親密性にかかわる臨床的な概念 -親密性3-

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前回は親密さを築くにあたっての恐怖や親密さのダンスについて紹介しました。


今回は親子の親密さに関する臨床的な概念を紹介しようと思います。


皆さんは子供の時に自身が親を世話するというか、何かしらの事情で大人にならざるを得なかったことはありますか?


そのような場合、子どもが親の役割を代行していると言います。


・親役割代行( parental child / parentification )


葛藤的な夫婦関係が生じている家族において、子供がその夫婦を支える役割を取る場合があり、これを親役割代行といいます。

親の役割を肩代わりしているような状態です。

本来健康な家族においては、夫婦と子どもとの間には適切な境界があるほうが良いと言われています。


しかし、例えば子供に自身の不安や愚痴を言ってしまう母がいて、その不安や愚痴を子供が父に伝えているような場合、本来その不安は母から父に言うべきであって、子供を巻き込むのは適切ではありません。


傷ついた親を子供が支えるような場合も代行している状態といえます。本来は夫婦で乗り越えるべきことであるためです。


・なぜいけないのか?

一見子供が親をサポートするのはいいことのようにも思えますが、子供が過度にサポートに入ってしまうと、親を支えるためにエネルギーを使ってしまうため、自分づくりにエネルギーを使えなくなってしまいます。

子どもには子どもの発達段階に応じた課題があるのです。


加えて、親役割代行をしてきた子供が成長し、自立する際にも問題が生じることがあります。

それは青年期ごろに差しかかった際、親を見捨てるような罪悪感にかられ、結婚や自立等の新しい関係に進みづらくなってしまうという問題です。


ともすれば親子ともに共依存的な状況になる危険性もあるでしょう。これはダメな男/女に入れ込んでしまう人のような、適切ではない親密性の表れともとれます。


親子間の境界や家族の構造についての研究はS.ミニューチンという人の理論が有名なので、今後書いていこうと思います。



■情緒的遮断( emotional cutoff )


情緒的遮断は不安の高い親に情緒的に巻き込まれた子供が、物理的、情緒的にかかわらないように関係を遮断することです。


親役割代行とは逆に、サポートも、子どもとしての役割もとらないように距離をとるような感じでしょうか。


・何が問題なのか?

情緒的遮断の問題は、早くに大人になってしまった結果、本来親に甘えたりサポートを求めたしたい時にそれができなかったため、現在のパートナーに情緒的依存を過度に求めたり、アルコールや薬物への依存、ワーカホリック、逃げ場としての結婚等につながる可能性があるということです。


・もう少し詳しく

情緒的遮断には3種類ほどのパターンがあります。


1.密着している家族メンバーとの接触を回避する

これはたぶん無視するとか、会う機会を減らすということです。


2.合法的家出

これは通学、通勤圏外の学校や職場のある場所に引っ越すとかです。


3.同一化できる集団に寄与して家族を捨てる

例えば不良が集まってつるんでいるような感じです。



もちろん不安が強い親から離れ、例えば一人暮らしをするといったことが子供にとってプラスになる場合もありますし、子供の親離れの試みと受け取ることもできる。


しかし、それに費やすエネルギーが必要なのは確かであり、生涯にわたる関係の遮断を意味することもあります。


また、情緒的に傷つきやすい接触を避けることで、一時的に不安が低減されることもありますが、同時にお互いに関係を阻害し、孤立化させることにもなりかねません。


■臨床的援助


・親に対して

基本的には夫婦が夫婦で問題解決に取り組めるように支援し、子どもは子供の位置へ安定できるように支援します。

これはこのような状況をはたから見ると、夫婦間の問題に子どもが巻き込まれているために、子供が自身の問題に取り組めないことが根本的な問題であるからです。


子供の年齢が自立の段階である場合は、親の子離れも支援していきます。


・子供に対して

子どもが親役割代行していたり、情緒的な遮断をしたということは、子供がなんとかして頑張って生きていこうとした結果とった行動と言えます。


親役割代行に関しては、適切ではないとしても、それを行った結果としてなんとか家族がやってこれた可能性もあります。

その場合、陰ながら支えてきた子供の努力に光を当て、知ってもらうことで不公平を清算してあげることが支援の始まりとなるようです。


ここで言う清算とは、親を安心させた行為を明らかにし、認めることをさします。

これは”誰かがわかってあげる”、ということを狙った多世代派のナージという人の考えです。

もちろんどうしようもなかった不公平というのも存在します。

例えば親が貧乏で子供も早くから働かなければならず、自分の人生を送れなかったと言った経済的な不公平などです。

これらは親としてもなんとかしてあげたくてもどうにもできなかったことです。


過去に戻ってやり直すことはできませんが、親の事情を知り、赦すことで一旦区切りをつけ、これから自分の人生を見直すことが始められるのではないでしょうか。

誰かがそれをわかってあげることがそのスタートを支援します。



■ まとめ

・親役割代行( parental child / parentification )
葛藤的な夫婦関係が生じている家族において、子供がその夫婦を支える役割を取る場合があり、これを親役割代行という。

・情緒的遮断( emotional cutoff )
不安の高い親に情緒的に巻き込まれた子供が、物理的、情緒的にかかわらないように関係を遮断すること


・親密さにかかわる臨床的援助

夫婦が夫婦で問題解決に取り組めるように支援。

陰ながら支えてきた子供の努力に光を当て、知ってもらうことで不公平を清算。




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この記事を書いた人
モトセ

30代の心理職です。元会社員で社会人入試組。ITベンチャー→大学→大学院→心理職。SC、精神科クリニック、企業内心理職の経験ありです。twitterでは心理学関係の学会の更新情報をつぶやいていますので、情報収集に使ってください。

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