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不登校の子どもが寝てばかりいる理由5選【病気との関係も徹底解説】

不登校の子どもが寝てばかりいるけどこれって病気なの?。朝に起こすと一旦は起きるけど、その後またすぐ寝てしまうし、どうしたらいいのかわからない…。起立性調節障害という病気もあるらしいけど、うちの子もそうなのかしら…

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 不登校の子どもが寝てばかりいる理由5選【心配は無用です】
  2. 子どもが寝てばかりいる時、親はどうしたらよいか
  3. 起立性調節障害で不登校になることはあるの?

 

私は現在、児童精神科で不登校などのお子さんのカウンセリングをしている臨床心理士です。「朝起きられない」「小児科で起立性調節障害と診断された」といったお子さんの対応もしておりますので、的は外れていないと思います。

子どもが起きないと「イライラする」、「うんざりしてしまう」という親御さんも多くいらっしゃいます。結論から言うと、起きられないから学校に行かないのではなく、学校に行きたくないから起きようとしない、という方が正しい理解です。

では、詳しく解説していきます。

不登校の子どもが寝てばかりいる理由【心配は無用です】

最初に心配無用の理由をお伝えすると、不眠でいるよりは精神的に健康だからです。

寝てばかりいるというのは言い方を変えると「しっかりと眠れている」ということでもあります。つまり、家ではある程度リラックスできている証拠です。

一方、不眠というのは年齢にかかわらず、最も重大なSOSサインの1つです。なかなか眠れない、何度も夜中に起きるなどの症状がある場合は、医療機関の受診を考えてください。

 

不登校の子どもが寝てばかりいる理由5選

不登校のお子さんで寝てばかりいる理由はだいたい以下5つのどれかか、複数の理由が合わさって生じています。

  1. 学校に行きたくないから、起きようとしない
  2. 夜中にスマホやゲームなどで夜更かししており、朝起きられない
  3. 昼夜逆転が続き、体内時計がバグっている
  4. 起立性調節障害である
  5. うつの過眠の症状がある

 

1つずつ解説していきます。

学校に行きたくないから、起きようとしない

登校したくないから起きようとしない(起きられない)お子さんは多いです。

お子さん自身は「起きようとしない」とは思っておらず、「理由はわからないけど、起きられない」「自分は起きたい」と言うケースが大半です。

学校に行きたくない気持ちの背景には「気後れ」による「自分は他者より劣っているかもしれない」という不安があります。不登校の中心的な心理については以下の記事を参考にしてみてください。
>>【図解】学校に行けない理由・原因・対応方法|不登校の心理「気後れ」を解説

夜中にスマホやゲームなどで夜更かししており、朝起きられない

子どもであれ大人であれ、夜更かししたら朝起きることはつらくなります。

不登校のお子さんの場合、夜というのは他の生徒も学校に行っていない時間のため罪悪感が軽くなり、元気になる時間帯です。安心して自分の好きなことに熱中していると、いつの間にかもう夜中過ぎ、なんてこともあるでしょう。

また、寝て朝になるのが嫌なので、寝る前にずるずるとスマホやゲームをいじる、というパターンもあるでしょう。

上記のような心理から、不登校のお子さんは就寝時間が遅くなりやすく、結果として起きられず、寝てばかりいることが増える傾向にあります。

昼夜逆転が続き、体内時計がバグっている

これは②とほぼ同じですが、昼夜逆転の生活が続くことで体内時計がバグってしまう(くるってしまう)状態を「概日リズム睡眠障害」と言います。

「概日リズム」というのはいわゆる「体内時計」のことです。具体的には、睡眠―覚醒のリズムを1日24時間の周期に同調させるような仕組みのことを言います。

学校への行きづらさによって睡眠時間が後ろにずれる状態が長期間続くことで、日中まで寝てばかりいることが普通になっているのかもしれません。次に説明する「起立性調節障害」ではない場合、シンプルに体内時計がくるっていると考えた方が納得いく場合があります。

起立性調節障害である

起立性調節障害(OD)とは自律神経の疾患であり、血圧の調節がうまくいかず、立ち上がるときや動き始めるときに「立ちくらみ」や「心拍数が上がりすぎる」といった症状が出ると言われています。

>>子どもに起こりやすい起立性調節障害(外部サイト)

不登校に限っていえば、心拍数が上がりすぎるというのはほぼ聞いたことがなく、朝起きられない、午前中が調子悪いという訴えが多いと感じます。

ODは身体が急速に変化する思春期に多いと言われています。小児科でODと診断されると血圧を上げるお薬が処方されることがあり、実際カウンセリングをしていると、メトリジンというお薬を飲んでいる子をよく見ます。

確かにODはお子さんの起きられない状態を説明できるのですが、ODが原因で不登校になる、という見方は間違いです。それについては後の章で説明いたします。

うつの過眠の症状がある

ずっと寝ている状態がうつ病の「過眠」である場合もなくはないですが、上記の4つに比べるとずっと少数です。

仮にうつ状態であれば、「気分の落ち込み」や「趣味を楽しめない」といった明らかに具合が悪い徴候が他にも出ますので、当てはまるときは早めに児童精神科を受診してください。

 

以上5つの理由をお伝えしました。

「うちの子には学校への不安や嫌な出来事もないし、どう見ても起きられないから行けないんですけど?」という親御さんもいるかもしれません。そうであれば、なぜお子さんは午後からでも登校しないのでしょうか?

行けるときに行けばよいと伝えても登校できないのであれば、それは起きられないから行かないのではなく、行きたくないから起きないと考えた方が納得いく説明だと思います。

では次に、親御さんはどういった対応をしたらよいのか解説していきます。

不登校の子どもが寝てばかりいる時、親はどうしたらよいか

これには親が採用する不登校支援のやり方によって、2つのパターンがあります。

私が不登校の「長期的視点型の支援」と呼んでいる支援方法では、朝起こすといった生活リズムを正すことは基本的にしません。

なぜなら、「朝起こす」などの「学校に行っている他の子どもと同じようにやりなさい」という指示は全て登校刺激と同じだからです。登校刺激はお子さんの心のエネルギーをどんどん減らしてしまうので、寝てばかりいるような段階ではしない方がよいです。

次に、私が不登校の「再登校重視型の支援」と呼んでいる支援方法では、生活リズムを改善することも支援に含まれます。具体的にルールを決めて、朝起こすための仕組みをつくります。

2つの支援については以下の記事で詳しく書いていますので、参考にしてみてください。
>>【重要】不登校支援の結論をお話しします【後悔しない基本の知識】

起立性調節障害で不登校になることはある?

最後に起立性調節障害で不登校になることはあるか、ですが、これは「ない」と思ってください。

記事の冒頭でもお伝えしましたが、不登校では、起きられないから学校に行かないのではなく、学校に行きたくないから起きようとしない、という方が正しい理解です。

起立性調節障害と診断されて昇圧剤で血圧のコントロールをサポートしても、学校に行けないお子さんは多くいらっしゃいます。理由は、そもそも学校自体が嫌だからです。登校に対する不安が本人の心の中にあるからです。それを改善しないことには、起立性調節障害をどうにかしたとしても、学校に行くことは難しいです。

実際にお子さんのカウンセリングをしていても、11時くらいに起きるお子さんはざらにいます。私はそれを正そうとはしません、やってもうまくいかないことは経験的にわかっているからです。それよりもまずはお子さん本人の元気が出るような関わりをしていきます。

ちゃんと元気になり、かつ親御さんが適切な関わりをしていれば、どこかのタイミングお子さんは「このままじゃまずいな」と思って動き出します。

長くなりましたがこの記事の内容は以上になります! 

以下の記事は私の不登校支援の結論になりますので、良かったら参考にしてみてください。お気に入りやtwitterのフォローもお待ちしています。

 

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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