この記事では「メンタルヘルス研修」が企業にとって「義務であるか」、「意味・効果はあるのか」、そして「費用・値段の相場」について解説していきます。
メンタルヘルス研修を企画する人事厚生担当者の向けの記事です。
メンタルヘルス研修は「義務?」「無意味?」「いくら?」
メンタルヘルス研修に法律上の義務はないが、やった方が良い
いわゆる「安全配慮義務」と呼ばれる「労働契約法5条」は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定しています。
この「生命、身体等の安全を確保」のなかに、心身の健康(メンタルヘルス)が含まれると考えられています。
企業が安全配慮義務を怠ったと認められる条件には以下の3点があります。
- 使用者の具体的な認識にかかわらず、労働者に発生した損害の発生が予見可能であったこと
- 使用者が損害の結果回避義務を果たしていないこと(安全配慮義務違反に対する故意または過失があったこと)
- 義務違反と損害との間に因果関係があること
つまり、明らかにこのままだとメンタルヘルスに悪影響があると予測できるにもかかわらず、それを回避することを怠った場合、安全配慮義務を怠ったと認められる可能性があります。
具体例を言えば、残業が月に100時間を越え、ストレスチェックでも高ストレス者になっているにも関わらず、組織として何ら対処しない、などがあるでしょう(極端な例ですが)。
文字ずらだけで言えば、メンタルヘルス研修は義務となっていません。
しかし、上記のような安全配慮義務に伴う「損害回避のために行う管理者によるラインケア」の知識は、「メンタルヘルス研修」を行うことで身につくものです。
それを踏まえると、メンタルヘルス研修は法律上は義務ではないが、安全配慮義務を果たすため、職員に対する知識付与の機会として実施すべきである、と言えます。
メンタルヘルス研修は無意味か?
次にメンタルヘルス研修に意味・効果はあるのかという点についてですが、あると言えばあるし、ないと言えばない、と私は思っています。
「誰のための意味か」、これによって答えが変わります。
例えば非常につまらない内容の研修をやったとしましょう。その場合、聞いている職員にとっては時間の無駄です。意味はありません。
しかし、会社としては、メンタルヘルス研修を行った(≒メンタルヘルス対策をしている)という実績になり、意味があると言えてしまいます。もちろん職員に響いていなければ望ましくないことですが。
ここからは内容が充実した研修であるという前提で進めます。
次のような意味があると考えます。
- 職員のメンタルヘルスリテラシーが高まり、健康的に職務を遂行できる(いわゆるプレゼンティズムの解消)
- 組織のパフォーマンスが上がる
- メンタル疾患による「休職」や「離職」を防止できる(いわゆるアブセンティズムの解消)
- 職員皆が精神的に健康であれば、組織の雰囲気は良くなる(はず)
- 研修講師が組織内の「心理職」や「保健師」等であれば、相談に行ってみようかなと思える(顔の見える関係になれる)
組織内にメンタルヘルスの専門家がいれば、外注するよりその職員にやってもらった方が良いです。たまに外部の先生呼ぶのもマンネリ解消で良い時もあります。
メンタルヘルス研修はいくらかかる? 費用相場
費用・料金については内容や時間、受講人数などが関わるため、見積もりをしてみないとわからないと思われます。
一応調べてみたところ、以下のサイトが見つかりました。講師を派遣する場合は概ね「1時間あたり3万円」が相場のようです。
職員が個別で申し込む「公開講座」という形態もあり、最近では「オンライン」で参加できるものも増えています。
例えばメンタルヘルスサービス大手のインソースではセルフケア1日で「26,400円」でした。
https://www.insource.co.jp/bup/bup_mental_self.html
以上、メンタルヘルス研修は「義務?」「無意味?」「いくら?」について、ざっとまとめてみました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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