こうった疑問にお答えします。
本記事の内容
- WISCのIQの平均値
- どこからが高い、低いと言えるのか(数値の基準)
- 知的障害、発達障害のIQはいくつなのか
私は医療機関でWISCやWAISなどの知能検査を実施し、年間100件以上の検査結果を説明していた身です。
できるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
WISCのIQの平均値
結論から言うと、WISCにおけるIQ(正式には全検査IQ)の平均値は100です。
100点満点ではありませんのでご注意ください。
言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の各指標も平均値は100です。偶然ではなく、標準化という手続きによって、全ての合成得点の平均が100になるように作られているためです。
これは小学生、中学生、高校生、大人、全ての年齢に共通です(成人の検査はWAISです)。
もしWISCを受検したお子さんの全検査IQが100であれば、全検査IQが同年代の中で平均的な位置にいることを意味します。
なお、WISCにおける合成得点の最大値は160なので、WISCで測った場合はIQ200という人間は存在しません。ルパン三世のIQ300は何で測ったのでしょう。ちなみにセーラームーンの水野亜美もIQ300らしいです。
合成得点はどこからが高い、低いと言えるのか
WISCには合成得点を一定の基準で分類した記述分類という項目があり、それで高低の目安を把握できます。
WISCの記述分類
- 130以上:非常に高い
- 120~129:高い
- 110~119:平均の上
- 90~109:平均
- 80~89:平均の下
- 70~79:低い(境界域)
- 69以下:非常に低い
境界域というのは知的障害と平均の下の境界という意味です。
以下の図がわかりやすいです。
もう少し詳しく言いますと、WISCの合成得点は偏差知能指数であり、平均が100、標準偏差が15になるように作られています。よって、85~115の中に約68%の人が入ります。
標準偏差を用いた合成得点の分類
- 131以上:平均+2SDオーバー
- 116~130:平均+1SD
- 85~115:平均範囲
- 70~84:平均-1SD
- 69以下:平均-2SD未満
ちなみに、WISCの検査報告書をもらうことがあると思いますが、うまく支援に活かせてますか?
という方には以下の本が100%おすすめです。私は児童精神科で勤務していますが、病院に置いてありますし、報告書を書く側の心理士すら参考にしているくらいです。
知的障害、発達障害のIQはいくつなのか
知的障害はIQと社会的な適応力の両方を踏まえて診断されるため、厳密には決まっていません。
概ね以下が目安となります。なお、療育手帳(知的障害の手帳)の判定基準は自治体によって異なり、東京都の愛の手帳ではIQ50~75が軽度知的障害の目安となっているようです。
※https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shinsho/faq/techo_qa/qa.html
知的障害のIQ目安
- 軽度:50~70(東京都の愛の手帳の判定は75)
- 中度:35~49
- 重度:20~34
- 最重度:20未満
発達障害の診断にIQの基準はありません。医師の発達障害の判断基準については以下の記事をご覧ください。
-
参考WISCで差が大きいと発達障害なのか?【医師の判断基準3点】
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まとめ
WISCのIQの平均は?
➝小学生でも中学生でも100です。
どこからが高い、低いと言えるのか
➝WISCの記述分類を参考にすると以下のようになります。
- 130以上:非常に高い
- 120~129:高い
- 110~119:平均の上
- 90~109:平均
- 80~89:平均の下
- 70~79:低い(境界域)
- 69以下:非常に低い
知的障害、発達障害のIQはいくつなのか
➝軽度知的障害の基準となるIQは概ね50~75です。
他にもWISC関連の記事がありますので良かったらご覧ください。