この記事では組織のメンタルヘルス対策における「セルフケア」について解説しています。
セルフケアというのは、一言で言えば「自分で自分に行うメンタルケア」のことです。
結論から言うと、セルフケアで最も重要なのは「ストレス度の見える化」だと私は考えています。
理由は、うつ病などのメンタル疾患を「身体疾患」と同様に捉えることで理解が容易になるからです。
例を挙げます。
身体疾患が疑われるとき、皆さんは何をしますか? 「健康診断」ですよね。
「体重」や「血圧」、「コレステロール」、「尿酸値」、「心電図」などなど、全部数値や図で客観的に見ることができます。
それによって「要注意」とか、「要治療」とか、対処の方針が導き出せます。
また、不調者本人も、血圧が150だったらさすがに「これはやばい」と危機感を覚え、治療に行きますよね。
このように数値には人を動かす力があります。それを利用するわけです。
セルフケア!「ストレス度の見える化」の方法
CSI(包括的ストレス反応尺度)を使う
最も利用しやすい見える化の方法は「質問紙」です。質問紙とは「チェックリスト」みたいなものです。
会社で「ストレスチェック」をやっていれば目にしたことがあるかと思います。
但し、制度的に行う「ストレスチェック」には弱点があります。1つ目はやりたいときにできない、2つ目は場合によっては結果が出るまでに時間がかかることです。
以上の点から私は「CSI(包括的ストレス反応尺度)」という質問紙を使うことをお勧めします。
リンク:http://labo-wakashima.c.ooco.jp/CSI.pdf
CSIは東北大学の研究グループが開発した「一般的なストレス度」を測る質問紙です。
「総合点」に加え、「不安・緊張」「不機嫌・怒り」「自律神経症状」(頭痛などの身体症状のこと)の3点を数値化できます(逆に言うと、ストレス反応というのは不安か、苛立ちか、身体症状として現れることがわかります)。
SDSやBDIという「抑うつ度」を測る質問紙もあるのですが、健康度の高い方を対象に「ストレス度」を把握するには、うつ尺度よりストレス尺度の方が適しています。
この尺度の最高にイケてるところは、「災害時ストレス反応と一般ストレス反応を分けている」ところと、「自分で採点してストレスの程度が一発で見える化」できる点です。
この尺度は研究の過程で多くの人にやってもらっており、平均的な得点域がすでに分かっています。
そのため、自分の得点(ストレス度)がわかれば、それが一般的な人に比べて高いか、普通か、低いかわかるのです。
ぜひ自分でやってみてください。
研修実施者の方はこれを参加者に実施してもらい、「ストレス度の見える化」にお役立てください。質問項目からストレス反応の具体例を知るという使い方も可能です。
もしストレス度が高かったらどうすればいいの?
もしストレス尺度によってストレス度が高いとわかったらどうすればいいかですが、今とは異なるストレス対処(コーピング)をするのが良いでしょう。
以下の本が非常に参考になります。
より深く、広く、ストレスコーピングを学びたい方、実際に困っている方にお勧め致します。また、組織内の健康管理担当者に相談することも検討してください。