性格心理学

【図解】ビッグファイブ性格診断とは?|覚え方・性格を5つに分ける意味・臨床上の有用性を解説

 

性格のビッグファイブは試験勉強で学ぶものの社会に出たらまず使わない、というのが私の実感です。「ではなんのためにあるの?」と感じたので、今回の記事ではビッグファイブ性格診断の内容紹介とビッグファイブ理論の存在意義について書いていこうと思います。

ちなみにyahooの検索ボックスに「ビッグファイブ」と入力すると予測キーワードに「ビッグファイブ 餃子」と出てきたので調べたところ、株式会社ビッグファイブという餃子メーカーがあるみたいです。

ビッグファイブについて

けっこう気になりますが、それは一旦置いておいて、心理学の方のビッグファイブを紹介いたします!

性格のビッグファイブとは

ビッグファイブは性格の「特性論」の1つであり、性格について万人に共通して表せるのは5つの特性であり、その量的比較によって性格を捉える、というものです

「特性論」を一言で言えば「パーソナリティは特性と数値化を組み合わせる事で表すことができる」という考え方です。イメージとしてはゲームのステータスです。攻撃力100、防御力90,すばやさ50のように個別の特徴を数値化して対象を理解します。ちなみに、もう1つ有名な性格のとらえ方は「類型論」というカテゴリーに当てはめる考え方です。攻撃型、防御型など大雑把に特徴をつかむのに長けています。

では、ビッグファイブの5つの特性を1つずつ紹介します。個々の特性を身近な言葉で表現できないか試行錯誤した結果、「○○指数」という呼び方をつけてみました。

  1. 外向性(Extraversion)陽キャ指数/陰キャ指数
  2. 協調性(Agreeableness)チームプレイ指数
  3. 勤勉性(誠実性 Conscientiousness)真面目指数
  4. 開放性(創造性 Openness)サブカル指数
  5. 神経症傾向(Neuroticism)ネガティブ指数

※イメージ図のミニコメントはWikipediaから引用しています。ちなみにWikipediaのビッグファイブの解説めちゃくちゃよく書かれていて一番詳しいと思います。

外向性(Extraversion:エクストラバージョン)陽キャ指数/陰キャ指数

外向性は積極的に外の世界へ行動していく志向性を意味する特性です。社交性の高さと捉える方がいますが、それだけではなく、活動的、上昇志向、エネルギッシュな傾向も表します。

外向性が低いことは内向性の高さを意味します。ビッグファイブの示す内向性の高さ(外向性の低さ)は内気で活動性が低く、大人しくよそよそしい特徴と言えます。

私は勝手に「陽キャ指数」(根明指数)と呼んでいます。この言葉自体現代の若者言葉なので専門家が使うことに苦情が来そうですが、この記事は読み物なので好き勝手に書かせてください。デジタル大辞泉によれば「陽キャ」とは「性格が明るく、人づきあいが得意で活発な人」だそうでまさに外向性高い人のイメージぴったりです。ちなみに「陰キャ」は「引っ込み思案で内気な人」だそうです。

※何年か後にこの記事を見たら死語になっていそうで怖い。

協調性(Agreeableness:アグリーアブルネス)チームプレイ指数

他者と協調・調和してうまくやっていく性質を表す特性です。優しさ、親切さ、心の広さ、利他的な度合い、控えめさといった特徴と関係します。エゴグラムでいうとNPに近い概念だと捉えるとわかりやすいかもしれません。

協調性が低い場合は自分優先、自己中心的、マイペース、我が強く、我が道を行くアウトローの印象が強くなるでしょう。

私は協調性を「チームプレイ指数」と捉えています。高いと協調性が高くチームプレイが得意、そのままです!

勤勉性(誠実性 Conscientiousness:コンシンシャスネス)真面目指数

ビッグファイブで最も発音が難しいのが勤勉性です。別名で「誠実性」とも言いますが、誠実という言葉の意味を具体的にイメージすることが難しいと感じているので、この記事では「勤勉性」と書いています。

「勤勉性」は文字通り勤勉さや自己統制力(セルフコントロール力)、達成への意志の強さ、計画性などに関係します。一言で言えば「真面目指数」です。真面目な人はよく勉強し、欲求を我慢でき、計画的に物事を着実にこなすからそう名付けました。

勤勉性が低いということは怠惰であったり、我慢が弱い、自分の欲求に素直、衝動的でその場のノリで物事を決める自由な方という印象かと思います。ドラえもんののび太君みたいな人物像をイメージしていただけると、勤勉性の低さを捉えやすいかと思います。

開放性(Openness:オープンネス)サブカル指数

直訳すると「開かれている度合い」で、ビッグファイブで最も理解が難しい特性だと思います。開放している、という言葉が抽象的で性格とのつながりをイメージすることが難しくなっています。

開放性は知的好奇心の強さ、想像力、美の理解・興味、新しいものへの親和性、遊び心などに関係します。一時期は知能と同じような扱いをされたこともあったようですが知能と性格は別物です。開放性が高い方は好奇心旺盛で様々なことに興味関心があり、発想力豊かで、新しいことや文化的・芸術的なことに積極的な関心を示す傾向にあります。

低い場合は保守的で変化を嫌う方というイメージを持たれるでしょう。美しいけど実用性に欠けるものよりは不格好でも実用的・機能的なものを好み、ルーティン化した生活を目指す傾向があると思われます。ASD(自閉症スペクトラム)傾向が高い方は開放性が低いと捉えて良いかと思います。興味関心が限局している、というのは閉じているということなのでオープンさの逆だからです。

私は勝手に「サブカル指数」と呼んでいます。サブカルというのは音楽・映画・文学・芸術などの総称で、芸能人で言うとタモリさんやヒャダインさんのような文化人で、様々な分野の知識を有している方は開放性が高いと感じます。

神経症傾向(Neuroticism:ニューロティシズム)ネガティブ指数

性格のビッグ2と呼ばれ、ビッグファイブで最も有名と言っても過言ではない特性が「神経症傾向」です。ちなみにビッグ2のもう1つは「外向性」です。

神経症傾向は不安や緊張、焦り、怒りなどの高まり安さ、気にしやすさ、神経質の程度などを表す特性であり、要するにネガティブな感情の高まり安さを意味します。神経症傾向が高い場合、情緒不安定でストレスを感じやすく、俗に言う「メンタルが弱い」印象を持たれます。

神経症傾向が低い場合は精神的に安定していて穏やか、落ち着いており、ささいなことは気にせず、のんびりと構えている印象を持たれます。「なんくるないさー」という沖縄の方々は神経症傾向の低さを思わせます(沖縄の人全員が神経症傾向低いと言ってるわけではありません!)。

私は「ネガティブ指数」と呼んでいますがこれはそのままで特にひねりはありません。

ビッグファイブの覚え方は「OCEAN」か「EACON」か「鹿が咳」

外向性、神経症傾向、開放性、あとなんだっけ?と私はよく混乱していました。協調性と勤勉性が「よい子」的なイメージで合体してしまって出てこないという。

皆さんはどうでしょうか。語呂合わせで覚えるやり方で有名なのは「OCEAN(オーシャン)」ですが、私の場合そもそも「オーシャン」のスペルが思い出せずに挫折したことが何回もあります。別の覚え方でEACON(エアコン)というのはどうでしょうか、スペルが思い出せないことは回避できそうです。しかし、頭文字が英語なのでそもそもビッグファイブのそれぞれの単語って何だっけ?となったら終わりです。

日本語にするなら頭文字をとって「鹿が咳」という謎な覚え方も考えてみました。

  • し 神経症傾向
  • か 開放性
  • が 外向性
  • せ 誠実性(勤勉性のこと)
  • き 協調性

・・・書いててむなしくなってきた。

ビッグファイブは臨床的に役に立たないのか

結論から言えばあまり役に立ちません。病院で働いていてビッグファイブの質問紙なんて置いてないですし、そもそも保険点数をとれるビッグファイブの質問紙がありません。ちなみにエゴグラムの質問紙であるTEGⅢは保険点数(80点)とれます。

臨床上、心理検査をする理由をざっくり言うと「症状や問題行動が生じる心理・社会的なメカニズムの仮説生成」です。必然的に当人の欲求と現実的な制約、それに対する対応(防衛や適応の手段)という精神力動的な側面に着目せざるを得ず(精神力動的な理解でないと行動の理由は説明できない)、ビッグファイブで理解してもあまり参考になりません。神経症傾向高いし外向性が低いからストレスためやすいだろうね、くらいは言えると思いますが、どうしても浅くなってしまいます。

ではビッグファイブに意味がないのかと言われるとそんなことはありません。私の思うビッグファイブの意義は「人間の性格を理解する際の共通の枠組み(秩序)を与えてくれること」です。

ビッグファイブの意義|人間の性格を理解する際の「共通の枠組み」(秩序)を与えてくれること

ある人を0から把握しようとすると、把握する方も人ですから主観的な評価になります。例えば元気があるとか、積極的とか、優しいとか、捉える特徴は様々になるでしょう。つまり、評価する人間の着眼点に基づいてその人を理解することになります。

そこで必要なのは性格を把握する際の共通の枠組み(秩序)であり、人間の性格を最大公約数的に検討していった結果、今のところ「ビッグファイブ」と呼ばれる5つの特性で性格把握することが一番当てはまりが良さそうだ、という結論になっています。

このように性格をとらえる枠組みが存在することで、専門家の間で要支援者の性格を共有するときの「共通言語」をもつことができます。たとえば、「あの人は内向的で神経症傾向が高い感じの方です」であったり、「知的好奇心が高く開放性が高いけど、協調性は乏しい印象です」といった表現によって人物像を共有することが可能になるのです。ビッグファイブを学んだことがある人同士であれば「開放性」や「協調性」が意味していることに一定のコンセンサスがあるため、把握する際の誤差が減るはずです。

ビックファイブは特性論なので類型論ほど強引さがなく柔軟に使えることも利点です。類型論は当てはまりが良ければかなり簡単に共有することができますが、どうしても中間型を説明しづらいです。なお、類型論の例としては、ASDであれば「積極奇異型」「受動型」「孤立型」ですし、精神疾患であれば「ヒステリー気質」「分裂気質」「循環気質」「メランコリー親和型」などが所見で使われているのを見たことがあります。

ビッグファイブを使って一つ例を挙げてみます。「今日お会いした方はどんな人だった?」聞いて以下のように答えが返ってきたら誰を想像しますか?

「中年の男性で、見た目は太っていて、服装は女性らしい感じ、エネルギーは高そうでちょっと敵意的で神経症傾向は高そう。でも物知りで開放性は高い感じで、人とも積極的にコミュニケーションとるから外向的な感じ。でも家にいるのは好きらしいから本当は内向的なのかも。自分の意見をしっかり持っていたから協調性という意味では少し低そうね。休日は家でぐだぐだしてると言っていたし欲求には忠実そうだから勤勉性は低そうかな。」

 

これは私が勝手にマツコ・デラックスさんをビックファイブに当てはめて説明した表現です。

どうでしょう。ビックファイブ役にたちそうですか?

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おすすめ書籍

<わかる>シリーズにパーソナリティの本があったのは知りませんでした。わかりやすくてお勧めです。

小塩先生は有名な方です。

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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