こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 不登校の将来を決める親の関わり方【最悪から考える】
- 子どもに「お前のせいでこうなった!」と恨まれない方法3選
- 子どもが23歳になったときの人生の選択肢6選
私児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリングをしていた臨床心理士です。
不登校の親御さんの本当の心配事は「お子さんが学校に行く・行かない」ではなく、「大人になった時に自立して生きていけるかどうか」ではないでしょうか。
本記事ではあえて【なって欲しくない最悪な状態】を考えることで、そうならないために親御さんがどんな関わり方をすればよいかを考えていきます。
気軽に読んでみてください。
不登校の将来を決める親の関わり方【最悪から考える】
不登校のお子さんが23歳になった時にこうはなって欲しくない最悪の状態を私のカウンセリング経験をもとに考えてみました。
見たくないかもしれませんが、そうならないための方法を書いていますので心に余裕があれば読んでみてください。
大人になった時にしてほしくない子どもの発言・行動
- 「お前の言うとおりにしたからこうなったんだ!」
- 「こんなことになるなんて言わなかったじゃないか!」
- 「こうなったのはお前のせいだ!お前が何とかしろ!」
- 部屋に引きこもって籠城をきめこむ
- 親が気を遣って子どもの言いなり
だいたいこんなところかと思います。
家庭内暴力に発展するひきこもりのケースも時々あります。
アグレッシブな方向ではなく「もう俺には(私には)生きる意味なんてない」と自己否定的な方向にいく場合もあるかもしれません。
ちょっと話は変わるのですが、親御さんがある不登校支援者のセミナーに行き次のようなことを言われたとしましょう。
『仮に、あなたの子どもが23歳になった時の姿が見える水晶玉があったとしましょう。そこに映るあなたのお子さんが、元気に、自立して、働いていたとしましょう。もしそうであれば、今学校に行かず、家で好き勝手していることを全て許すことができるのではないですか?「もうゲームでもなんでも自由にやってください」、そう思えるのではないですか? お子さんに気をつかわずに、言いたいことを言えるのではないでしょうか?』
要するに「お子さんの将来は大丈夫になりますから安心してください」と言われたら、今不登校の状態は気にはなるけど、それほど不安を感じずどっしり構え、お子さんに言いたいことをいえるのではないでしょうか。
もしこの言葉がしっくりくるのであれば、親御さんの本当の願いは「学校に行って欲しい」のではなく、「大人になった時に自立して生活できるようになって欲しい」ということだと思います。
「いやいや、青春した方が良いに決まってるから、学校には行った方がいいでしょ」と思った親御さんがいたとしたら、それは親御さん自身が青春したかった気持ちが残っており、それを子どもに投影しているのかもしれません。
それはおいておいて、もし自立できる確約があるのであれば、それほど不安になることはない、ということを言いたいのです。
よって最悪から考える支援の方法は以下の3点です。
- 子どもに「お前のせいだ!」などと恨まれるようなことはしない
- どんな方法でもいいから自立する方法を用意しておく
- 子どもが自分でもやればできるかも、と思えるように自信をつける
結果から逆算して考えているので的は外れていないと思いますし、将来の見通しをもっているので不安も軽減できるはずです。
では、1つずつ解説していきます。
子どもに「お前のせいでこうなった!」と恨まれない方法3選
結論から言えば、以下の3点に気をつければよいかと思います。
- 行動にいちいち干渉せず、放っておく
- 大人になったら自立していきていかないといけないのだよとあらかじめ伝えておく
- 自分でも行動すればできるかも、という自信をつけておく
上記3点を気を付ける理由は、最悪の言動・行動で紹介した部分と対応しているからです。
1.行動にいちいち干渉せず、放っておく
➝お前の言うとおりにしたからこうなったんだ!、こうなったのはお前のせいだ!お前が何とかしろ!
2.大人になったら自立していきていかないといけないのだよとあらかじめ伝えておく
➝こんなことになるなんて言わなかったじゃないか!、親が気を遣って子どもの言いなり
3.自分でも行動すればできるかも、という自信をつけておく
➝部屋に引きこもって籠城をきめこむ(どうせ自分はなにしてもだめだ)。
親子の間に真っ当な信頼関係があれば「このままじゃ自分も親も困るし、なんとかしないとな」とお子さんは思うようになるケースがほとんどです。
1.行動にいちいち干渉せず、放っておく
これが大切な理由は、お子さんが大人になった時に親を恨むのは「親の言うとおりにして失敗した」と思うからです。
親の指示としては、例えば「学校に行け」、「行かないなら勉強しろ、夜更かしするな」、「高校くらいは卒業しろ」などでしょうか。考えればきりがありません。
これの反対をやればよいのですから、放っておく、好きにさせておく、というのが対応方針になります。
これは私が不登校支援の結論で述べている2パターンのうち「長期的視点型の支援」と同じです。
2パターンについて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
>>【重要】不登校支援の結論をお話しします【後悔しない基本の知識】
実はこの放っておくという方法ですが、親から見るとひやひやものですが不登校のお子さん視点でみると「自分を信じて休ませてくれた」とか「考える時間を与えてくれた」というように受け取られるようです。
そういう意味でもこの方法は信頼関係を築くことにつながります。
もちろんお子さんから相談されたり、助けを求められたりしたら親身に対応してあげてください。
放っておくのは見放すのとは全然違います。
2.大人になったら自立していきていかないといけないのだよと、あらかじめ伝えておく
子どもを放っておき、好きにさせることで元気はたまるはずですが、将来的に「こんなことになるなんて言ってなかったじゃないか!」と言われるリスクもなくはないです。
そのために、親はずっとは生きていないよ、大人になったら自立していきていかないといけないのだよというメッセージは伝えた方がよいでしょう。
お子さんに覚悟を決めてもらうことにつながります。
ただし毎日毎日言う必要はないです。お子さんは「またかよ」と思います。
効果的に伝えるためには、ここぞという時に伝えた方がよいでしょう。例としては誕生日や学年が変わるときなど、改まって言えるタイミングでよいかと思います。
注意点もあります。
言うまでもありませんが、性格的にまじめで不安が強く、すでに危機感を感じているお子さんにはあえて言わなくてよいです。
3.自分でも行動すればできるかも、という自信をつけておく
やはり不登校から一歩踏み出すというのはそうとうなエネルギーがいるわけで「こんな自分でも少しはやれるかもしれない」という思いがないと、どうしても踏み出せません。
自信をつけてもらうには日々の生活の中で、親御さんから肯定的なことばを伝えることが役にたちます。
以下の記事に正しいほめ方と認め方について書いていますので、参考に手見てください。
「放っておくこと」と「自立しないといけないと伝えること」はお互いに矛盾するんじゃないの?と思われた方もいるかもしれません。
そんなことはありません。
なぜなら、「自立しないといけないと伝えること」は具体的にこうしなさいという指示ではなく、心構えを伝えているだけだからです。
「具体的にどうしたら良いかわからなかったら親に相談してね」と伝えておくことで、お子さんをフォローすることができると思います。
一旦まとめます。
子どもの将来のためには、
- 行動にいちいち干渉せず、放っておく
- 大人になったら自立していきていかないといけないのだよとあらかじめ伝えておく
- 自分でも行動すればできるかも、という自信をつけておく
を意識してみるとよいかと思います。
では最後に、お子さんが23歳になったときの選択肢、ある意味で不登校の解決像を少し紹介して終わりたいと思います。
子どもが23歳になったときの人生の選択肢6選
正社員で働いていないにしろ、自立して生活する方法はあります。
なぜなら日本は福祉が充実しているので、それらを利用すればなんとか生きていくことができるからです。
実際、知的障害などの障害を持った方でも自立して生活している方は大勢います。
具体例は以下です。
- 正社員で仕事をする
- アルバイトでも仕事をする
- 内職でも仕事はできる
- どうしても働くのはまだ無理という場合は、適応障害の診断をもらって就労移行支援を利用する
- 23歳の時点で専門学校や大学に行っててもその後に希望がもてるからOK
- 障害年金や生活保護を受給することもできる
「そんな確約はできないんだから、やっぱり不安」という親御さんもいるでしょう。
その場合、少し冷静になってこう考えてみてください「学校に行っていた人だって23歳で仕事していない人はいる」と。
ご本人に自立の意志があれば、どのような方法をつかってでも生きていくことはできます。
そのために本ブログの記事が役に立ては幸いです。他にも不登校の記事がありますので参考にしてみてください。