“老年期”、“様々な喪失”、“老年期のクライアントへの臨床心理学的支援” について要点をまとめています。
※この記事は大学のテスト対策、大学院入試の対策用の記事です。
老年期の心理的問題
- 65歳から75歳までを前期老年期とし、社会的役割からの解放が主な出来事となる。
- 75歳からを後期老年期とし、身体の衰えや、死へのプロセスの経験が起こる。
- 前期の人であっても、後期の出来事を経験することがある。
- E.エリクソンによれば、老年期ではネガティブなプロセスばかりではなく、自分が生きてきた文脈の中で自分を受け入れ、人生の意味を見出す “統合” という肯定的なプロセスを併せ持ち、これが発達課題にもなっている。
様々な喪失・解放体験
1.社会的役割の喪失(社会レベル)
- 定年を迎える年齢のため、いわゆる仕事人間の方は生きがいの喪失にもつながる。
- 新しい仕事、趣味の獲得はQOLの維持につながる可能性がある。
2.母親役割の喪失(親役割・家族レベル)
- これは中年期の後期にも重なっている問題である。
- 子育て、孫の面倒を見ることから解放されるが、空の巣症候群になることもある。
3.身体機能の喪失(個人レベル)
- 病気や障害が顕在化し、移動範囲の減少する。
- 不安が募る。死へつながるものだから。
- 周囲への依存が増えていき、自尊心の低下が生じる(迷惑をかけてしまったという罪悪感)。
- このような喪失体験は総じて孤独感や無力感といった抑うつと関連する心理につながりやすい。
- そのため、残りの人生にどのような価値を見出すかが課題であり、焦点となる。
- 背景にはこのような感情があり、それに対する防衛的反応として図々しさや要求の多さが表れることがあることを理解する。
老年期のクライアントに対する臨床心理援助の基本姿勢
- 老年期であっても、アセスメントは生物・心理・社会モデルが基本となる。
- 老年期の援助をする人多くは年齢が下になる(場合によっては何十歳も下)。
- クライアントの人生に敬意を払う、配慮と慎みをもって接することが大切である。
- こうした老年期の様々な視点を身に着けておくことが援助の第一歩となる。
- 上記した課題はあるものの、受け取り方は本人次第で、それぞれの受け止め方があることを理解する。
アセスメント時の留意点
- 視覚・聴覚が青年や成人と同じとは限らないため、検査法の選定に留意する。
- 体力が落ちていることが多いので、疲労度に配慮し、長時間の実施は避ける。
- 認知症がQOLを大きく左右するため、認知症のアセスメントが重要である。
- 老年期特有の老年期うつ病というのもあるので、その面も気を付ける。
介入法
- 個人の生活史の文脈に従って、今ここの問題を問い直し、人生に意味を見出すことが援助となる。
- ライフレビューなどの方法が用いられる。