不登校

【結論】不登校の子どもが動き出す時期はいつ?【医師の意見も】

不登校の子どもがずっと家にいるけど、動き出す時期っていつなの? 不登校によいと言われることは全てやっているつもりだけど全然動きださないし、不安でしかたない…

このような悩みを抱えている親御さんも多いのではないでしょうか。

今回は不登校のお子さんが再登校や適応指導教室といった社会的な居場所に向けて動き出す「タイミング」について書いていきます。

 

本記事の内容

  1. 不登校の子どもが動き出す時期【ほぼ決まっています】
  2. 可能性はあるが、動き出すことが稀である時期
  3. 再登校のお膳立てに超重要な3つの安心感

 

私は児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリングをしていた臨床心理士です。

そんな私が解説いたします。

youtubeでも不登校対応や不登校の体験談を話していますのでよかったらご覧ください。

 

1.不登校の子どもが動き出す時期【ほぼ決まっています】

結論から言いますと、不登校のお子さんが動き出す時期で最も多いのは「中学・高校を卒業するときか、受験する学年に上がるとき」です。

ショッキングな事実かもしれませんが私の経験上、進学時に再登校するお子さんが一番多く、このタイミング以外で再登校につながることはまれです。

 

具体例

  1. 中学を卒業するとき
  2. 中2から中3に上がるとき
  3. 高校を卒業するとき
  4. 高2年から高3に上がるとき

私の勤める児童精神科の院長先生に聞いても同意見でしたし、児童精神科医の成重先生も著書で以下のように説明しています。

不登校の回復期が来るタイミングは大体決まっていて、多くの人で共通しています。逆に言うと、そのタイミング以外で不登校から回復することはほとんどありません。(中略)なんといっても一番意識される節目は受験で、中2から中3に上がるタイミングは不登校状態にあるお子さんにかなり強く意識されます。(中略)さらには受験が終わった後の中3から高1にあがるタイミングも自分の肩書が「中学生」から「高校生」に変わるため、ここも大きな節目となります。

引用元:不登校に陥る子どもたち

この理由は2つあります。

理由①:「同世代に合わせないといけない」という「心理的な危機感」が強まるため。

理由②:「友だち関係などの環境にリセットがかかる」ため。

逆に言えばこのタイミングに向けて着実に心のエネルギーをためることで、再登校につながる可能性が高まるとも言えます

この事実を知ることで余計な期待をしなくなり、精神的に少し落ち着いたとう親御さんもおられます。

次に、可能性はなくはないものの動き出すことが稀であるタイミングについて解説します。

 

2.可能性はあるが動き出すことが稀である時期

以下の2つの時期は、可能性はあるものの、お子さんが動き出すのがまれな時期です。

  1. 学期や年度の変わり目
  2. 小学校から中学校に上がるタイミング

1つずつ解説していきます。

 

時期①:学期や年度の変わり目

年度や学期が変わる時期は本人が意識するタイミングにはなりますが「中学・高校を卒業するときか、受験する学年に上がるとき」よりは弱いです。

 

具体例

  1. 中学1年生から2年生になるとき
  2. 高校1年生から2年生になるとき
  3. 小学校の間で学年があがるとき
  4. 1学期から2学期など、学期が変わるとき

理由(児童精神科医の成重先生の著書より)

学期や年度の変わり目は、節目としてある程度意識はされます。ただ、節目の機能としてはあまり強く作用しないので、少し動きは出るものの実際には動ききれないことがほとんどです。だから、中1から中2にあがるタイミングや高1から高2に上がるタイミングで不登校から回復するというのはないとは言いませんが残念ながらあまり望めません。

引用元:不登校に陥る子どもたち

時期②:小学校から中学校に上がるタイミング

小学校から中学校に上がるタイミングが再登校につながることも少ないです。

なぜなら、小学校と中学校はメンバーが同じであり、なんなら他学区のお子さんが増えるため、お子さんにとっては心理的な負担は増えても減ることは稀だからです。

 

環境をがらっと変えて適応指導教室に入るのであれば心理的にリセットがかかり、再登校の可能性はあるかもしれません。

しかし、不登校の小学生は「中学生」という存在をことのほか過大評価し、恐るべき存在と感じていることが多く、このタイミングで再登校するお子さんは少ない印象です。

上記はあくまでも一般的な事実であり、学期の途中などの平場でご本人に動きが出る場合もあります。

 

3.再登校のお膳立てに超重要な3つの安心感

不登校を初期・中期・回復期に分けるとすると、動き出す時期は回復期です。

回復期に進んだときに、お子さんが動き出すためには3つの安心感が必要だと私は思っています。

不登校対応で獲得したい3つの安心感

  1. 自分に対する安心感(自己肯定感、心のエネルギーをためる、脱自意識過剰)
  2. 親に対する安心感(親子の信頼関係)
  3. 環境に対する安心感(本人に合った再登校の場所探し)

なぜなら、新しい環境に踏み出すには①自分ならやれるかもしれないという自信、②いざという時に頼れる人、③頑張りすぎなくてもいられる環境が必要だからです。

1と2を得るための方法は親御さんの肯定的なことばがけにつきます。

具体的には【脱毒親】不登校を解決する親の神対応とやみ対応【正しいほめ方・認め方】を参考にしてみてください。

私の考える、不登校支援の全容については以下のページを参考にしてみてください。

以上になります!

 

本記事で参考にした成重先生の書籍は以下です。

他にも不登校の記事がありますのでよかったら参考にしてみてください。

お気に入り登録やtwitter登録もお待ちしています。

不登校

2024/9/14

【画期的】不登校の将来を決める親の関わり方【最悪から考える】

不登校の子どもの将来が不安でしかたない…。仕事をして自立して欲しいけど、学校に行っていないのに仕事なんてできるの? 勉強だって全然していないし…。親として今なにかできることはないのかしら…。 こういった疑問にお答えします。 本記事の内容 不登校の将来を決める親の関わり方【最悪から考える】 子どもに「お前のせいでこうなった!」と恨まれない方法3選 子どもが23歳になったときの人生の選択肢6選   私児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリングをしていた臨床心理士です。 不登校の親御 ...

ReadMore

不登校

2024/9/14

【薬で解決?】ADHDだと不登校になりやすい?【ぐれない子育て】

不登校の子どもを病院につれていったらADHDと診断された…。ADHDが治れば不登校は解決するの? 薬が効くから考えてくださいとお医者さんに言われたけど、怖くてつかいたくない… こういった疑問にお答えします。   本記事の内容 ADHDだと不登校になりやすい? ADHDが治れば不登校は解決するか【コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセで不登校は解決する?】 ADHDのお子さんがぐれない子育て方法【ペアトレが最強】   私は児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリン ...

ReadMore

不登校

2024/9/14

【悲報あり】不登校の小学生(高学年)の心理と対応【要、心の準備】

小学生(小学校)高学年の子どもが不登校になってしまった…。低学年は乗り切れたのに、理由は何なのだろう…。 今のうちから親にできることはないかしら…。中学校に入学したあとが不安でしかたない…。 こういった疑問にお答えします。   本記事の内容 小学校高学年の子どもが不登校になる理由3選 小学校高学年の不登校に対する親の対応ポイント 【悲報】中学校に上がる前に親が覚悟しなければならない事実   私は児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリングをしていた臨床心理士です。 小学 ...

ReadMore

不登校

2024/9/14

ASD(自閉症スペクトラム)の不登校対応【将来の不安減らします】

ASD(自閉症スペクトラム)の子どもが不登校になってどれくらい経つだろう…。グレーゾーンとは言われているけど、コミュニケーションはやっぱり独特でこだわりも強い…。将来は仕事ができるのか不安だから、今からできる対応を知りたい…。 こういった疑問にお答えします。   本記事の内容 ASD(自閉症スペクトラム)の不登校対応【小学校から高校まで】 ASDのお子さんの高校卒業後の選択肢とは? コミュ力よりも大切なものを理解できれば、不安にならなくて大丈夫です   私は児童精神科や学校で不登校のお …

ReadMore

不登校

2024/9/14

【無関心はやばい】不登校の父親が家族にできる3つの対応

不登校の子どもの力になりたいけど子育ては妻に任せていたのでどうすれば良いかわからない…。不登校になったこともないし子どもの気持ちがわからない…。 何かして逆効果になるのが怖い…。 このように考える不登校児童のお父さんは多いのではないでしょうか。 お父さんは日中は家にいないことが多く、お子さんの生活の様子を知らないことも多いと思います。 この記事ではお父さんだからこそできる不登校のお子さんや奥様への支援、大げさに言えば父親の役割についてお伝えしていきます。   本記事の内容 父の役割1:助言なし、 …

ReadMore

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

-不登校
-