カップルが別れる原因としてよく言われるのが“価値観の違い”というやつですが、価値観って何か説明できますか?
今日はそんな漠然とした価値観ということを比較文化心理学に基づいて解説していきます。
■価値観とは何なのか
ちなみに価値観という言葉を辞書で引くと以下のように書いてあります。
“いかなる物事に価値を認めるかという個人個人の評価的判断”
※出典:Weblio(大辞林)
意外とよくわからないですね。
比較文化心理学で価値観を説明する際に使われるのが、Hofstedの文化概念のたまねぎ型モデルというやつです。
簡単に言うと、文化には目に見えるレベルと目に見えないレベルがあり、目に見えない部分が価値観ということです。
以下のサイトで詳しく解説されているので、ご参照ください。
グローバル人材と文化(3) たまねぎ型モデル
価値観の正体
じゃあその価値観って何ぞやということですが、言葉にすると、文化のもっとも中枢にある、ある状態がほかの状態よりも好ましいと思う傾向のことと言うことができます。
この価値観を知る手段の一つが、なぜなぜを繰り返すことです。
例えば、なぜこのブログを見ているのか?⇒心理学に興味があったから⇒なぜ心理学に興味があるのか?⇒人の心が理解できると思ったから⇒なぜ人の心を理解したいのか?⇒心が理解できると対人関係が良くなりそうだから⇒なぜ対人関係を良くしたいのか?⇒生きていくうえで必要だから⇒なぜ必要なのか?⇒必要だと思うから
このようにもう「そんなの当たり前だ!」となったところが、文化的に共有された価値観、信念と言うことができます。
子供は10歳くらいまでに基本的な価値体系を身につけるといわれています。
価値観は普段他の文化の人々から直接観察されることはないですが、価値観は様々な環境のもとで人々がとる行動様式から推論することができます。
■価値観の基準にはどんなものがあるのか
初期の比較文化心理学研究では、“特定の文化の成員が、特定の社会行動をとるのはなぜか?”という問いに基づいていました。
そこで1960年代~72年代にかけて、多国籍企業IBMで世界53カ国で働く社員(約11万7千人)を対象に大規模な調査を行ったところ、4つの文化的次元が抽出されました。
・価値観の4つの文化的次元
①権力格差の大小
権力格差とは、それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状況を受け入れている程度のことです。
大きいとピラミッド型になり、小さいと組織は分権化され、フラットになると言われています。
②個人主義と集団主義
これは個人と集団どちらの利害を優先している社会かということです。
③男性らしさと女性らしさ
“男性は外で仕事をし、競争を好み、たくましい”、“女性は家事や育児や人間関係全般に関心を持ち、やさしい”といった性役割感が強調される程度のことです。
④不確実性の回避の強弱(リスク志向度)
これはある文化の成員が、不確実な状況に対して脅威を感じる程度のことを意味します。
この4つの中で最も研究されているのが個人主義―集団主義次元であり、断トツで多いです。
これは西洋と東洋の文化的な差異をうまいことを説明できるようにみえるためで、両文化で心理傾向や行動がどう違うかについて膨大な研究を生みました。
ちなみにその背景には
・第2次世界大戦とその後のアジア地域における諸紛争での自己犠牲攻撃
・驚異的な経済成長の背後にあった東洋の国の就業形態が、欧米のそれとかけ離れた集団主義的なものであった
などが考えられているようです。
これらの4つのそれぞれの軸に関する解説はそのうち書いていこうと思います。
■まとめ
・価値観
文化のもっとも中枢にある、ある状態がほかの状態よりも好ましいと思う傾向のこと。
なぜなぜを繰り返し、そんなの当たり前となったところがその人・文化の価値観。
読んでいただきありがとうございました!