性格の捉え方は大別すると「特性論」と「類型論」2つに分けられます。今回の記事では「特性論」のメリットデメリットと特性論のルーツである「オールポートの研究」を紹介します。
類型論については以下の記事をご覧ください。
性格の特性論とは?
性格特性とは「個人が様々な状況の中で一貫して示す性格の傾向」のことです。例えば「やさしさ」や「積極性」などは特性と言えます。
性格の特性論とは、パーソナリティは特性と数値化を組み合わせる事で表すことができる、という考えの下で生まれた性格のとらえ方です。よって特性論における個人差とは、特性の量的な差(数値で表せる違い)となります。
最も有名なのは「ビッグファイブ」と呼ばれる特性論です。ビッグファイブでは性格を「外向性」「神経症傾向」「開放性」「協調性」「勤勉性」の5つの特性で理解します。
特性論のメリット
特性論のメリット”客観的に数値で測定が可能である”こと、"程度として理解できる"ことなどです。
数値化できればAさんはX点だけど、BさんはY点のように比較できますし、自分が他者と比較してどの程度かもわかります。
特性論のデメリット
デメリットは"測定に使う個々の特性が性格全体を網羅してるとは限らない"こと、"全体像がつかみにくい"ことなどが挙げられます。
特性論のルーツはオールポートによる「言葉」の仕分け
特性論という言葉を最初に言い出したのはアメリカの心理学者オールポートだと言われています。
彼によれば「特性とは性格の基本であり、反応傾向である」とし、これらの特性は測定しうるものであり、一人ひとりの性格は、個々の特性の測定値の総和として表現されると考えました。では彼は個々の「特性」をどう見出したのでしょうか。
オールポートはなんと辞書の中から「明るい」、「飽きっぽい」、「慎重」などの人の態度や行動の特徴に関する言葉を17953語取り出し、それを以下の4つに分類しました。
- 性格を表現する言葉
- 心の一時的な気分や状態を表す言葉
- 評価や価値を表す言葉
- 身体的な特徴や能力を表す言葉
この中でも 1 が最も重要だと考えられ、個数はなんと450個もあったらしいです。また、特性には多くの人に共通する共通特性と、個人に独自の独自特性があるとしたり、さらに共通特性は表出的特性と、態度的特性に・・・
つまりオールポートはとんでもない仕分け人だったのでした。今日の特性論的な性格診断はオールポートがいたからこそ存在しているわけです。ありがとうオールポート。
オールポートの行った特性分類は彼が便宜的に「これ」と選んだものだったのですが、その後キャッテルという心理学者が「因子分析」という統計的手法を用い、16個の根源特性まで整理しています。コンピュータがない時代に手計算で統計処理したそうで、研究者の根気はすさまじいですね。
まとめ
特性
個人が様々な状況の中で一貫して示す性格の傾向。 例:やさしさ、素直さ etc
特性論
パーソナリティを特性と数値化を組み合わせる事で捉える方法。