臨床心理学

災害支援・参事ストレスへの臨床心理学的支援

“災害支援”、“参事ストレス”、“PTSD”への臨床心理的支援について要点をまとめています。

※この記事は大学のテスト対策、大学院入試の勉強用の記事です。

災害における臨床心理学的支援

東日本大震災ではPTSDなどの心理的な症状を呈する人や喪失体験をした人のサポートのために様々な臨床心理学的支援が行われました。

災害後に起こりうる問題

  • 被災体験それ自体。
  • 家族・知人の喪失。
  • PTSD、抑うつ、不安、焦燥、怒りなどの心理的症状。
  • 睡眠障害、生活習慣病の悪化、頭痛、腹痛などの身体症状症。
  • 震災であれば、津波や原発事故による避難・転居のストレスも問題。
  • 新しい家に行ける人、仮設住宅に残る人、格差問題。
  • 避難先は全く別のコミュニティであり、人間関係の問題もあり、孤立しやすい。
  • 収入がなくなることで経済的な問題も大きい

PTSDについて

PTSDとは心的外傷後ストレス障害のことであり、自身の生命を脅かすほどの強烈な危機を経験し、その経験によって様々な症状が現れる不安障害の1つである。症状は、①危機的経験を無意識に想起してしまう再体験症状(フラッシュバック)、②危機的経験に関する認知から目を背けようとする回避症状(周囲への関心が薄くなり、肯定的感情が少なくなる)、③不眠や緊張、集中困難などの過覚醒症状の3つからなる。これら症状の持続が1ヶ月以内の場合はASD(急性ストレス障害)と呼び区別される。
症状に関する初期の心理教育と、認知行動療法による心理援助が有効とされている。
(臨床心理士指定大学院対策 鉄則10&キーワード100 心理学編 (KS専門書)より)

被災者支援の基礎知識

  • 喪失経験に関わらず、感情のコントロール感、周囲からのサポート感が高いと問題行動は抑制されやすい。
  • レジリエンスが高いと問題は抑制されやすい。
  • 家族内で死別や喪失に関する課題がタブー化され、ぎくしゃくするなど、家族関係が悪化しやすいため、タイミングをみてそれらを共有できると良い。
  • 喪失体験を顕在化し、共有することで連帯感が生まれることがある。
  • 回復は一直線ではなく、行きつ戻りつする。
  • 急性期、中長期の視点をもつことが大切である。
  • ポスト・トラウマティック・グロース(PTG)という外傷後成長の観点をもつことも大切である。
  • PTGの例としては、「自己の強さ(自信やスキル:技術、やり方)」、「死への態度の変化」、「人間関係の重要性の認識」「生に対する感謝の念」「ライフスタイルの変化」「希望(新しい事への関心)」などがある。

■支援の方法(対個人)

  • 個別相談、避難所巡回、仮設住宅訪問、母子健康相談、電話相談など。
  • 身体、動作的なアプローチの有効性が認められてきている(EMDRやタッピングタッチ、リラクセーションなど)。

■支援の方法(コミュニティ)

  • 高齢者・母子サロン、地域住民・支援者への支援、相談所の設置などが考えられる。
  • 継続性という視点が大切。心的外傷が基に起こる問題は、中期的な支援の観点で行われるひつようがあるため。
  • 在宅の人は社会的に孤立しやすく、援助要請の声が届きにくく、相談機関へアクセスしにくい。
  • 高齢者は環境変化に脆弱であり、心身の健康が脅かされるリスクが高い。
  • 心理士は現地の巡回支援員などとコミュニティアプローチで支える(コンサルテーション、ケースカンファレンス、セルフケアなどの心理教育)。

支援における留意点

  • カウンセリングにおいて内的葛藤を不用意に語らせることは適切でない場合がある。
  • 本人が望んでいないときに外傷体験を想起させると、ストレス症状の軽減を阻害するだけでなく、新たな外傷を生みかねない。
  • 心理的支援の押し売りになる可能性がある。
  • まずは生活の安定を優先させ、心理的な支援はその後である。
  • 新たな行動を示唆するアドバイスや、現状からの変化を促す介入は極力控え、相談者の状況理解に努める。
  • 問題や心理的な反応は非常時における通常の反応であるとノーマライズすることが大切である。
  • リソースや解決努力を引き出す働きかけが求められる。
  • 支援の際に「する側」と「される側」が明確になってしまうと受ける側に一方的に押し付ける印象を与えてしまいがちである。
  • 専門家が住民のニーズやアドバイスを聞き、ワンダウンになることでこちらの話を聞いてもらいやすい関係を作ることを心掛ける。
  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

-臨床心理学