こういった疑問にお答えします。
不登校対応でどうしたら良いかわからなくなってしまう親御さんはたくさんいます。支援者によって言うことが違ったり、本によって書いてあることが違ったりすることもあり、無理はないことだと思います。
本記事では不登校対応における共通見解を解説します。
ここで言う共通見解とは、たくさんある書籍のなかで、共通している部分ということです。共通しているということは、それだけ重要で知っておくべきこと、であり、誤った対応をしていないか確認できることがこの記事を読むメリットです。
結論から言うと、以下の6点について書いています。
- 待っていて自然に改善していくことは(ほぼ)ない
- 原因探しはあまり意味がない
- 親(主たる養育者)の協力が不可欠である
- 目標は再登校ではなく、本人の成長や社会的な自立
- 不登校になって良かったと思ったら楽になる
- 不登校支援は段階的に行う
私の主観でまとめているので網羅してないとご指摘もあるとは思いますが、参考にしてみてください。
待っていて自然に改善していくことは(ほぼ)ない
見守るだけで状況が改善することはほぼない、というのは様々な文献の共通見解だと思います。
「ほぼ」とつけたのは、心理的な問題の改善は確率的な部分、つまり運の要素もあるので「ほぼ」とつけています。例えば、本人の元気が出るようなことが偶然起こって、そのタイミングで友達が誘ってくれて、クラスが暖かく迎え入れてくれた、みたいなことが起こる可能性も、かなり少ないですがあります。また、本人が自然と成長したということもあるでしょう。
しかし、多くの場合そういった幸運はおとずれません。そして、「今は待ちましょう」と静観するだけでは大きくは改善しない、というのが現実です。
不登校専門カウンセラーの方の営業文句かな?と感じることもあったのですが、私自身も経験からこのように思っています。
もし、体験談として「うちは何もしなかったけど再登校した」という親御さんがいたら、ご本人たちは何もしてないと思っているだけで、実際は無意識にお子さんの発達によい関わりをしていたんだと思います。
原因探しはあまり意味がない
もう少し詳しく言うと、原因探しはしても良いが、目立った原因が見つからないことが多く、仮に原因のようなものが見つかっても、大抵は解決の役に立たない、ということです。
様々な文献で、原因(らしきもの)を特定して改善しても子どもが学校に行かない、という現象が指摘されています。
この理由は2つあり、1つ目は原因自体が複合的であること、2つ目は「きっかけ」と「維持要因」は別にあるからです。
不登校になる理由については以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。
恐らく、多くの方が言う「原因」というのは「きっかけ」のことです。例えば、いじめや教師からの叱責等、目に見えて明らかにネガティブな出来事、というのは確かにあって、それが不登校のきっかけになることはあります。だたし、それを改善しても再登校できないことが多いというのが現実です。
なぜ原因がないのに不登校がつづくのか?
例えば1ヵ月程度休んでいると、昨日行かなかったから行く気になれない、学校に行ったらクラスメートからどんな風に思われるかわからず怖いから行かない、といった新たな不安(維持要因)が生まれるからです。
よって、支援の原則は「原因探しは止めて、解決の役に立つことをしてみましょう」となります。
別の言い方をすると、原因がはっきりわからなくても解決はできる、ということです。原因を探そうとすると、どうしても子どもさんの悪いところ探しになります。そのメッセージが子どもに伝わって余計に元気なくなる、これが逆効果の1つの要因です。
親(主たる養育者)の協力が不可欠である
不登校はお子さんの問題ですが、親御さんの関わり方が変わることで状況が改善することが多いです。
ある文献には、支援者が親御さんに「問題が生じたことについて家族に原因も責任もないですが、解決に向けては家族の協力が必要ですし、効果がある」ということが書いてありました。
私も不登校の改善には親御さん(ご不在の場合は主たる養育者)の協力が不可欠であり、親御さんこそが、お子さんを動かす力と、可能性をお持ちだと思っています。
改善したケースにおいて、お子さんは私たちカウンセラーへの感謝を述べてくれることもありますが、そういったケースでは確実に親御さんの関わり方に変化があるか、もとから改善に良い考え方や行動をとっておられます。
私たちはお子さんに対してわずかな影響力しかありません。
目標は再登校ではなく、本人の成長や社会的な自立
学校に行く・行かないで支援の成功・失敗を考えると、多くの場合難事例になる、というのも共通見解です。
行かせようとする態度自体が子どもにとってストレスである、というのは言うまでもありません。また、「行く・行かない」を目標にすると、行き始めたけど再度不登校になった、場合に失敗となり、親も子どもも落胆して元気がなくなり、さらに登校しづらくなるという負のループにはまります。
大きなスパンで見れば小学校や中学校、高校で何があろうと、大人になって自立して生きていければ良い、そのためには今学校に行く・行かないではなく、お子さんの自立や内面の成長のために何ができるかを考える方が建設的で、かつ子どもへのプレッシャーが減る、結果としてみんなハッピーになる(語彙力のなくてすいません)ということです。
親御さんのやってはいけない関わり方としてよく出てくる「先回り」が良くない理由も、子どもの成長や自立を妨げるからです。具体的には、子どもが自分で何かやろうという気持ちをくじいたり、失敗してそこから学ぶ機会を奪うのです。
このような親御さんは、ご自身の不安や心配を話せる専門家や第三者を見つけられるとよいかもしれません。
不登校になって良かったと思ったら楽になる
今この時に不登校になったのには何かしらの意味がある、と思った方が子どもを受容できたり、実際に状況が改善したりするということです。
もし、学生時代にめちゃめちゃ我慢して学校に行って、でも大人になって疲れてしまってひきこもりになったらどうでしょうか。学生時代に不登校を経験するよりも、はるかにダメージは大きいです。
そうであれば、「学校のある段階で休みはじめ、自分たちには取り組むべき課題があることを教えてくれた子どもに感謝」と思った方が良いのかもしれません。すんなりそう思えないかもしれませんが、カウンセリングをしていてびっくりするくらい成長するお子さんを見ると、この経験が必要だったんだなと感じることは多いです。
不登校支援は段階的に行う
お子さんが登校を渋りはじめてから不登校になり、状況が改善するまではある程度のまとまった段階に分けることができます。
これは様々な文献やWebサイトで言われていて、名前の付け方は違えど概ね4段階です。
- 1つ目:登校を渋りだしてから不登校になるまでの段階
- 2つ目:休み始めてから昼夜逆転など状況が最悪になるまでの悪化段階
- 3つ目:悪化がいったん収束して家で安定して生活している安定段階
- 4つ目:少し元気がでてきてから再登校を始める段階
親御さんが相談に来るタイミングというのは多くの場合「状況が最悪」か、「落ち着いてしまってどうしたら良いかわからない」ときなので、支援方法もそのタイミングから書かれているものが多い印象です。
支援のセオリーを大まかに言うと、支援は2段階です。
- 1段階目:まず親子が安定したコミュニケーションをとれるようになる
- 2段階目:活動を活性化したり、生活に変化を導入して成長を促す段階
まとめ
この記事のおさらいです。
- 待っていて自然に改善していくことは(ほぼ)ない
- 原因探しはあまり意味がない
- 親(主たる養育者)の協力が不可欠である
- 目標は再登校ではなく、本人の成長や社会的な自立
- 不登校になって良かったと思ったら楽になる
- 不登校支援は段階的に行う
現時点での私の不登校支援の結論は【重要】不登校支援の結論をお話しします【後悔しない基本の知識】に書きましたので、良かったらご覧ください。