精神分析的なカウンセリングでは何をするのか -転移と逆転移-

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これまで精神分析の概要や防衛機制、発達理論などを書いてきました。

フロイトは人の無意識に着目し、人間理解のための様々な概念を作り上げてきました。
しかしながら、フロイトはもともとヒステリーの研究から出発し、お話しをするだけで患者が変わるという、ということを見出した人です。


なのでそのお話、セラピーでは何をやっているのか、というところが気になるところなわけです。


そんなわけで今回はその技法、精神分析的心理療法の内容について、共有させてもらおうと思います。


聞きなれない言葉がたくさんあってん??と思うことも多いと思うのですが。。
頑張って書いてみます!



■ 精神分析的心理療法(精神力動的心理療法)


どのセラピーでも言えることですが、精神分析のセラピーで特に重要となるのが治療構造と呼ばれるものです。


・治療構造

時間、場所、セラピストが同じであるといった条件や、クライアント・セラピスト間の交流を規定する面接のルールといった基本的な枠組みを治療構造と言います。

これは面接の外枠のことであり、これがあることでクライアントが自分を出してよい、ここは安心・安全であると感じる場がつくられます。



・セラピーの基本原則


精神分析のセラピーはほかのセラピーに比べて厳しめのルールが存在します。
これは、恐らくこのセラピーがクライアントの過去にかなりつっこんでいくこと、それによってクライアントが不安定になったり、セラピストと親密になりすぎるといったある種のリスクが高いからだと思います。


1.自由連想

これは心の中に思い浮かぶことをそのまま語ることです。


2.禁欲規則

どんな空想や願望が浮かんでも、それを実際に行動に移してはならないという規則のことです。


・セラピーの進み方

では実際のセラピーで行われることについてです。

基本的にセラピーは、クライアントが自由連想を行うことで生じる無意識の転移を解釈することで進んでいきます。


・転移(transference)

転移とは、かつての自分にとっての重要な対象に対する感情や反応を、別の対象に移して反復することを意味します。


精神分析のセラピーでは、過去の重要な他者への感情や反応を、セラピストに移して反復している転移を理解することが重要な要素となります。

転移はそれ自体が目的ではなく、治療の外部での重要な関係を理解するのを助ける手段の1つです。


セラピストに向けられた感情が信頼や愛情、尊敬、理想などの場合を”陽性転移”と言い、憎しみ、恨み、嫌悪、反抗、敵意などの場合は”陰性転移”と言います。


しかし、陽性転移の裏には必ずと言って良いほど陰性の転移も隠れているものであり(例えば好きの裏には攻撃性があったり)、セラピストは両面があると思って見ていきます。


ちなみに陽性転移の中には性愛転移と呼ばれるものもあります。
転移の詳細については詳しくまとまっているサイトがあったので、そちらをどうぞ⇒臨床心理学用語の樹形図



・逆転移(countertransference)


これはセラピスト側に起こる転移のことです。


セラピストも人間なので、クライアントと面接を重ねる過程でセラピスト自らのうちに生じる過去の感情をクライアントに移し反復することがあります。逆転移はこのクライアントに対する無意識的反応の総体のことです。


クライアントからの転移に対する逆転移もありますし、そもそもセラピストが抱いている他者との関係(思い出みたいなものでしょうか)をクライアントに転移する逆転移もあります。

ちょっと極論ですが、例えばクライアントがセラピストの好みのタイプの人だったりすると、その感情をクライアントに移してしまったりする感じです。

セラピスト自らが感情に押し流されてしまっては共同作業が成り立たないので、セラピストは逆転移に注意を向け、たえず検討することが必要となります。



・解釈


一連の転移状況の理解を言葉にして、クライアントに伝えることを解釈といいます。

もう少し詳しく言いますと、クライアントがそれ以前は意識していなかった心の内容や、自分のあり方について、自ら了解することができるように、またそれを意識させるために行う言語的な理解の提示、あるいは説明のことを指します。


無意識的な心の力動を意識してもらうとすることと言えるでしょうか。


過去の重要な対象との間で起こった体験や症状、訴えとつながる体験の言語化をもとに、今ここにあるセラピストとの関係で展開していることであるという観点から、クライアントの心的状況の理解を促す介入の1つとなります。



・抵抗


クライアントはそもそも変化への動機を持っているものの、ほぼ必ず変化への抵抗があります
つまり治療中に現れるクライアントの変わりたくないという心の動きが抵抗です。


例えばセラピーに遅刻したり、考えが浮かびませんと言ってセラピーを進めないようする行為などがそれにあたります。

自己を洞察していく際には自分の見たくないところも見なければならないので、こと安定したがる人間は抵抗して対抗することがあります。だいたいどこのセラピーにも出てくるものだと言われています。


大人の場合は「抵抗しているようですね」等と言って言語的に抵抗に触れていくこともありますが、子どもとのセラピーの場合は、言語的にアプローチできないので、治療同盟という繋がりを作っていくことで、抵抗を解消していきます。
子供のセラピーについてはまた紹介したいと思います。



・洞察(insight)

これはようは中を見るということで、わかる、理解するという意味です。
セラピストによって発せられた言語的解釈に促され、クライアントが自らの気づきに至る過程とも言えます。


この理解には絆、情動などの”情緒的理解”と、知識、認知的な解釈といった”知的理解”に分けられます。


クライアントが心理的問題の核心がどこにあるのかというのを知的に、わかっているというふうに理解することもありますが、それだけでは改善には向かわないことが多いと言われています。身体的、情緒的な洞察を通じて理解していくことで、腑に落ちていくようになることも多いようです。


・情緒的な絆


セラピーが進み、解釈や洞察を通じて相互に交流する中で、クライアントの中に生じるここは安心・安全な場であるとう認識はクライアントとセラピストとの間に情緒的な絆が出来上がっているために生じるものです。


精神分析のセラピーでは、解釈を通じた知的洞察だけでなく、治療者との相互交流という情緒的絆も重要視します。



■まとめ


今回も情報の羅列みたいになってしまいました。すいません。


典型的な例としては(あくまでも一例です)、自由連想によって治療中に現れる無意識の抑圧された過去の重要な他者への転移を解釈し、言語化して返すことで「あー、そういうことだったのか」という情緒的な体験や腑に落ちる感覚(情緒的洞察)を生み出す。それによって現在の症状として出ている抑圧や葛藤が解決に向かうという、のが精神分析のセラピーの一例でしょうか。


もちろんセラピストはクライアントとの関わりから、自我や超自我の発達段階、退行した先がどこの発達段階であるかを考慮して、どこらへんの時期で欲求が満たされなかったのかなど、様々なことをアセスメントしています。


初期の段階ではこの解釈が指示的で診断的であるとの批判もあったようですが、今はもっと柔軟なようです。
現在より過去を、意識よりも無意識の動きに着目するセラピーであると言えるでしょう。


長々と読んでいただき、ありがとうございました。



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この記事を書いた人
モトセ

30代の心理職です。元会社員で社会人入試組。ITベンチャー→大学→大学院→心理職。SC、精神科クリニック、企業内心理職の経験ありです。twitterでは心理学関係の学会の更新情報をつぶやいていますので、情報収集に使ってください。

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コメント

  1. かえるさん より:

    SECRET: 0
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     要点が本当に分かりやすいです、結構、心理学ものってごちゃ混ぜになって説得力を失ったりしやすいと思うのですが、ああ、自分もこれ考えよう!
    と、素直に読めました
    また寄らせて頂きますね

  2. 心理 マナブ より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    読んでいただきありがとうございます。
    とてもはげみになります。
    つたない記事ですが、また見ていただけると嬉しいです。

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