運命の赤い糸とは?
運命の赤い糸とはご存じのとおり、自分と生涯のパートナーとを結ぶ見えない糸があるという伝承です。wikipediaで調べてみたのですが、アジアでは結構古くからある伝承みたいです。
この概念には運命の赤い糸は1本であるという前提があります。
この”1本の赤い糸”、つまり運命的な出会いは生涯に1回しかない、という思い込みがパートナーの選択を困難にしているという考えがあります。
例えば赤い糸が1本であると考えた場合、良い人に出会う度に「この人で良いのだろうか、もっと良い人がいるかもしれない」と疑うことができてしまいます。これに対抗する考え方が「赤い糸20本説」です。
赤い糸20本説とは?
これは自我心理学者の大野久という人が考えた配偶者選択関する考え方です。
名前の通り、人の一生のうち、結婚して幸せにやっていけそうな人は20人くらいはいるだろう、という説です。赤い糸1本説と同様に科学的な根拠はありません。
どちらを信じていたほうがより生きやすいかという気のもちようの話です。大野によれば、赤い糸20本説は以下のように説明されています。
人は一生のうち、可能性のある20人のうち誰と結婚しても同じくらいの幸せを築き上げることができる。特別な白馬の王子さまが合われることはない。ちょうどいい人と結婚することで、一般的な幸せを得ることができる。さらに、幸せには特別によいということはなく、幸せとは皆一様なものである
(大野、2010、pp106-107)
幸せは白馬の王子さまがもたらしてくれるものではなく、2人で築き上げるものであるという考え方が反映されています。
赤い糸20本説を信じるメリット
出会いを大切にできる
赤い糸が1本だと ”この人で良いのかどうか” ということに疑いや不安を抱いてしまいますが、20本あると思えば、この人も運命の人かもしれないと楽観的に考えることができ、今ある出会いを大切にできます。
また、結婚後に素敵な人と出会ったとしても、”たまたま20人のうちの1人がこのタイミングで現れただけで、自分の選択は間違っていない”と考えることができます。
配偶者以外の人に魅力を感じた時に罪悪感を感じない
浮気を良しとしているわけではありません。運命の出会いは20回あるのだから、結婚後に人を好きになることがあってもおかしくはないので、恥じることはないということです。
そこからどのような行動にでるかは、本人の理性の問題であると、大野は言っています。そこには周りの人の幸せを考えられるかという「愛する能力」の問題であると。
別の考え方をしてみましょう。
仮に結婚後に運命の人が現れたとしても、当人はすでに1人の運命の人と出会い、結ばれ、様々な経験をともにしています。そこには運命であることに加え、一緒にいた時間が積み重なっていて、その人は他の人が持ちえないものをすでに持っています。その時点で、その人は特別な存在で、唯一の運命の人になっている、とも考えることができるのではないでしょうか。
何が言いたいかと言うと、赤い糸が20本あると考えれば、
たった1度の運命かどうかもわからない出会いに病的にこだわることなく、いい感じの時に出会ったいい感じの人が運命の人になる
と考えることができます。
まとめ
運命の赤い糸20本説、いかがでしたでしょうか。
恋愛は相手あってのことなので、自分がベストを尽くしても、うまくいくこともあればいかないこともあります。悲観的になりすぎて悩むくらいであれば、このような考え方をもって前に進んでいくほうが建設的なのかもしれません。
パートナー選択に悩んだ時は、この考え方を思い出してみてください。
参考書籍