異性のタイプとは過去の重要な人物に対する感情の転移
フロイトが創始者である精神分析という学問をご存知でしょうか。人の無意識に着目して心の動きを説明しようとする学問です。
精神分析的にはタイプとは ”過去の重要な人物に対する感情の転移” と考えられています。転移とは、過去の感情を現在に移して感じていることを言います。
ここで言うところの重要な他者とは、”異性の親”です。
いやいやいや
と思った方も多いかもしれません。実際私もピンとこないところが多いです。女の子は父親に似た人を好きになる、といったことが話のネタとして上がることがありますが、これはまさしく過去の重要な人物に対する感情の転移です。
では似ていれば似ているほどいいのか、それはNO!です。いくら異性の親に似ている人を好きになりやすいとはいえ、似すぎていてはいけないようです。その理由は近親相姦的不安であり、親にそっくりの人は気持ちが悪いということです。そっくりではないけれど、ある程度似ている人が好きなタイプとなります。
カップルの顔が似るのはなぜか
もちろん全然違う顔の人もいますが、なんとなく似てるカップルって多い気がしませんか。これはなぜかというと、 ”異性の親と似ている=自分とも多少は似ている” ということです。
そりゃ誰だって親の遺伝子を受け継いでいるので、親と自分は多少は似ています。その異性の親と似ている人を選んだとしたら、自分とも似ているのは納得できます。これが似た者カップルが現れる理由の1つです。
もちろん親近感とか、似ている者同士が惹かれあうということは社会心理学的にもいわれているので、タイプだけで似たものカップルを説明することはできないのですが、理由の1つとしてはありそうです。
ちなみに精神分析は心の無意識の動きを説明するものなので、このタイプについても無意識な側面が強いです。そのため、意識せずとも知らず知らずのうちに魅かれ、その時に異性の親に似ていると意識していなくても、10年くらいしてよーく見たら似てるな、なんてこともあるようです。
しかし、勘のいい人なら気がついたかもしれませんが、同じ異性の親を持つのに、兄弟でタイプが違うことがあるのはなぜ?と思いませんか?
きょうだいで異性のタイプが違うことがあるのはなぜか
これは、過去の重要な人物が、当人のエディプス期の異性の親であるからと言われています。
例えば5歳年が離れた兄弟の場合、兄が3~5歳の時の母親と、弟が3~5歳の時の母親は多少は違っていることが考えられます。
顔のつくりは大きく変わりはしないでしょうが、髪の長さ、体型、性格は時間的にも変わっていきます。この差が兄弟でもタイプが違うことがある理由となります。
孫が死ぬほどかわいい理由
話は少し変わりますが、たいていのお爺ちゃんお婆ちゃんって孫のことをすごくかわいがりますよね。
これは息子・娘が自立し、世話を焼く先が孫に集約するから、ということも言えるのですが、今回説明したタイプという現象からも説明することができます。
タイプが過去の重要な人物に対する感情の転移、であることはもうお分かりいただけたと思います。ここでは仮に、Aさん(男)がタイプの女性と結婚し、子供をもうけたとしましょう。
まずAさんのタイプは異性の親に似ている人なので、Aさんの奥さんはAさんの母親と似ています。Aさんの母親と似ているAさん自身と、Aさんの奥さんとの息子or娘はもちろんAさんの母親に似ています。
つまりこの息子or娘はAさんにとって最高のタイプなのです。
- 母親≒Aさん
- 母親≒奥さん
- Aさん≒奥さん
- その子供=タイプの集合=超タイプ
ここでその子供が相手を見つけ、子供をもうけたとしましょう。つまり孫の誕生です。
もうお分かりだと思いますが、もしAさんの子供が息子の場合、タイプはAさんの奥さんになります。そのためこの孫は、Aさんにとって超タイプである息子と、タイプである奥さんに似ているので
ウルトラミラクルスーパータイプ!!
ということになります。だから死ぬほどかわいいとか。
もちろん他にも要因はありますし、実際のところ息子のパートナーが全然違う系統の顔である可能性もあるので、一概には言えないのですが、孫がかわいい理由をタイプという視点から説明することもできるという話でした。