも見てみてはいかがでしょうか。

 

③自分にやさしくする生き方 (ちくまプリマー新書 484)

こちらは2025年3月に発売された認知行動療法の第一人者である伊藤絵美先生の新書です。

タイトルに「認知行動療法」と書かれてはいませんが、セルフケアの参考になる本を探している方におすすめです。

内容的には認知行動療法だけでなくセルフコンパッションなどの要素が入っていますがそんな専門用語を知らなくても全く問題なく読めます。

何が言いたいかというと、認知行動療法の伊藤先生が近年流行した概念を取り入れて「わかりやすいセルフケア」に落とし込んだ本なのでおすすめです、ということです。

もし認知行動療法に特化した伊藤先生のセルフケア本を読みたい場合は「セルフケアの道具箱 ―― ストレスと上手につきあう100のワーク」の方を読んでみるとよいかと思います。

Amazonレビュー666件、★4.4(記事更新時点)の超定番でベストセラーと言っていいと思います。

 

④認知行動療法で「なりたい自分」になる: スッキリマインドのためのセルフケアワーク

ワークをお探しの方は高井先生の「認知行動療法で「なりたい自分」になる: スッキリマインドのためのセルフケアワーク」がおすすめです。

高井先生は神戸で開業されておられるカウンセラーの先生であり信頼性は十二分。

本もカラーで見やすいですし、何より、自分で取り組めるワークシートやマインドフルネス動画リンクを収録している点もありがたいです。

Youtubeに宣伝があったので参考までに貼っておきます。

 

 

⑤心の容量が増えるメンタルの取扱説明書【「くり返し使える! 心を整理するワークシート」DL特典付き】

認知行動療法の入門書ではないですが、メンタルヘルスのセルフケアにおいては相当に良い本なので紹介いたします。

とにかく表紙の絵が可愛いですよね。もうそれだけでとっつきやすいです。

内容も感情、行動、思考、という認知行動療法の要素を含み、明日からできるストレスケアの方法がやわかりやすく書いてあります。

洋書の翻訳なので文章がすこーし硬いところはありますが、内容的には素晴らしい良書です。

 

最後にKindleUnlimitedで読み放題の中からお勧めの本を紹介します。

図解 認知のゆがみを直せば心がラクになる (扶桑社ムック)

福井先生も認知行動療法をわかりやすく解説した本を書かれていることで有名です。

この本はKindleUnlimitedで読み放題(0円)となっており既に登録している方は無料で読むことができます。

登録がまだの方は新規登録後30日は無料体験期間なので0円で読むことができます。

期間内に解約すればお金はかかりませんので試してみるのもよいかもしれません。

>>Kindle Unlimitedを30日無料体験(Amazon公式ページ)

私は正直Kindleで本を読むことを食わず嫌いしていましたが、本を置くスペースがなくなってきたため最近はKindleで買うようになりました。

かさばらないですしスマホでどこでも読めるのがメリットでとても満足しています。

気になったページを記録しておく機能もあり読み返すことが容易なのもいいです。

デメリットとしては紙の本に慣れた人だと違和感を感じるかもしれないのと、パラパラめくって内容をざっと把握することがしづらいことかなと感じました。

とは言え0円で試せますし、有料になったとしても月に2冊読めばもとは取れるのでお勧めです。

行動療法のおすすめ本2選

行動療法に特化した本として2冊を紹介します。

  1. はじめてまなぶ行動療法
  2. 新訂増補 方法としての行動療法

 

①はじめてまなぶ行動療法

ここ数年で最も有名な行動療法の本ではないでしょうか。

以下Amazonからの抜粋ですが、

  • 心理療法としての行動療法の発展を解説した第I部(第1章)
  • それぞれ行動療法のエンジンとも呼べる「レスポンデント条件づけ」「オペラント条件づけ」を紹介する第II部(第2~3章)と第III部(第4~8章)
  • 人間に固有の行動といえる「ものを考えること(認知・言語的行動)」に焦点を当てた第IV部(第9~11章)
  • 行動療法の臨床応用において永遠のテーマと呼べるセラピストとクライエントとの関係性にフォーカスした第V部(第12~14章)
  • 行動療法の世界観を解説した第VI部(第15章)

もう十分すぎて読むのが大変そうですが、読みやすい文章ですのでご心配なく。

三田村先生は立命館大の先生でインタビューがありましたので、どんな人が書いているか知りたい方は参考にしてみてください。

行動療法を網羅的に学びたい方はひとまずこの本から入るのが吉。

 

②新訂増補 方法としての行動療法

実はわたくしこの本が大好きでして、この記事でも特におすすめです。

行動療法の本なのですが、山上先生は行動の連鎖を円環的に見ることの重要性を話しておられ、ブリーフセラピーのMRIモデルと近い捉え方をされているのかなと感じました。

山上先生はなんとあのウォルピから直に学んだ先生のようで、まさに行動療法の大家です。

 

認知療法のおすすめ本2選

最後に認知療法の本についても紹介します。

ほとんど認知行動療法と同じですが、本のタイトルとして「認知療法」とついているものはこちらにまとめています。

①はじめての認知療法/②こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳

結論、認知療法を学ぶなら大野先生の本を読めばよいかと思います。

大野先生は日本の認知療法の第一人者ですし、たぶんこの記事で紹介したなかで最も有名な先生で、生きる伝説レベルかと思います。

認知療法の提唱者であるA.ベックの本の翻訳も数多いです。

この本は新書なので読みやすいですが、ワークシートなどは「こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳」にあたった方がよいです。

認知行動療法は行動療法と認知療法を含んだ技法群なので、改めて認知療法の本を買う理由はあまりない気はしますが、大野先生の本を読むことが目的であれば、上記2冊が入りやすくおすすめです。

以上になります。

他にも書籍の紹介ページがありますのでよかった読んでみてください。

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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