こういった疑問にお答えします。
この記事では「愛」と「恋」の違いについて、心理学ではどのように考えられているのかお伝えしていきます。心理学において「愛」や「恋」は「アイデンティティ」の発達と関係が深く、青年心理学という分野で研究されている現象です。
本記事では心理学的な「愛」と「恋」の違いについて以下の5点を紹介します。
- 条件性と無条件性
- 自分の幸せか、相手の幸せか
- 時間的展望
- 身体現象の有無
- 恋は欲求、愛は能力
では、解説していきます。
心理学的な、愛と恋の5つの違い
違い1:条件性と無条件性
違いの1つ目は条件性と無条件性です。
恋も愛も相手があってこそ生まれてくる感情ですが、求めているものは大きく違います。
恋の場合、「容姿が美しい」、「体系が好み」、「スポーツをしているところが好き」といった加算的な条件がそろっているときに相手を好きと感じるという条件性の特徴があります。
それに対して愛の場合、この加算的な条件を求めない無条件性の特徴があります。例として、老夫婦を思い浮かべてください。
※母性愛でも家族愛でも良いのですが、夫婦愛がわかりやすいと思います。
そこで老夫婦に対し、「どうして相手を大事に思うのか?」 という質問をしたとしましょう。恐らくその夫婦は「しわくちゃな顔が好き」とか、「ゲートボールをしている姿が好き」とか、「まがった腰が好き」とかそんな美的・身体的な条件を口にしません。
じゃあなんと言うかというと、「その人だから」とか「ずっと一緒に連れ添ってきたから」といった理由を挙げると思われます。つまり、相手に対し、何かしら個別の条件を求めておらず、その人の全人格的な事柄を理由としてあげることが多いでしょう。
愛は見返りを求めないとよく言われますが、これも無条件性という特徴によって説明できます。
他の例えとして母性愛についていうと、いくら顔がかわいくて、身体能力が優れていたとして、他の家の子供を愛するということは起きないですよね。
このように愛と恋では条件性という点において大きな違いあります。
違い2:自分の幸せか、相手の幸せか
恋は自分の幸せ、愛は2人の幸せを望む、ということです。
これは愛の特徴の一つである相互性の問題に大きくかかわっています。
アイデンティティのための恋愛に代表されるように、恋においては、恋をしている自分自身に大きな関心があるのに対し、愛は自分と相手の相互作用それ自体を重要視することが違いの1つであると言えます。
例えば「片思い」や「ファン」の心理を想像してみてください。これらは愛か恋かでいったら 「恋」です。片思い相手やアイドルの気持ちがどうであれ、恋は成立し、満足感を得ることができます。
一方、自分が相手のことを思って何かをした結果、相手が喜んでくれたとしましょう。このような相手の喜びが自分がにとっての喜びであるという気持ちは、相互作用の結果であり、愛的な感情の特徴です。
お互いの幸せを望むことが「愛」であることが、この相互性という特徴からわかると思います。
違い3:時間的展望
恋は短時間で作られるのに対し、愛は長い時間をかけて作られていくという特徴があります。
例えば恋愛において、「一目ぼれ」ということはありますが、あった瞬間に「あなたを愛しています」ということにはならないですよね。
一目ぼれは要するにその人が自分のタイプであるか、過去に経験した好意的な感情の転移(過去の感情を現在に移して感じている状態)であり、恋的な感情です。
一方、愛は人間関係のなかで育まれていくものであり、とても時間がかかります。親子愛をとっても、生まれた瞬間に愛を実感することはあるでしょうが、どちらかと言えば実感がわかないといった感情のほうが強いのではないでしょうか。しかし、時間をかけて関係をきずいていくことで、どんどん子どものことを好きになるでしょう。
このように愛と恋には時間的感覚の違いがあります。
違い4:身体現象の有無
これはつまり、ドキドキするかしないかです。
恋では身体現象を伴うため、一緒にいるとそわそわして緊張したり、ドキドキします。
しかし愛ではそういった身体現象はなくなります。
長年連れ添って毎日ドキドキしてたら、、、愛と恋を同時にしているのでしょうか。
違い5:恋は欲求、愛は能力
恋は欲求・衝動といった感情的な側面が強いのに対し、愛は能力的な側面が強いことが特徴です。
愛には「与える」という行為を通して、自分自身と相手のお互いの喜びを実現しようとするという特徴があります。そのため、愛は想像力と感受性という2つの能力によって支えられると考えられています。
これは決して自己犠牲ではありません。自分がしたくて、相手のために何かをするということです。
理解しづらいかもしれませんが、愛は能動的な技術・能力であり、向上させることができると考えられています。
より詳しく知りたい方は大野先生の本がおすすめです。私は実際に授業を受けましたが、ためになるだけでなく、人生を考えるきっかけになりました。
まとめ
1.条件性と無条件性
恋は条件性、愛は無条件性
2.どちらの幸せか
恋は自分の幸せ、愛はお互いの幸せ
3.時間的展望
恋は短時間で、愛は長時間で作られる
4.身体現象の有無
恋はドキドキする、愛はドキドキしない
5.能力的な問題
恋は欲求、愛は能力
付き合っていく中でドキドキしなくなったとしても、それは恋が終わり、愛の段階に入ったと言うことができるかもしれません。
他にも恋愛心理学に関する記事がありますので参考にしてみてください。