不登校

【入門】不登校特例校とは?特徴まとめ5選【適応指導教室との違い】

不登校の特例校というのがあるらしいけど、どんな学校なのだろう。適応指導教室やフリースクールとは違うのかな。その後の進学にデメリットはあるのかな。

こういった疑問にお答えします。

 

本記事の内容

  1. 不登校特例校の特徴まとめ5選
  2. 特例校と適応指導教室、フリースクールとの違い
  3. Q&A:学費、転校の難易度、進学への影響、メリットとデメリットなど

 

私は児童精神科や学校で不登校のお子さん・親御さんのカウンセリングをしていた臨床心理士です。

関わったなかには特例校に通っているお子さんもいらっしゃいました。

本記事ではそんな私が不登校特例校の特徴についてまとめていますので参考にしてみてください。

 

不登校特例校の特徴まとめ5選

不登校特例校を一言で言うと「不登校生徒のために独自の教育課程を設けている学校」です。

小学校、中学校だけでなく、高校もあります。

別の言い方をすれば、登校のハードルが低くなるように工夫された学校です。

歴史は比較的新しく、2004年(平成16)に東京都八王子市の高尾山学園に初めて導入され、2022年4月現在で全国に21校の特例校が存在します。

独自の教育課程は本当に様々なようです。

私が感じた特例校の特徴を5つにまとめました。

  1. 公立や私立は関係ない。学費も様々。
  2. 総授業時間数が少ない場合が多い。
  3. クラス編成や授業形態の自由度が高い。
  4. 特例校独自の取り組みが盛ん。
  5. 一般教科に比べて総合的な学習の時間を増やしている場合が多い。

 

①公立や私立は関係なく学費も様々。

市立などの「公立」の特例校もあれば、「私立」の特例校もあります。

公立であれば教員は普通の学校に勤務する先生です。

公募で募っているようで、意欲のある先生が集まる地域もあるようです。

公立と私立両方あるため、学費は学校によって異なります。

例えば、高尾山学園は八王子市立のため、授業料自体は無料です。

特例校で有名な神奈川県の星槎中学校は私立であり初年度で150万以上かかります。

学校によって様々のため、HPやパンフレットで確認するのが良いと思います。

 

②総授業時間数が少ない場合が多い

特例校の総授業時間数は一般の学校よりも少ない場合が多いです。

文科省の設置の手引きによれば特例校であっても「学習指導要領に基づく教育課程に沿って学習するものであることから、原則として、教育内容や総授業時間数の削減は行うべきではない」と書かれています。

しかし次のようにも書かれており、実際のところ総授業時間数は本来より少ないところが多いようです。

「ただし,教育内容や総授業時間数の削減を行わなければ,不登校児童生徒の教育環境を保障することが困難であると考えられるなどの特別の事情がある場合には,以下の点に十分留意した上で,教育内容や総授業時間数の削減を行うことができるものとしている。」

参考:文科省の設置の手引き

なお、学習指導要領に定められている「標準授業時数」は通常1015時間ですが、特例校は4分の3程度の学校が多いようです。

例として岐阜市立草潤中学校は、770時間となっています。
引用元:校庭で数学の授業に出てもいい?岐阜の「バーバパパのがっこう」草潤中学校が示す、学校の新しい当たり前[代表のつぶやき]

 

③クラス編成や授業形態の自由度が高い

一般的な学校はクラス単位で同じ教科を学びますし、1日の時間割も決まっています。

一方特例校の場合、クラス編成や授業形態の自由度が高く柔軟に対応しているところが少なくありません。

例としては以下です。

  • 複数の学年が混ざって1クラスになっている。
  • 一斉授業ではなく、それぞれが個別に学習し、困ったことがあったら先生に聞くような授業形態。
  • 担任の先生を生徒が選べる
  • 自宅学習が許可されていたり、オンライン授業があったりする。
  • 何時までいても良い、教室ではなくどこで授業を受けても良いという学校もある。

 

④特例校独自の取り組みが盛ん

独自の取り組みが盛んであるのも特例校の特徴です。

例えば星槎中学校・高校は「個別指導計画」を作成し、生徒一人ひとりの得意・不得意を考慮した指導を謳っています。

他にも京都市立洛友中学校は昼間部と夜間部との交流という独特な特徴があります。

 

⑤一般教科に比べて総合的な学習の時間を増やしている場合が多い

不登校特例校は一般教科に比べ、総合的な学習の時間を増やしている場合が多いです。

例としては、校外学習、ボランティア活動、宿泊学習などが挙げられます。

詰め込み型ではなく、体験的な授業を通じて社会的な経験を積んだり、本人が自信をもてるようになる意図があるようです。

 

このような特色がある不登校特例校ですが、適応指導教室・フリースクールとどう違うの?と疑問に思った親御さんも多いかと思います。

次の章ではその違いについて解説していきます。

 

不登校特例校と適応指導教室・フリースクールとの違いとは?

大きな違いは、以下の2点だと私は思います。

  1. 生徒にとって本籍校かそうでないか
  2. 不登校支援の充実度の違い

 

①生徒にとって本籍校かそうでないか

適応指導教室はそもそも学校ではありません。

そのため、適応指導教室には年間総授業時間数というものもありません。

フリースクールも目的や活動内容は適応指導教室と似ていますが、適応指導教室とは運営母体が異なります。

適応指導教室の運営母体は各市町村のため基本は無料で席を置くことができます。

一方、フリースクールの運営母体はNPO法人であり利用にあたってはお金がかかることがほとんどです。

不登校特例校は特例校自体が学校なので、生徒の本籍校になります。

 

②不登校支援の充実度の違い

近年開口した特例校の紹介をみると、適応指導教室より充実した支援内容であることがわかります(例として上記した岐阜の草潤中学校)。

しかし、特例校の中でもけっこう差があるようで一概には言えません。

東京シューレ葛飾中学校のようにもともとフリースクールだった特例校もあるため、適応指導教室やフリースクールとあまり差がない特例校もあるでしょう。

とはいえ、新しく開校する不登校特例校ほどカリキュラムや配慮事項は充実している傾向にあるようでうです。

そういう意味では、従来から存在する適応指導教室よりも配慮の度合いは高いと思われます。

2021年に開校した草潤中学校の取り組みを掲載したWebページを見る限り、相当居心地が良い設計がなされています。

率直な感想としては、学校兼ネットカフェみたいです。

最後に実際に利用するとしたら気になるポイントをQA形式でまとめてみました。

 

Q&A:学費、転校の難易度、進学への影響、メリットデメリットは?

自分だったら気になるだろう質問のいくつかをQA形式でまとめてみました。

  • 学費はいくらかかるの?
  • 転校の難易度は?
  • 進学への影響は?
  • メリットとデメリットは?

Q:学費はいくらかかるの?

A:これは学校によります。公立であれば授業料は無料のところもありますが、市立であれば年間100万を超える学校もあります。

Q転校の難易度は?

A:これも学校によります。

市立でも公立でも定員は存在するため、人気のある学校は倍率が上がります。例えば近年開校した岐阜の草潤中学校は4倍ほどのようです。

一方で定員に届いていない学校もあるようで、こればかりは問い合わせるしかないでしょう。

Q:進学への影響は?

A:私立の場合、高校進学にあたっては系列校に進学する場合が多いようです。内部進学であれば外部から転校するよりは難易度は低いと考えられます。

公立校の場合は生徒さんの学力や登校への意欲に応じて普通高校(大学)や通信制高校(大学)を選択したり、就職をする方もいるでしょう。

特例校で社会生活の経験を積むことで自信がつき、新しい環境に進む勇気がもてるお子さんんも多いと思います。

Qメリットとデメリットは?

特例校のメリット

最大のメリットは不登校児童の特徴や心理面に配慮した学習・生活環境が整っている点でしょう。

環境面が充実することで登校しやすくなり、学力や社会性、自信を高めるチャンスができます。

お子さん本人にとっても、「学校が苦手な子どもたちが集まる環境」であれば行ってみようかなと登校への不安が低くなる可能性があります。

 

特例校のデメリット

良くも悪くも自分に配慮された環境に慣れてしまうことがあるかもしれません。

高校卒業後の選択肢は大学や専門学校、就職などですが、そこは一般の生徒さんと同じ環境になり、多くの場合特別な配慮はありません。

これまでの環境とのギャップを感じ、やっていけないと心が折れてしまう可能性もなくはないです。

とはいえ、不登校のままでいれば同じ不安は抱えるため、特例校のデメリットといっていいのかは微妙なところです。

私立であれば高額な学費、公立であれば学区内に住んでいないと利用できないないのはデメリットになりそうです。

 

本記事の内容は以上になります。

不登校への支援の1つとして、不登校特例校に席を置くことも選択肢の1つではないでしょうか。

読んでみたけど、私たち家族にとってあまり現実的ではないという方もいるかもしれません。

当ブログでは他にも不登校の記事がありますので支援の参考にしてみてください。

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以下の記事は私の不登校支援の結論です。

  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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