性格心理学

【なぜ?】2分でわかる同族嫌悪の心理【その意味と治す方法】

こんにちは、モトセです。
本記事では自分と似た人を嫌いになる「同族嫌悪」になる理由と治す方法についてご紹介します。

カウンセリングを行う中でも、似た人を嫌いになってしまうというクライアントさんと時々お会いすることがあり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

忙しい方に向けて、2分で読める程度に凝縮してまとめていますので、参考にしてみてください。

同族嫌悪の心理

最初に同族嫌悪の定義をご紹介します。

【同族嫌悪の意味・定義】
”同じ種類や系統のものを嫌悪すること。自分と同じ趣味・性質を持つ人に対して抱く嫌悪感”(Weblio)。

性格だけでなく、同じ趣味・指向をもった人を嫌いになることも含まれるようです。

結論から言えば同族嫌悪になる理由は以下の2つです。

  1. 自分の影(シャドウ)を相手に見出したから
  2. キャラ被りを避けたいから

 

1つずつ解説していきます。

理由1:自分の影(シャドウ)を相手に見出したから

影(シャドウ)とは、精神分析家のカール・ユングが提唱した概念であり、その人の生きてこられなかった側面のことをいいます。

以下のような種類があるといわれています。

  • 認めたくないけど自分も持っている部分(普段隠している自分の嫌な側面)
  • 自分が受け入れられない現実や価値観
  • 自分が持っていないのを分かっていて、あこがれている部分

 

同属嫌悪がおきる理由の1つは、自分が持っている、普段隠している自分の嫌な側面(シャドウ)を相手に投影した結果です。

別の言い方をすると、同族嫌悪をする人は、自分自身のことが嫌いなのです。もちろん自分のすべてが嫌いなのではなく、一部かもしれません。

理由②:キャラかぶりを避けたいから

同族嫌悪が生じる理由の2つ目はキャラがかぶることを避けたいからです。

この理由は特に思春期によく見られると言われています。集団の中に同じような人間が2人いると、ユニークさという価値がなくなり、自分のアイデンティティがゆらぎます。アイデンティティ達成がテーマである時期においては、その状態がたまらなく不快なのです。

これが2つめの理由です。

同族嫌悪を治す方法

影には「克服すべき課題」と「受け入れるべき生き方や価値観」という2面性があります。

よって、同族嫌悪を治す方法は以下だと言えます

  1. 自分の嫌な部分を変えて克服する
  2. そういう自分も自分だよなと受け入れる

 

自分の嫌な面であれ、自分の一部です。否定し続ければ生きていて疲れます。今まで抑圧されたり否定されてきた自分の一部を克服したり、受け入れたりすることは、心の健康を保つために大切なことだといえるでしょう。

この人のことなんか嫌いだなーと感じたら、「自分も同じところはない?」「それを受け入れることはできている?」と脳内会議をしてみることで、なにか気づきを得られるかもしれません。

ご覧いただきありがとうございました。

他にも心理学コラムを書いております。気軽によんでみてください。

文化心理学

2022/3/6

日本の権力格差社会度 Hofstedeの文化差の次元1

比較文化心理学における文化差の次元については4つあるということを以前書きました。 おさらい Hofstedeの多文化社会理論による4次元 ①権力格差の大小 ②個人主義―集団主義 ③男性らしさ―女性らしさ ④不確実性の回避の強弱(リスク志向度) 今回はその権力格差について、書いていこうと思います。 ■権力格差(power distance) 権力格差とは、それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状況を受け入れている程度のことです。 大きいとピラミッド型になり、小さいと組 ...

ReadMore

感情心理学

2022/4/7

【疑問】泣くから悲しい? 情動の末梢起源説・中枢起源説・二要因説

心理学の授業で悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいという説明があったのだけど、詳しく知りたい。 こういった疑問にお答えします。 具体的には以下の感情心理学に関する学説を紹介します。 情動の末梢起源説(ジェームズ・ランゲ説) 情動の中枢起源説(キャノン・バード説) 情動の二要因説(シャクター・シンガー説)の3つ   皆さんは悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか、どちらだと思いますか? 私は悲しいから泣く、方がしっくりきます。泣くから悲しいというのは現実的な感覚としては実感しづらいのではないで ...

ReadMore

恋愛心理学

2022/3/6

なぜ恋人同士の顔が似るのか|心理学的に見る好きな異性のタイプとは

異性のタイプとは過去の重要な人物に対する感情の転移 フロイトが創始者である精神分析という学問をご存知でしょうか。人の無意識に着目して心の動きを説明しようとする学問です。 精神分析的にはタイプとは ”過去の重要な人物に対する感情の転移” と考えられています。転移とは、過去の感情を現在に移して感じていることを言います。 ここで言うところの重要な他者とは、”異性の親”です。 いやいやいや と思った方も多いかもしれません。実際私もピンとこないところが多いです。女の子は父親に似た人を好きになる、といったことが話のネ ...

ReadMore

性格心理学

2022/3/5

性格の【特性論】とは|オールポートの言葉の仕分けがルーツ

性格の捉え方は大別すると「特性論」と「類型論」2つに分けられます。今回の記事では「特性論」のメリットデメリットと特性論のルーツである「オールポートの研究」を紹介します。 類型論については以下の記事をご覧ください。 【血液型性格診断の元祖】性格の類型論とは?【ガレノスの4気質説】 皆さんは「自分の性格を説明してください」と言われたときにどう答えますか? 「やさしい」や「おおざっぱ」などの特徴を伝えるでしょうか、それとも「誰々のような性格」や「A型っぽい」などカテゴリーに分けて伝えるでしょうか。性格心理学では ...

ReadMore

精神分析

2022/2/19

防衛機制とストレスコーピングの違い

自我はエスから生じる「欲求」と超自我から生じる「理想や現実的制約」を調整する役割をもちますが、その調整する際に生じる不安や葛藤に対処して自我の安定を保とうとする機能は「防衛機制」(Defense Mechanism)と呼ばれています。 この記事では防衛機制と似た概念であるストレスコーピングの違いについてご紹介します。 防衛機制とは フロイトは自我は不安を「危険を予知する信号」として知覚し、そこで防衛機制を働かせると言っています。不安だけではなく、欲求の高まりによって生じる不快感、罪悪感、恥などの情緒体験に ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

-性格心理学