精神分析

心的決定論と無意識の存在|精神分析だからできる事とは

 

以前知り合いに「心理学っていうと何を連想する?」と聞いたところ、「フロイトとかユング」と言われたことがありました。

今ではフロイトやユングより「嫌われる勇気」で有名になった「アドラー心理学」のA.アドラーのほうがよく知られているかもしれません。

フロイトやユング、アドラーは心理学の専門家ではなく「精神分析」という学問の専門家です。

心理学と精神分析は何が違うのか疑問に思われるかもしれません。今回はそんな「精神分析」における鍵概要を2つ紹介していこうと思います。

精神分析とは

精神分析は「S.フロイト」が創始した学問・心理療法の体系です。

人の「無意識」の存在を仮定し、この無意識を中心に心の構造といった様々な概念を使って人の心を理解しようとします。精神分析の強みは無意識や欲求、防衛・適応、心的構造といった様々な概念(用語)を使って様々な心理現象が生じる「理由」を説明できることです。

例えば「なぜ好意をよせた人に意地悪なことをしてしまうのか」といった現象は精神分析では「反動形成」という「防衛機制」である、と解釈します。もう少し詳しく言うと、好きな人への好意を直接表現すると嫌われたり恥をかくといった自分にとってまずいことになる可能性があるため、無意識がそれをしないために逆の行動をとるという心理的作用という解釈です。

心理学と精神分析の違うところは、心理学が実験などを行い客観的なエビデンスを積み重ねて科学的な学問であろうとするスタンスに対し、精神分析はフロイトの経験や思想が基になっていて、臨床実績などからつくりあげられた点です。そのため、精神分析は科学的ではない、という批判もあるようです。

最近は脳科学と精神分析の概念との関連性が書かれた本もあり、昔のイメージとは変わってきている部分もあります。

では、精神分析の特徴づける2つの重要な概念を紹介します。それは「無意識の存在」と「心的決定論」です。

精神分析の前提1:無意識の存在

精神分析の大きな特徴は、無意識の存在を仮定しているところです

無意識という言葉は日常でもよく使いますし、実際に人の心には無意識的なところがあることは実験でもわかっています。1つの実験例としては閾下提示の実験があります。

閾下というのは、人が対象を知覚ない範囲のことです。例えばマークが書いてあるカードを、対象を知覚できないくらいものすごい短い時間で何回も提示したとします。

その後2枚のカードを見せ「どちらが見えましたか?」という質問をすると、見えてないので答えは半々なのに対し、「どちらが好きですか?」という質問には閾下提示したカードを選ぶ人の方が多くなるという実験があります。

何回も見ていると好きになると言うのは単純接触効果として知られていますが、閾下提示でも起こるとなると、そこには無意識の存在があるからかもしれません。

これを応用してしまうと、アキラ100%のお盆芸はナニの閾下提示と解釈できてしまうという。。。失礼しました。

精神分析の前提2:心的決定論

物理的なものと同じように、心理現象もいきなり0から生まれるのではなく、そこには先行する事象が必ず存在するという因果関係をもとにした考え方を「心的決定論(または単に決定論)」と言います。

これは心理学用語集にとても分かりやすい説明が書いてあったので引用します。

心的決定論とは、すべての精神現象や行動は、偶然起こるものはなく、一定の因果関係に基づいて先行する心的事件により決定される。これが心的決定論と呼ばれる精神分析の基本仮説である。
失錯行為や夢の内容、神経症の症状などの精神現象は、一見明確な原因なしに起こるように見える。しかし、原因がないのではなく、その原因が無意識内に存在する為に、意識からは因果関係が判らないだけである。ゆえに精神分析では、意識に現れた事象を分析することで無意識にアクセスし、症状の原因を明確化することが治療機序となるのである。

心理学用語集

 

精神分析では心的決定論を仮定しているため、精神分析的心理療法においては、現在の症状の原因となっていると思われる過去の出来事・体験にアプローチし、それを分析・解釈をしていくことでクライアントの自我を強くしていく方法をとります。

  • この記事を書いた人

モトセ

精神科・児童精神科クリニックの心理職です。他には学校、企業内で心理的支援の経験があります。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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