不登校

【体験談】不登校の母親が疲れてうつにならない方法【ある母の言葉】

子どもが不登校になってどれくらいたつだろう…。母親の私だってもう疲れた…。このままうつにでもなったらどうしよう…。

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 不登校の母親が疲れてうつにならないためにできること【ある母の言葉】
  2. 何に疲れたのか解説します【少し元気になってから読んでください】
  3. 実はたくさんある。子どもが23歳になったときの解決像

 

私は現在、児童精神科に勤務している臨床心理士です。不登校のお子さんをはじめ、親御さんの相談にもかかわっております。

お母様が疲れてしまう理由は、「このままではうつになっちゃうよ」と思うくらい、お子さんのことを熱心に考えてあげているからに違いありません。ご家庭ごとに色々な考え方ややり方がありますが、共通していることは、命削ってお子さんのことを考えてあげていることだと、カウンセリングをしていて感じます。

あげられるなら、「君のお母さんは命かけて君のことを考えているよ」と伝えてあげたいです。

熱意があるがゆえに精神的にすり減ってしまうのは何とも切ないことです。本記事では、親御さんの疲れが少しでも軽くなる方法を、実際の親御さんの体験談をもとに紹介します。

その後、もし疲れが少しとれて「私はいったい何に疲れたのか」と振り返れるようになったら、2章の「疲れた理由」の分析を読んでみてください。

最後に少しでもお子さんの将来の見通しが持てるように、もしお子さんが23歳(大学卒業後の年のことです)になったらどのような解決像があるのかを紹介して終わりたいと思います。

では、Let‘s 心理教育。

不登校の母親が疲れてうつにならないためにできること【ある母の言葉】

私が実際に、不登校のお母様から聞いた印象的な言葉を紹介します。ブログ掲載にあたっては許可をとっています。

「無理に行かせたり、待ってみたり、いろいろなことを試して、今すぐどうにもならないことはわかっていたんです。だから、ただただ、共感して欲しかったんです」

この言葉を聞いてわかったことは、このお母様が望んでいたものは、お子さんを学校に行かせる方法ではなく、自分を受けとめてくれる相手だった、ということです。

受けとめてもらうことで、日々を生活する気力をぎりぎりでもキープすることができたのだと思います。

では、現代において、不登校の親御さんが共感をしたりされたりする方法を3つ紹介いたします。既に試していることもあると思いますが、その時はその方法をぜひ続けてみてください。

  1. twitterで不登校の親御さんとつながる(注意点もあり)
  2. 親の会に行ってみる
  3. カウンセリングを受けてみる

 

1つずつ解説していきます。

1. twitterで不登校の親御さんとつながる(注意点もあり)

twitterをやっていない親御さんは始めてみるのもよいかもしれません。

なぜなら、多くの同じ悩みをもった親御さんに出会うことができるからです。

具体的には以下のようなツイートがあります。

https://twitter.com/nayameruhaha01/status/1462206102859177994


ご覧の通り、多くのいいねが付くこともあります。

どこの誰かはわかりませんが、同じ悩みをもち、苦悩している人がいることを知ることができます。私の知り合いも、1人じゃないんだなと思ったと言っていました。

「こういうつぶやきをすると親の育て方が悪いと否定されそうで怖い」

と感じた方もいるでしょう。

確かに、そういった方がいないとは言い切れません。また、「子どもが学校に行った」という成功ツイートや、私のような支援者が「対応方法はこうです」と言った助言ツイートも出てきてしまう可能性はあります。

良し悪しを考えて、自分に合うと思ったら使ってみてもいいかもしれません。

2. 親の会に行ってみる

twitterのような顔の見えない関係や何が出てくるかわからないSNSに抵抗がある親御さんは「不登校の親の会」を利用してみるのも1つの手です。

理由はtwitterと同じで、同じ悩みをもった親御さんとつながることができ、共感し合ったり、お子さんへの対応の工夫をシェアできるからです。

以下のページは全国の親の会をまとめてくれているので参考になります。
>>【随時更新】全国の不登校・親の会一覧(外部サイト)

3. カウンセリングを受けてみる

同じ悩みをもった方と話すのは気が引けるという方は、カウンセリングを受けてみるのも1つの手です。

金銭的な負担を考えると、無料で受けたいですよね。

その場合は、市町村の教育支援センター(教育委員会)が行っているカウンセリングを利用するとよいかと思います。教育支援センターの職員は元教員や臨床心理士など専門的な知識を持った方ですから、安心して相談することができるはずです。

そのとき、まずは共感して話を聞いて欲しいとお伝えできるとよいでしょう。向こうもよかれと思ってお子さんへの関わり方を助言してくる場合もあるので、先手を打ち、まずは聞いて欲しいというニーズをはっきり伝えることでリスク回避ができます。

わかって欲しいのではなく、具体的な対応方法を知りたい場合は、不登校支援サービスをやっている専門の業者さんに話を聞いてもらうことも1つの手です。

専門サービスは不登校に特化した専門知識をもっており、助言もかなり具体的で現実的なものが多いです。無料セミナーや無料相談をしているサービスもありますので、参考にしてみてください。
>>逸高等学院の無料オンラインセミナー(公式サイト)

一旦ここまでのまとめです。

不登校の母親が疲れてうつにならないためにできること。

  1. twitterで不登校の親御さんとつながる(注意点あり)
  2. 親の会に行ってみる
  3. カウンセリングを受けてみる

次の章では具体的に「何に疲れたのか」について、もう少し踏み込んでみたいと思います。今はそんなこと知りたくない、という場合は少し元気になってから読んでみてください。

何に疲れたのか解説します【少し元気になってから読んでください】

結論から言えば、お子さんに気を遣うことに疲れたのではないでしょうか?

別の言い方をすると、我慢に疲れたともいえるかもしれません。

  • ゲームばっかり、怒りたいし、正したいけど、我慢
  • 勉強しろ!と思うけど、プレッシャーをかけないように我慢
  • 学校行かないなら理由ははっきり言え!、言えないことはわかっているから我慢

よって、最初の一歩は、不登校のお子さんを学校に行かせようと躍起になるのではなく、行く行かないにかかわらず、家庭でお子さんに気を遣わずにコミュニケーションをとること、かもしれません。

具体的には以下の視点が役に立つと思います。

  • ほめるときはしっかりほめる
  • 叱るときは適切にしかる
  • 家庭のルールは明確にする。許すところ、許さないところをはっきりさせる

1と2に関しては以下の書籍が役にたちます。私も持っていますが、叱ることを劇薬と捉え、使用することに慎重になっているところに非常に誠実さを感じます。

家庭のルールについては例えば朝起きる時間と寝る時間、日中の電子メディアの利用、もんげん、おこづかい、勉強などでしょうか。

学校行く行かないにかかわらず、一般的なスマホのルールなどは検索したら出てきますので参考にするとよいかもしれません。

生活リズムや日中のスマホやゲームの制限については親御さんがとる支援の方向性によって大きく2パターンに分かれます。それについては以下の記事を参考にしてみてください。
>>【重要】不登校支援の結論をお話しします【後悔しない基本の知識】

最後に、これでお母様の気持ちが楽になるかはわかりませんが、お子さんが23歳になったときに、生き方って色々あるよ、という気休め程度の章を書きましたので、お時間あれば読んでみてください。

実はたくさんある、子どもが23歳になったときの解決像

別の記事でも書きますが、次のことを想像してみてください。

もしここに、お子さんが23歳になった時の姿が見える水晶玉があったとしましょう(めちゃくちゃうさんくさいのは許してください)。

そこに映るあなたのお子さんが、元気に、自立して、働いていたとしましょう。

もしそうであれば、今学校に行かないことを全て許し、もうゲームでもなんでも自由にやってください、そう思えませんか? 気を遣わずに、言いたいことを言えるのではないでしょうか?

つまり、親御さんの願いは「学校に行って欲しい」のではなく、「大人になった時に自立して生活できるようになって欲しい」のではないでしょうか。

正社員で働いていないにしろ、自立して生活する方法はあります。最後に、お子さんが23歳になったときの選択肢、ある意味で解決像を少し紹介して終わりたいと思います。

  • 正社員で仕事をしていたら最高
  • アルバイトでもまぁまぁ最高
  • 内職でもしないよりはまし
  • どうしても働くのはまだ無理だから、適応障害の診断をもらって就労移行支援を利用するなら希望がもてる
  • 23歳の時点で専門学校や大学に行ってても全然OK
  • どうしてもの時は障害年金や生活保護もある

「そんな確約はできないんだから、やっぱり不安」という親御さんもいるでしょう。その場合、少し冷静になってこう考えてみてください「学校に行っていた人だって23歳で仕事していない人はいる」と。

めちゃくちゃな気休めですが、私は成人のカウンセリングをしていて思うことがあります。無理くり学校に行って傷ついて、大人になってもその傷が癒えずに自己肯定感が低く、次に踏み出す勇気がもてない方いるんだなと。

ある人が言っていたのは、私は学校に行っていたけど、学校に行っていない人を見ると「自分を守る強さがある」と思うと。

不思議なことに、その人は学校に行っていたからこそ、不登校には「自分を守る」という前向きな意味があることに気づいたのです。不登校のお子さんや親御さんからすると「そんなことはない」と否定したくなるかもしれませんが、見る人によってはそう見えるようです。参考になるかはわかりませんが、そう言っていた人がいるのは事実です。

本記事はここまでになります。他にも不登校関連の記事があるので、よかったら参考にしてみてください。

不登校

2022/4/24

【薬で解決?】ADHDだと不登校になりやすい?【ぐれない子育て】

不登校の子どもを病院につれていったらADHDと診断された…。ADHDが治れば不登校は解決するの? 薬が効くから考えてくださいとお医者さんに言われたけど、怖くてつかいたくない… こういった疑問にお答えします。 本記事の内容 ADHDだと不登校になりやすい? ADHDが治れば不登校は解決するか【コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセで不登校は解決する?】 ADHDのお子さんがぐれない子育て方法【ペアトレが最強】   私は現在、児童精神科で臨床心理士をしています。不登校のお子さんやADHDのお ...

ReadMore

不登校

2022/6/30

【簡単】不登校対応で祖母がうるさいときに低ストレスで対応する方法

不登校の子どもと向き合えるようにほめ方やしかり方を気を付けているけど、祖母がうるさく口を出してくる…。夫は「しょうがいないよ」とあきらめているし、もうどうしたらいいの…。 こういった疑問にお答えします。 本記事の内容 不登校対応で、祖母がうるさいときに低ストレスで対応する方法 夫が祖母よりの考え方をしているときにどうしたらよいか 夫が発達障害で私はカサンドラ症候群かもしれないと思う方へ   私は現在、児童精神科でお子さんや親御さんのカウンセリングを行っています。家族の理解がなかなか得られず、家庭 ...

ReadMore

不登校

2024/2/1

【重要】不登校支援の結論をお話しします【後悔しない基本の知識】

子どもが不登校になってどれくらいたつだろう。たくさんの本を読んだし、カウンセラーにも相談した。でも子どもは学校に行けず、家にいる。twitterで愚痴を吐き出しても根本的には解決しない、いったい私はどうすればいいの… こういった疑問にお答えします。 ※2022年9月10日修正(記事をシンプルにしました) 本記事の内容 不登校支援の結論:大きく2つの支援方法がある 不登校の支援方法1:長期的視点型 不登校の支援方法2:再登校重視型 お子さんに気をつかう毎日を変えるために   記事の信頼性私は現在、 ...

ReadMore

不登校

2022/7/10

再登校の失敗を防ぐ段階的な支援とは|不登校の復帰の判断基準や別室登校について

うちの子ども不登校で長い間家にいるけど、どのタイミングで再登校について話せばいいのだろう… このような悩みをお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。この記事ではお子さんが不登校回復期に入ったサインについてお伝えしていきます。 以下の図で言うと、心のエネルギーがたまり始め、線が上向きになり始めてからの「④社会との再会段階」のことです。   本記事の内容 不登校のお子さんが回復期に入ったサイン 再登校支援の鍵は「段階的に行う」こと   不登校のお子さんが回復期に入ったサイン 結論、不登 ...

ReadMore

不登校

2023/2/17

【うっせぇわと言わせない】不登校中学生への対応を解説【親の底力】

不登校になった中学生の子どもに親としてどう対応したら良いのだろう…。小学校はなんとか行っていたから大丈夫かと思っていたけど、やっぱり今の中学校特有のつらさがあるのかしら…。一度不登校になったら将来仕事に困るって聞いたけど、どうなんだろう…。 こういった疑問にお答えします。   本記事の内容 不登校の中学生にできる親御さんの対応【難しそうで難しくない少し難しい解説】 中学生ならではの不登校になる理由5選 質問:不登校になったら人生オワコンですか?【結論「違います」】   記事の信頼性私は ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

-不登校
-