ブログをご覧いただきありがとうございます!
臨床心理士で不登校支援しております、モトセです。
今回は私の考えた「不登校の親支援プログラム」の第5回目です。
「不登校の親支援プログラムってなに?」という方は以下の記事を先に読んでいただけると、今回の内容がより理解しやすくなります。
これまで、お子さんの行動を3つに分けてそれぞれに効果的な行動をとることを紹介しました。
皆さんも生活のなかでだいぶ慣れてきた頃でしょうか?
今回の「行動範囲を広げる」はどちらかというとプラスアルファの支援です。
親子のコミュニケーションでストレスが減り、お子さんも行動するエネルギーがたまってきた後の話しになります。
本記事の内容
- 子どもの行動範囲を広げる「行動活性化」とは?
- お子さんに行動活性化を促すコツ
- その他の行動活性化のアイデア
※内容は随時加筆修正してるため変わる可能性があります。
気軽によんでみてくださいっ。
①子どもの行動範囲を広げる「行動活性化」とは?
行動の3分類を通してお子さんとコミュニケーションの架け橋ができてくると、お子さんに行動したいというエネルギーがたまってきます。
エネルギーがたまると、ぶっちゃけた話し、子どもが家にいることを「暇だ」と感じるようになります。「家にいることに飽きる」と言ってもいいかもしれません。
そのような兆候が出てきたら、子どもの行動範囲を広げることをしていきます。専門的には「行動活性化」と呼びます。
なぜこれをするかと言うと、お子さんの行動範囲が広がって新しい経験をどんどん積んでいくと、お子さんの社会性も伸びますし、自信もついてくるからです。
行動範囲が広がったその先に学校やアルバイトなど社会的な場があるようなイメージです。
タイミングは難しい?
どのタイミングで行動活性化を始めるかは難しいですよね。
お子さんが「暇だ~」と言ってきたからといって、それが「動きたい!」なのか、「動かなきゃ…」のどっちかは判別が難しいところでして、お子さんの表情や態度、日々の行動についてよく観察し、変化があるか、よーく見ていく必要があります。
行動活性化の基本的な考え方
では、ここで何をするかというと、子どもが家で寝ていたり座っていたりする時間を減らす、ということです。
具体的には「好きなこと」や「好きなもの」などを足掛かりに、買い物、ショーやライブなどのイベント、運動、カラオケ、ボーリング、図書館、釣り、DIY、料理、畑仕事、家の手伝い、温泉、オタク活動(アニメイトに行くなど)、推し活(アイドルの握手会に行くなど)、など、何でもいいので促していきます。
お金は誰がだす?
こういうことを言うと、「じゃあ全部親がお金を出すんですか?」という質問をよく受けます。私の答えとしては、さすがに全部出すのは止めた方がいいです。
基本的には月のお小遣いとお年玉、誕生日などでお金を渡し、それでやりくりしてもらうのがよいかと思います。大人になって自立するための金銭感覚も身につくからです。
それが基本で、あとは家庭によってさじ加減は色々あるのかなと思います(「またあいまいなことを言って」と批判が来てしまいそうですが)。
たとえば、親もジャニーズが好きだからコンサートのチケットは親が買って一緒に行くとか、不登校ではない家庭でもそういうのはあるんじゃないでしょうか。
一定の線引きのうえで、あとは親御さん次第かなと私は思います。
②お子さんに行動活性化を促すコツ
では、お子さんに行動活性化をどうやって提案するかについてです。
直接「~~をやってみない?」と言ってもよいですのですが、お子さんが提案にのってこないことも多いです。
親御さんからすると、ただ勧める意図で言っていたとしても、お子さんからすると、「~~したほうがいいんじゃない?」という強要のようなニュアンスに聞こえることがあるみたいです。
そんな時に有効な誘い方は「親が先にやってみて、楽しんでいるところをお子さんに見せる」という方法です。
それでものってこないことはありますが、親が楽しんでいることを見せることにデメリットがほとんどないので、空振りしてもダメージが少ないです。
お子さんを誘う際の具体例
認知行動療法で有名な神村先生の本から引用させていただき、行動活性化のイメージをつかみましょう。
援助者:お母さんご自身の気晴らしはありませんか? お母さん自身が好きなことで“ご無沙汰”なこと例えば何かを作るとか…
母親:上手ではないのですが、クッキーを焼くのは好きです。
援助者:なるほど! それやってみてください。
母親:子どもも誘うのですね。
援助者:いいえ、お母さんがかつてのように1人で、しかも自分が楽しめるように。
(中略)
まずは母親が1人でクッキーづくりを楽しみます。子どもはそれが少しだけ気になります。次回、母親は1ステップむずかしいクッキーづくりに挑戦します。
そして、母親の様子を横目で追っているため、読書に集中しきれずにいる子どもに「ねぇ、もしよかったら、ちょっと手伝ってくれない?」と声をかけるのです。「えー」と表面では期の無い言葉が返ってきますが、でも手伝ってくれるのです。本事例ではその後、母親はクッキーの材料やレシピ本を買いに行く名目で、ほぼ2ヶ月ぶりに散歩以外の遠出に子どもを連れだすのに成功し、そのうちに遠出の買い物が当たり前になりました。引用元:『不登校・ひきこもりのための行動活性化―子どもと若者の“心のエネルギー"がみるみる溜まる認知行動療法』
いかがでしょうか。
最初からお子さんを誘ってクッキーを作るのではなく、まずは親御さんが楽しんでいる様子を子どもに見せる、ということがミソです!
親が好きなことをするメリット
親が好きなことをしていることには他にもメリットがあります。それはお子さんから見て、自分に気を遣っているというある意味プレッシャーに感じる状態を減らすことです。
親自身が楽しんでいるのであれば、私のことをそんなに気にしてないんだなと子どもが思う、ということです。
もちろんストレートに「~~しよう/~~行こう」と誘って行くならそれはそれでOKです。
その他の行動活性化のアイデア
これは私が勝手に考えたことなのですが、行動範囲を広げるアイデアになるかと思うので紹介します。
1:お小遣いを銀行振り込みにする
これは月のお小遣いをお子さんの銀行口座に振り込んで渡すという方法です。
これをする理由は2つです。
1つ目は、将来働くようになったら、給料の銀行振込があたりまえなので、その練習です。お子さんには「大人になる準備です」と言えば納得してくれるんじゃないかなぁと思います。
2つ目は、お金をおろすためにコンビニや銀行に外出しないといけなくなるので、行動範囲を強制的に広げることができます。

と心配になった方もいるかもしれませんが、「使いすぎて困る」という体験も大人になるための準備と思えば許容ではないでしょうか?
お小遣いを財布にしまっておくか銀行に入れておくかの違いだけです。
2:遊ぶ経験を積む
高校生、専門学校や大学生、社会人にになったあとに「遊ぶ」経験が役に立つことがあります。
例えば
- カラオケ
- ビリヤード/ダーツ
- 卓球
- ボーリング
- ゲーセン(UFOキャッチャーなど)
こういう一見できなくてもよさそうなことが上手だと(上手とまでいかなくても苦手意識がないと)、意外と、人付き合いするときに自信になるかと思います。
高校に入って、みんなでカラオケ行こう、となった時に歌が自分が上手かったらちょっとワクワクするじゃないですか? どうでしょう…?
「これも大人になる練習です」とか言って、中学生くらいのうちから親と楽しんでおくのもありだと思います。男の子になら「こういうのができるとモテるんだよ」とか言うと入るかもです。
補足:お手伝いのすすめ
私は子どもが家にいるうちは、家事の手伝いをさせることが良いことだと思っていますし、保護者の方にすすめています。なぜなら、大人になった時に1人で暮らしていく力がつくからです。
これは私がベテランの臨床心理士の先生に指導を受けているときに教えられたのですが、「学校に行かない人生を選択しているんだから、将来困らないようにお手伝いをしなさい」と伝えると入るお子さんが多いようです。
保護者が子どもに家事をやらせられるかどうかは、適切な親子関係のバロメーターです。
これが難しいようであれば、子どもの方が強い勢力をもっている、ということであり、行動の3分類とそれに対する対応という基本に戻って親子のコミュニケーションを見直した方がよいかもしれません。
3:大人になって1人でやるべきこと
その他で大人になってから1人でやらないといけないことを考えてみました。
- 病院(風邪ひいたら内科、歯が痛ければ歯医者、腰が痛ければ整形外科 など)
意外とお子さんはどんな病院に行ったらわからないですから。怪我したら何科に行くと思う?とか聞いてみるのもありかもです。 - スーパーやホームセンターで買い物(ニンジンや豚肉はだいたいいくら、などと金銭感覚をつけられるとなおよし)
- 洋服や靴を買う
- 髪を切る
- 化粧品を買いに行く
こんなところでしょうか。
スマホが壊れる、というのもけっこう厄介ですかね。
これらができれば大体1人で生きていけるかなと思います。他にもあったら教えてください。
今日のホームワーク
今回はこれで以上になります。
今日のホーム―ワークは「お子さんができそうないつもと違う行動を考え、今回学んだ方法で誘ってみる」です。
今回も読んでいただきありがとうございました!
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