こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 不登校を解決する親の神対応【正しいほめ方・認め方】
- 理屈も大切、なぜほめること・認めることが必要なのか
- 不登校を悪化させる親の”やみ”対応
私は児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリングをしていた臨床心理士です。
この記事を見るとどうなる??
- 「ほめ方」と「認め方」がわかる。
- 間違った「ほめ方」を止めることができる。
- 不登校のお子さんとの生活がストレスフリーに近づく。
不登校を解決する親の神対応【正しいほめ方・認め方】
この章では次の2つを解説します。
- 正しいほめ方と具体例【タイミング×ほめ言葉】
- 正しい認め方と具体例【いてくれてありがとう】
理屈から入りたい人は先に次の章を読んでみてください。
親御さんの正しい「ほめ方」と具体例
私の考える正しい「ほめ方」の方程式は次のとおりです。
タイミング × ほめ言葉 = ほめの効果
「タイミング」と「ほめ言葉」が重要な理由
タイミングを間違うと、ほめてるつもりでプレッシャーを掛けたり、逆にバカにしてると受け取られることがあります。
せっかくやるのですから、効果が小か、中か、大かは重要ですよね。
正しいほめタイミング
まずは次の3つのタイミングを心がけるとよいと思います。
- 本人なりの努力でものごとが前進したとき(過去との比較)
例:ゲームで次のステージに進んだ。勉強でできなかった問題ができるようになった。 - 子どもが好きなことに活き活きと取り組んでいるとき(自発的な行動)
例:自発的に工作を始めた。野球の試合を解説してくれる。ジャニーズの魅力を語っている。 - 子どもの行動で親が助かったとき
例:家事や犬の散歩を手伝ってくれた。
私の場合カウンセリングでしかお子さんと会わないので、前進したかどうかは聞かないとわかりません。
なので「1ヵ月前はどうだったの?」などと具体的に聞いたりします。
間違ったほめタイミング
次に間違ったほめタイミングは以下の3つを知っておくとよいかと思います。
- 学校に行ったとき(例:昼からでも登校した)
悪い理由:「学校に行かないときのあなたはダメ」というメッセージになる。「昼から行けたね」と認めるのであればプレッシャーにはならないかもしれません。 - 何も変化していないとき(例:いつもと同じように宿題をこなした)
悪い理由:すごくもないのにほめたら嘘になってしまう。変化がないときは「認める」でいきましょう。 - できて当たり前のことをやったとき(例:字が書けた)
悪い理由:いやいや、そりゃできるでしょ、と思っちゃいますよね。
ちなみに「ほめるの疲れるんですけど」と感じた親御さんもいるかもしれません。
そう感じたら無理にやらなくて良いと私は思います。
なぜなら、お子さんから見て「お母さん、そんな頑張ってほめなくていいから」と思われたら、ほめているのではなく、気を遣わせているだけだからです。
では次に、ほめ方のバリエーションについてお話します。
効果的な「ほめ方」
重要なところだけ一気にお伝えします。
- 直接ほめる
- 間接的にほめる
- 結果1割、過程9割の比率でほめる
- こだわった、頑張った、難しかったところを聞く
- その行動ができた理由を、驚きをもって聞く
- 本人の能力に帰属してコメントする
- 親自身が喜んでいることを伝える
効果的な「ほめ言葉」の具体例
「ゲームで新しいステージをクリアした」というお子さんの行動に対し、上記したほめ方を全部やるとこうなります。
- え!すごいじゃん!(直接ほめる)
- お父さんにも言いたいわー(間接的にほめる)
- 毎日こつこつ練習していたもんね(過程をほめる)
- どこらへんが難しかったの?(こだわった部分を聞く)
- なんでそんなことできたの?!(行動できた理由を驚きをもって聞く)
- そっかー、○○は観察力があるね(本人のもっている能力に帰属する)
- ○○が嬉しそうで、お母さんも本当に嬉しいよ(親自身が喜んでいることを伝える)
ここまでやるとラーメンのトッピング全部乗せみたいでちょっと重いでしょうか。
白々しいと感じたら適宜調整してみてください。
「直接ほめる」は誰でもできる「ほめ」なので、この記事を見た皆さんにはぜひ2つ目以降にチャレンジして欲しいです。
(補足)間接的に伝えるコツ
「間接的コンプリメント」だけはイメージしずらいと思うので補足させてもらいます。例としては以下です
例1:(子どもがいる場面で父に向って)「今日○○が~~してくれて私嬉しかったんだ」
これは、母が父に、子どものほめたいところを伝える場面を「子どもに見せる」というやり方です。お父さんはのっかってくださいね。「そんなのすごくねぇよ」とか言いそうなお父さんにはお母さんが事前にネゴっておいてください。
例2「そういえば、お父さんが○○が~~しててすごいなって言ってたよ」
これは、誰かがほめてたよと「伝言」することです。これシンプルにめちゃ嬉しいですよね。
例3「夫に子どものほめたい行動を伝え、夫から「お母さんから聞いたんだけど、~~できたんだな」と伝えてもらう。
これも「伝言」ですね。
はい、ここまで「ほめ方」についてでした。
次に「認める」についてお伝えしていきます。
親御さんの正しい「認め方」と具体例【いてくれてありがとう】
「認める」とは、よいところも悪いところもひっくるめて受け止めるという意味です。
「受容」と言っても良いかと思います。
カウンセリングでもこの「受容」をとても大切にします。
認めることが大切な理由
ありのままの自分を受け入れてもらえた時に、お子さんの心のエネルギーが回復するからです。
「ありのままを受けとめることが大切」というきれいごとを言いたいのではなく、シンプルに親子関係の構築に役立つのでお伝えしています。
もう少し言うと、ほめるのも良いのですが、めるのは「よくできた」という良い面をピックアップした言葉がけです。
じゃあ、よい面ばかりほめて、できなかったときに子どもを否定し続けていたらどうなるでしょうか?
多くの場合、親から見たら不登校のお子さんは「悪いところだらけ」なのでたぶん会話がなくなります。
しまいにはお子さんが「お母さんはいい子でいる私が好きなんだよね」と感じて親に失望し、本音を隠し、引きこもったり、よい子を演じるようになるかもしれません。
そうなると色々とよくないので、「認める」という会話も取り入れてみてください。
「認める」言葉かけの具体例
- 失敗した時に「あー失敗しちゃったんだね」「そんな時もあるよね」
- できなかったときに「そっかー、できなかったかー」「チャレンジしたんだけどね」
- 「その時どんなこと考えたの?」と聞いてから「そりゃそう思うよねぇ」
- 遅く起きてご飯を食べたときに「今日もご飯食べれたね」
- 本人が自然とやっていることを見つけて「それいいね」
- いつもやっていることを見つけて「お、今日も○○したね」「○○は本当にこれ好きだよね」(皮肉っぽい言い方にならないように注意)
- 学校に行こうとして行けなかったときに「行こうと思ったけど、まだしんどいんだね」
- 「こっちおいで」を言って「ぎゅー」などと言いハグする
- 結局のところ、目を見て「ありがとう」とほほ笑むことが最強
親御さんのカウンセリングでこれを伝えたときに「なんかもやっとするんですけど…」と言われたことが実際にあります。
ですがこれ、お子さん目線で見ると「動揺せずに、どっしり構えてくれている」「引かないで聞いてくれる」となるようです。
もしアドバイスが欲しければお子さん自ら「どうしたらいいかな?」と聞いてくるので、そしたら答えられる範囲で答えてあげてください。
助言はそれからでも遅くないです。
カウンセリングではこのような受容を「無条件の肯定的な関心」と呼びます。他に「共感的な理解」と「純粋性」がC.ロジャーズが提唱したパーソナリティ変化を導くカウンセラーの3大条件と言われています。一応こういう専門性を意識してカウンセリングは行われています、という補足でした。
結論、不登校のお子さんの良いところも悪いところもまるっと受け止めると親子で元気でる。
理屈も大切、なぜほめること・認めることが必要なのか
ここまで先に具体的な方法をお伝えしましたが、なぜ「ほめること」や「認めること(受容)」が大切か理屈を少しだけお伝えします。
結論から言えば、「ほめ」は「自己肯定感」を高め、「認め」は「自己受容感」を高めるからです。
自己肯定感と自己受容感
自己肯定感:自分自身の特徴を肯定的に捉える感覚。
自己受容感:いいところも悪いとこも含めて、自分はこういう人と受け入れる感覚。
高い自己肯定感は次に一歩踏み出す勇気になります。
そして、自己受容感があることでお子さんはありのままの自分でいられることができます。
言い換えれば、精神的に健康でいられます。大人のカウンセリングであっても最終的な目標の1つは自己受容です。
ここで超重要なこと言います。
なにより、【親御さんから】この感情を支えてもらうことでお子さんは元気になるんです。
私みたいなカウンセラーもサポートしますが、「親がほめてくれた」とか「親が受け止めてくれた」と安心した表情で語るお子さんを見ていると親御さんの影響力には及ばないと感じます。
精神的に健康であるというベースの上に一歩踏み出す勇気が乗っかることで、お子さんは目標達成に向けた一歩を踏み出すことができます。
だから、「ほめ」と「認め」は両方大切なのです。
最後に、不登校を悪化させる可能性のある親の対応を紹介して終わりたいと思います。
不登校を悪化させる親の”やみ”対応
不登校の親御さんが行いがちな不登校を悪化させる“やみ”対応は次の2つです。
- 闇対応:子どもを闇落ちさせる「否定的な声かけ」
- 病み対応:親自身の病み(不安)からくる先回り・過干渉
では、1つずつ解説していきます。
闇対応:子どもを闇落ちさせる「否定的な声かけ」
私の言う「闇対応」はようするにお子さんを「否定する」ということであり「ほめる」「認める」の逆です。
「叱る」とはまた違いますから、注意してください。
親御さんの怒りや苛立ちを解消することを目的とした声掛けである点が特徴だと思っています。
闇対応の具定例
- 「なんで学校に行けないの?」
- 「そんなんじゃ自立できないよ?」
- 「バカなの?!」
- 「ダメな子ね」
- 「だから言ったじゃない!」
病み対応:親自身の病み(不安)からくる先回り・過干渉
私の言う「病み対応」は子どもが自分で考えて行動するまえに、親が質問したり指示したりすることを意味しています。
親御さんの「不安」を解消することを目的としている点が特徴です。
病み対応の具体例
- 「あれやった?」「これやった?」と頻繁に聞く
- 「ほら、挨拶して」「ちゃんと目を見て」などと常に指示している
- 「ゲームはやりすぎちゃダメでしょ」などと口うるさい
理由は別の記事で書いていますので興味のある方は【画期的】不登校の将来を決める親の関わり方【最悪から考える】を参考にしてみてください。
やばい宿題:あえて「毒親」のふりをする1日を作る
やばい宿題ですが「あえて毒親のふりをする日を1日作ること」です。
毒親というのは「毒になる親」というスーザン・フォワードの書籍から作られた造語で、一言で言えば「子どもの人生を支配し、子どもに害を与える親」です(詳しくはWikipediaを参照)。
この宿題の意図
なぜ「毒親の振りをすること」が効果的かというと、理由は2つです。
まず1つ目は意識してやろうとすると意外とできない、2つ目が私こんなこと自然にやってたんだと自覚できる、この2点です。
1つ目:意識してやろうとすると意外とできない
そもそもこういうサイトを見ているひとは「毒親」ではない可能性が高いですが、毒親かもとおもうかたはわざとやってみることで、白々しくなって自分でストップできることがあります。
2つ目:私こんなこと自然にやってたんだと自覚できる
「よーし、今から子どもにプレッシャーかけるぞう」などと、わざとやろうとすることで、「わたしナチュラルにこんなことやってたんだ」と冷静に、自分を客観的に見れるようになれたりします。
長々と読んでいただき本当にありがとうございました。
本記事のまとめ
①不登校を解決する親の神対応【正しいほめ方・認め方】
正しい「ほめ方」と「認め方」の具体例を書いてみました。ちなみに私は以下の本を参考にしています。
不登校向けの本ではありませんが、ほめること、認めること、に加え、叱ることについて書いてあり、子育て全般に役立つと思います。興味のある方は読んでみてください。
②理屈も大切、なぜほめること・認めることが必要なのか
自己肯定感と自己受容感を育てるため。
③不登校を悪化させる親の”やみ”対応【やばい宿題あります】
- 闇対応:子どもを闇落ちさせる「否定的な声かけ」
- 病み対応:親自身の病み(不安)からくる先回り・過干渉・過保護
やばい宿題:1日だけわざと毒親のふりをしてみる。わざとやることで自分を客観視するきっかけになる。
最後に、私の不登校支援の結論は以下の記事に書いています。
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