再発を予防せよ! うつ病等の復職支援で定着率を上げる2つのポイント

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約50%は再発すると言われている職場におけるうつ病や適応障害などのメンタルヘルス疾患。

職場復帰支援」はやみくもにやったらうまくいきません。しかし、押さえるべきツボを押さえれば、ある程度は「安定した復職支援」を行うことができます。

今回は私の経験談から、そのツボを2点ほどお伝えします。

うつ病等の職場復帰支援で定着率を上げる2つのポイント

休職に至った根本的な理由に対処する

復職支援で重要なポイントの1つは、当事者が休職に至った根本的な理由(ストレッサー)を明確にし、本人とそれを共有したうえで可能な限り排除し、再度継続して業務ができる体制を整えることが非常に重要です

そうでないと再発します。

よくある例を挙げます。

  • 量的・質的な業務負荷
  • 本人の業務への適正が乏しい又は無い
  • 職場の人間関係(苦手な人がいる)
  • ハラスメント被害者
  • プロジェクトの失敗
  • 会社自体が嫌い
  • 発達障害が疑われる

これらのストレッサーに何も対処していないまま復職すれば、同じことを繰り返します。

復職支援計画を立てる際に、ストレッサーに対する配慮をしっかりと盛り込むことが大切です。

 

補足:何でも「職場のせい」でもいけない

言っていることが上と逆になってしまうのですが、支援をしていて重要なことだと思ったので少し補足します。

職場内で支援をしていると、人間関係や業務負荷など、休職の理由を全て「職場のせい」にしてしまいがちです。

しかしながら、それだけで不調の原因を説明できるとは限りません。

家庭のストレス」や「他の身体疾患の影響」、「そもそも疾患が内因性(これを見立てるのはなかなか難しい)」「喪失体験」などプライベートの問題が背景にあることも少なくありません。生物心理社会モデルによる見立てを忘れてはいけないのです。

また、仮に職場にストレッサーがあったとしても、単一の要因で説明できないことも多くあります。

例えば、もともと「対人関係ですり減っていた」ところに「業務で失敗」して心のエネルギーが尽きた、なんてこともあるでしょう。原因ときっかけが異なることはよくあります。

加えて、本人がストレッサーを隠す(言いたがらない)場合もあります

これには「こんなことで辛くなるなんて恥ずかしい」という「恥の感覚」や、この上司には言っても通じないという「上司への不信感」等の要因が絡んでくるので、最終的には本人にゆだねるしかないのですが、対策もあります。

それは組織外の人間が話を聞くことです。例えば「心理職」「看護師」が話を聞くと答えてくれる場合があります

また、組織内でも「当人所属と別部署の人間」「友人」が本人から事情を聞いているかもしれませんので、その人たちにさりげなく聞いてみるのも効果的な場合があります。

再発は支援者の精神的疲労を増大させます。組織内でできることに限界はありますが、できることを探していく姿勢が求められるでしょう。

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支援を裏でこそこそやらない(同僚の気持ちを理解する)

これは経験的に非常に重要です。過去に比べれば障害に対する理解は進んだかもしれません。

一方で、未だに「うつはなまけ」と言い切る人がいるのも事実です。組織風土も障害受容に影響するため、理解が良い会社とそうでない会社があるでしょう。

話を戻します。

「こそこそやる」というのは、不調者が出た職場の「同僚」に事の詳細を伝えず、支援関係者だけで復職の話を進める、という意味です

同僚目線で復帰支援を見ると、「なんか理由はわからないけどうつ病で休職した○○さんが来週から復帰するらしいよ。なんで私たちは知らないの? 一緒に働くの私たちだよ? どう接したら良いの? てか勝手に話し進めないで欲しい」みたいな心境になるようです。

つまり、裏でこそこそやると、スタート時点から復職者本人がマイナス印象となり、協力が得られず、いやーなムードになります。

こうなるとほぼ確実に失敗します(もちろん復帰する職員さんの休職前のパフォーマンスや性格、キャラクターにも大きく依存します)。

誤解しないでいただきたいのは、「休職者が不調に至った原因を事細かに1から説明するべき」と言っているわけではありません

復帰支援ではプライベートな情報もかなり関係してくるため、それを暴露してしまうのはそっちの方が問題です。

しかし、支援者たちが今現在どんな動きをしているか、今後いつくらいに復帰になりそうか、復帰したらどんな仕事を与え、どんな接し方をすればいいのか、本人からの説明はあるのか、等々は同僚にも伝え、オープンに進めた方がうまくいくと私は思っています。

その際に有効なのが、メタファーとして身体疾患を使うことです

うつ病は脳の構造上の変化によるもの、身体的な病気であることを伝えます。例えば、「骨折」や、ちょっと言い過ぎかもしれないですが「がん」になった人が復帰すると思って欲しいと伝えても良いでしょう。

これにより、本人の体調を考慮した配慮をする必要があること、また、再発することも念頭に入れる必要があることを理解してもらいやすくなります。

また、職場の同僚は「なんで復職したやつがあんなに手厚く扱われて、それ以上に働いている私たちが我慢しないといけないのか」という被害者意識が芽生えやすいことを理解する必要があります。

私が思うに、上司はストレートに、「復帰する人より、君たちの健康の方が正直なところ大切だから、不満があればいつでも言って欲しい」、くらいのことを同僚たちに言っても良いと思います。

そう言われることで同僚たちは自分たちが大切にされていることがわかり、不調者に配慮しようと思えますし、結果的に復職支援自体がうまくいく可能性が上がるように思います。

まとめ

  1. 休職に至った根本的な理由に対処する
  2. 支援を裏でこそこそやらない(同僚の気持ちを理解する)

再発予防に重要なポイントとしてこの2点をお伝えしました。

もちろんこれだけが重要というわけではないですが、声を大にして言いたいことということで記事としました。

復職支援プログラムの全体については以下のページをご覧ください。

【心理職が解説】うつ病等の職場復帰支援プログラム
正確な統計かわかりませんが、うつ病等の精神疾患を理由に休職した職員が復帰後に再発する確率は概ね50%だと言われています。ちなみに再度休職した場合、次に復帰するときは約70%が再再発すると言われています。私の感覚的にも職場復帰支援はすんなりい

職場のメンタルヘルス対策全体の目次は以下をご覧ください。この記事の他にもたくさん記事があります。

産業領域で働く心理職・保健師のためのメンタルヘルス対策入門
以下にある記事群は「会社や団体等の組織内で働く心理職(事業場内産業保健スタッフ)がどうやったら効果的な活動ができるか」について書いたものです。私が企業内で心理的支援を行った経験を基に書きました。ブログの記事というよりは、「新書」に...

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この記事を書いた人
モトセ

30代の心理職です。元会社員で社会人入試組。ITベンチャー→大学→大学院→心理職。SC、精神科クリニック、企業内心理職の経験ありです。twitterでは心理学関係の学会の更新情報をつぶやいていますので、情報収集に使ってください。

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