心理検査

【簡単】エゴグラム(TEG3)の結果の見方解説【パターンの解釈は不要】

エゴグラムの結果はどう解釈したらいいのだろう…
W型とかN型とかあるけど特徴がいまいちわからないし、似たような解説サイトが多くてどれを見たらよいかわからない。

こういった疑問について解説していきます。

本記事の内容

  1. エゴグラムの結果は5つの自我状態の高低だけでわかる
  2. エゴグラムのパターン解釈が不要な3つの理由
  3. 性格を変えるためのヒント

 

エゴグラム(TEG3)は質問紙法の性格検査の中でもかなり簡単に作られています。CP、NP、A、AC、FCの5つの自我状態の知識さえあれば、専門家でなくても結果を読み取れます。

では解説、の前に・・・

30秒でおさらい、エゴグラムとは?

アメリカの精神科医エリック・バーンが創始した「交流分析理論」に基づき、デュセイが考案したもので、5つの自我状態のエネルギー量を評価し、性格特性や行動パターンを推測する心理検査です。日本では、「東京大学医学部心療内科TEG研究会」が日本人の性格傾向やものの考え方に合わせて開発したTEG(東大式エゴグラム)が広く用いられており、最新版はTEG3です。

エゴグラムの結果は5つの自我状態の高低だけでわかる

エゴグラムの結果読み取りで最低限必要な知識は5つの自我状態と言われるものです。

その5つとはCP、NP、A、AC、FCです。この5つの値が高いか、普通か、低いかだけで性格傾向を捉えるのに十分な情報が得られます。

なお、それぞれ20点が最大値、0点が最低値です。

CP(Critical Parent:批判的な親)

厳しい父親的な側面を表します。

責任感が強い、厳格である、理想をかかげる、こうあるべきという批判的な態度の強さを意味します。

NP(Nurturing Parent:養育的な親)

優しいお母さん的な側面を表します。

優しい、思いやりがある、世話好き、受容的である、といった特徴を意味します。低いと冷たい印象になると言えます。

A(Adult:大人の自分)

合理的な大人の自我状態で、親の自分と子どもの自分のまとめ役的な側面を表します。

理論的、現実的である、冷静沈着である、客観性を重んじる、といった特徴を意味します。低い場合、感情的、主観的と言えます。

FC(Free Child:自由な子ども)

欲求のままに行動するやんちゃな子ども的な側面を表します。

感情を率直に表現する、自由奔放である、好奇心が強い、創造的である、無邪気であるといった特徴を意味します。低い場合控えめで抑制的と言えます。

AC(Adapted Child:順応した子ども)

周囲の目を気にする空気を読む子ども的な側面を表します。

協調性がある、我慢強い、他者を優先する、遠慮がちである、人の評価を気にする、といった特徴を意味します。低い場合わがままで自由な方だと言えます。

5つの自我状態をマスターしたら例を見てみましょう。たとえば以下のような結果になったとします。

  • CP 10
  • NP 20
  • A  10
  • FC 3
  • AC 20

高い値は何でしょうか? 「NP」と「AC」ですね。よって、優しい、思いやりがある、世話好き、受容的、協調性がある、我慢強い、他者を優先する、遠慮がちである、人の評価を気にする傾向が強い性格と捉えることができます。

要約すれば、優しく思いやりがあって控えめな性格です。

低いのはFCです。よって、感情を率直に表現しない、自由奔放に振る舞わない、好奇心が強くない、創造的でない、無邪気でないという特徴があります。

要約すれば、自分の欲求を抑えて他者を優先し、自由さがなく頑固な性格です。

2つくっつければ、控えめで優しく思いやりがあるが、自分の欲求を抑えて他者を優先する頑固な性格、となります。

これはほぼN型と呼ばれる形ですが、別にN型のプロフィールを調べなくとも5つの自我状態だけでわかります。

1つ1つ理解するのがめんどくさいからパターンを調べれば良いのでは?と感じた方もおられるでしょう。

実際の結果が「当てはまりが良い典型的なパターン」になったのであればそれも良いと思います。ただ、5つの自我状態を個別にしっかり理解した方が、柔軟に対応できるというだけです

エゴグラムのパターン解釈が不要な3つの理由

エゴグラムの結果パターンとはCP等の1つの自我状態が突出して高い「優位型」やその逆の「低位型」、プロフィールの形がUやN、W、MになるU型N型逆N型W型M型などがあります。

私がエゴグラムの結果のパターン解釈が不要だと思う理由は以下の3つです。

  1. パターンに当てはまりの悪い中間型に対応できない
  2. 5つの自我状態の意味をしっかり理解せずに性格を把握する
  3. 受験者の性格を決めつける原因になる

 

パターンに当てはまりの悪い中間型に対応できない

どのパターンにも当てはまらないような微妙な形の時にどうしますか?
少し低い(高い)自我状態はどういう意味だっけ?と考えませんか?
典型的なパターンにはまらない場合は本質に戻ることになるので、最初からパターン解釈を覚える必要はないと思います。

5つの自我状態の意味をしっかり理解せずに性格を把握する

W型はこういう性格などとパターンばかり覚えるとそれぞれの意味をしっかりと理解しないままになる恐れがあります。

受験者の性格を決めつける原因になる

エゴグラムの結果だけでその人の性格が100%理解できるわけではありません(エゴグラムに限ったことではなく、1つの性格検査だけで性格を判断するのは危険です)。

しかし、パターンに当てはまりが良いと、説明しやすいために、性格を決めつけるリスクがあるのではないでしょうか。

性格を変えるためのヒント

性格検査を行ったということは知りたいか、変わりたいか、もしくはその両方かと思います。精神科を受診したら提案されたからやってみた、という方もいるでしょう。

エゴグラムを参考に性格を変える方法は、低いところを高くするにはどうすれば良いか考えて行動する、この1点です

私が感じているエゴグラムの暗黙の了解は「バランスよく高い人が人間的に成熟している」ということです。低いところがあっても性格なんだから個性と言うこともできます。だとしたら、検査した意味は何でしょうか?

検査を性格を変えるきっかけにするのであれば、改善点がわからなければいけません。

上記した例であれば、

  • CP 10
  • NP 20
  • A  10
  • FC 3
  • AC 20

と、FCが極端に低いですから、自由奔放な子どもっぽい部分をもっと出してみることが行動指針になります。

なお、心理検査の結果を伝えるフィードバックに関しては以下の書籍がおすすめです(専門家向けです)。

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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