家族心理学

他者と親しくなるということ:「親密さ」とは

 

※この記事は大学の勉強ノートです。

今回からは数回にわたって「親密さ」ということについて書いていきたいと思います。

家族のライフサイクルにおける第1段階、つまり家族ができる瞬間は、カップルが元いた家族(原家族)から独立し、新しい家族を作るところから始まります。

その時期は個人のライフサイクルにおいては初期成人期と呼ばれる時期であり、そこには「親密性vs孤立」という課題があります。

言い換えれば、個人の課題を乗り越えることは新しい家族システムを作り上げるために必要なプロセスと言えるかもしれません。

この記事では「カップルの親密性」について、家族心理学の知見を書いていきたいと思います。

親密性とは?

親密性は他者との関係における自己のかかわり方に関する概念と言え、『親密さのダンス』等の著者であるLerner(レーナ―)という人は以下のように定義しています。

関係の中で自分を犠牲にしたり裏切ったりせず、相手を変えたり説得しようと言う要求を抱かずに、相手のその人らしさを承認し合うこと。

「関係の中で自分を犠牲にしたり裏切ったりせず」の部分は「自分を大切にする」という意味であり、「相手を変えたり説得しようと言う要求を抱かずに、相手のその人らしさを承認し合う」の部分は「相手を尊重したうえで自分は自分、相手は相手と一線を引く」と言いかえることができそうです。

ただ単にべたべたしているのが親密さでありません。そのため、親密性の獲得にはその前提として「ある程度の個人の人格的成熟」が求められると言えます。

親密性を獲得できない場合は、その関係を拒否して孤立したり、形骸化した関係に義務的に関わるようになると言わています。

親密さのパラドックス

Williamsonという人は親密さにはパラドックスがあると述べています。

Williamsonの主張は以下。

人は情緒的に自由で、自己決定力があることを望んでいるが(内発的動機付け)、同時に自分の考えと気持ち、信念と価値観、希望と恐れ、財産と家庭生活を親密な関係を持つ重要な他者と分かち合いたいと思っている。そのため、ここには矛盾と葛藤が内在し、それが親密さのパラドックスである。

つまり、人は自分の自由に生きたいけれど、好きな相手と親密な関係を築いていくためには不自由なことも受け入れないといけないという逆説があるということです。

■まとめ

家族心理学的に言えることは、親密というのはいつもベタベタしているとか、単に気があうとかそういうことではありません。レーナーの定義にあるように、自分も相手も大切にしようとする関係の中にある情緒的な結びつきの感覚が親密さなのでしょう。

・親密性
関係の中で自分を犠牲にしたり裏切ったりせず、相手を変えたり説得しようと言う要求を抱かずに、相手のその人らしさを承認し合うこと

  • この記事を書いた人

モトセ

精神科・児童精神科クリニックの心理職です。他には学校、企業内で心理的支援の経験があります。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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