うつ病等のメンタル疾患を抱えた職員の復帰は本人も大変ですが、「不調者の同僚」の心中も複雑なものです。「接し方」にも悩むことでしょう。
例えば、真面目で頑張り屋のAさんがオーバーワークでうつ病になったとしましょう。恐らく「みんなでAさんの復職を応援しよう」というムードになります。
一方、大した負荷を与えていないにも関わらず、嫌な仕事から回避するように適応障害で休職したBさんがいたとしたらどうでしょうか。
同僚もなかなか納得できず、理解が深まらないかもしれません。「なぜあいつばかり手厚く配慮されているのだ?」という不満を持つこともあるでしょう。
組織内心理職は不調者の味方になると同時に、この同僚の気持ちを想像することを忘れてはいけません。組織の全員がクライアントだと思って支援するのがその役目です。
上司は同僚に「普段通り仕事をしている君たちの方が大切だから、不満があれば私に言うように」くらいのことを言ってあげられることができれば、一見非情に見えても、逆に同僚不満を抑え、不調者への支援が円滑になると私は感じています。
前置きが長くなりましたが、上司は本人の個人情報に配慮したうえで、以下の点を同僚職員に説明してあげることで、復職支援がスムーズにいく可能性を上げることができます。
同僚の方は、上司がもしちゃんと説明してくれなかった場合、答えてくれるかは別として、聞いていいと思います。
うつ病等の職員が復職する時に同僚・上司が気を付ける10のこと
1.簡単な経緯を周知する
病名は伝えなくていいですが、心身の疲労でX年Xヶ月(期間入る)自宅療養していた等は説明しましょう。
2.復職後の勤務時間計画を周知する
大体の休職者は時短勤務で復帰します。
すんなりフルタイムに戻れれば問題ないのですが、思うようにいかず、時短勤務が長期化すると、課内に「いつまで楽してるんだ?」という空気がでることがあります。
そのため、予定している範囲で良いので、いつからいつまで時短勤務すること、勤務時間を段階的に伸ばすこと等を伝え、計画をオープンにしておきましょう。
3.プライベートを尊重する
休職時の生活や病気のことは詮索しないようにしましょう。
4.業務的な会話は問題ない
業務に関することは他の職員と同じように話して問題ありません。というか、仕事をするために復帰するのですから、必要であれば仕事の会話はしないといけません。
当たり前ですが、威圧的な伝え方は避けましょう。
5.本人がいない間のことをさりげなく教えてあげる
休職期間が長期の場合、休職直後から復帰に至るまでの間に、社内の決まり事が変わっている場合もあります。
同僚はそれらをさりげなく教えてあげられると良いです。それにより、本人がチームの一員であると感じられることが大切です。
もちろん「あなたがいないから大変だった」等と責めるような発言はストレスになるので意味がないです。
6.業務量のコントロールは管理監督者に任せる
業務量は管理監督者がコントロールするので、復職した職員に仕事を振りたいときは先に監督者に相談しましょう。
7.日常会話は問題ない。普通に接していい
うつ病等の不調者であっても、8割程度回復していれば日常的な会話1つで落ち込むことはないと思って構いません。
無論、本人のうわさ話等、傷つけるような発言は禁止です。
8.気を使いすぎてコミュニケーションがない状況は避ける。
話しかけない方が良いかな?と思う気持ちはわかります。
しかし、全く放っておかれると、腫物扱いされているようで余計に調子が悪くなる場合が多いと私は思います。
というより、多少話しかけて疲れてもらった方が、良いリハビリになります。
もちろん何を話していいかわからないときは、ビジネスライクな接し方で構いません。自分の仕事のペースを乱してまで、対応に悩む必要はありません。
9.困ったら管理監督者や職場内の心理職や保健師に相談する
自分だけで考えるとどうしたらいいかわからなくなることもしばしばあります。いつでも管理監督者や職場内健康管理担当者等に相談してください。
10.突発的に休んでも咎めない
復職後の職員は好不調の波が激しいです。ケガから復帰した野球選手もそんなにすぐに結果を出せないのと一緒です。
安定してくるまでは疲労が抜けず、有給休暇取得がしばしばあることは念頭に置いておきましょう。事前にこのことを知っておけば、「また休みかよ」という不満を抱かずに済みます。
他にも職場復帰支援関係の記事がありますので是非見ていってください。
https://motose-shinrishi.com/io-mental-3-1.html
https://motose-shinrishi.com/io-mental-3-2.html
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