アンガーマネジメント

【簡単】親のアンガーマネジメント7ステップ【怒る子どもに対して】

いつも子どもに対して怒ってしまう自分をなおしたい…。親のアンガーマネジメントがいいって聞いたけど、横文字で難しいし、意識高い人がやる対処方法な気がして勉強する気にならない…。なんで私ばっかり頑張らないといけないのよ…。もうどうしたらいいの…

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 親のアンガーマネジメント7ステップ
  2. 子どもに対して怒ってしまった後の神対応とは?
  3. 子どもが怒る裏の気持ちを知ると親の心に余裕ができる話

 

記事の信頼性
私は現在、児童精神科でお子さんのカウンセリングや心理検査を行っている臨床心理士・公認心理師です。年間のカウンセリング回数は約800回。衝動性や怒りのコントロールが難しいという悩みで来院されるお子さんや保護者の方は多く、アンガーマネジメントの対応案件も多々あります。

子どもに対して冷静に対応するのは、大人といえども難しいものですよね。私はカウンセラーですが、お恥ずかしい話、病院で子どもにキレそうになったこともあります(子どもが他の部屋に突然入ったり、本気で顔面にボールをぶん投げられたり…)

アンガーマネジメントは高級で意識高い人がやるもの、と思っている方がいるようですが、身構えなくて大丈夫です。何なら、ネットを探してこの記事にたどり着いた時点で、皆さんも意識高いかもしれません。

ポイント

この記事を読むことで、親のアンガーマネジメントを習得でき、お子さんに対してこれまでより冷静に対応できるようになります。皆様が精神的な安定をゲットするためにサポートさせていただきます。

じゃあ始める前に、まず深呼吸しましょう~

「すーーーーーーはーーーーーー」

では、レッツ、心理教育っ!

親のアンガーマネジメント7ステップ

この記事では、以下の7ステップで、怒る子どもに対する親のアンガーマネジメントを解説します。

「アンガーマネジメント」を1から10まで習得しようとすると色んなことを覚える必要がありますが、本記事ではやりやすいようにアレンジして簡単にしています。

  • ステップ1:勢いで行動しないために一瞬間をとる
  • ステップ2:刺激を取り除き、子どもの安全と聞く準備をととのえる
  • ステップ3:目を見て、出来事と子どもの気持ちを聞く
  • ステップ4:ステップ3で聞いた子どもの気持ちを子どもに伝え返す+お礼
  • ステップ5:次に同じことが起こった時に取るべき行動を一緒に考える
  • ステップ6:お話しできてえらい、と子どもをほめる
  • ステップ7:【超重要】子どもに対応した自分にご褒美

具体例を示しつつ、1つずつ解説していきます。

ステップ1:勢いで行動しないために一瞬、間をとる

子どもに激怒しそうになったらまず、数秒~数十秒の間を取りましょう。

勢いで子どもに対して怒り散らさないためです。

これがかの有名なアンガーマネジメントの「6秒待つ」というテクニックです。

6秒待つと怒りが治まるというのは誤解で、衝動で行動しないために間をとると捉えてください。

ちなみに必要であれば10秒でも1分でもかまいません。

ステップ2:刺激を取り除き、子どもの安全と聞く準備をととのえる

次に子どもに対する外的な刺激を取り除きましょう。

子どもの安全を確保し、親の話を聞いてもらう状態をつくるためです。

具体的にはきょうだいげんかならお互いが見えないところにつれていく、などです。

事務的に淡々と行いましょう。6秒待った今ならできるはず。子どもがうるさければこの時だけ耳栓しても良いかと思います。

ステップ3:目を見て、出来事と子どもの気持ちを聞く

目を見て子ども目線になり、起こった出来事と子どもの頭に浮かんだ気持ちや考えを聞きます。

しっかり聞くことで、お子さん自身が心の整理ができますし、親も状況を把握できるためです。

具体例

「(目を見てしゃがんで)何が起こったの?」「それから?」「その後は?」「○○はその時どんなこと考えていたの?」「どんな気持ちになっていたの?」

ポイント

お子さんにとって「気持ち」という言葉が難しいようであれば、「頭に出てきたことばを教えて」でも良いかもです。

私自身イラついちゃって難しいんですけど…

という親御さんは、ママ友の子どもだと思って対応するとよいかもしれません。どうしても自分の子どもだと親が子どもに甘えてしまい、対応がぞんざいになりやすいためです。

出来事➝子どもの気持ち・考えの流れで情報を聞きましょう。

ステップ4:ステップ3で聞いた「子どもの気持ち」を子どもに伝え返す+お礼

ステップ3で聞いた情報を親が言葉にして伝え返します。

子どもに対して「受け止めてもらえた」「わかってもらえた」という安心感を与えられますし、子ども自身も何が起こったのかを冷静に見つめるきっかけになります。

「お兄ちゃんがゲームを貸してくれなくて手で押して転ばせたのね(出来事)、むかついて死んじゃえって思うくらい怒りがわいてきたのね(気持ちの伝え返し)」

子どもにとって自分の過ちを認めるというのは恥ずかしいことですが、自分の過ちを認めることは社会適応で大切なことなので、今後も続けて欲しいですよね(大人でもできてない人が大勢いますけど)。

なので、親御さんが出来事と気持ちを伝え返した後に、お子さんをほめて、大切なことだとわかってもらうとさらにGOODです。

具体例

「お兄ちゃんがゲームを貸してくれなくて手で押して転ばせたのね(出来事)、むかついて死んじゃえって思うくらい怒りがわいてきたんだね(気持ちの伝え返し)。教えてくれたありがとう、お母さん嬉しいわ」

子どもの気持ちを子どもに伝え返す+お礼で子どもの自我を育てましょう。

ステップ5:次に同じことが起こった時に取るべき行動を一緒に考える(子どものアンガーマネジメント)

子どもを受けとめた後は、次に同じことが起こった時に取って欲しい行動を伝えます(新しい行動ルールの設定)。

子どもの問題解決スキルやアンガーマネジメントスキルを伸ばすためです。自立した大人になるために訓練とも言えますし、母がこれ以上めんどうに巻き込まれないためでもあります。

具体的な対処は出来事によってケースバイケースですが、子どもに対して対処行動リストを見せ、できそうなことを親子で一緒に考える、というのは1つの手です。

私のtweetで1番バズッたコーピングリスト(気持ちを抑える対処方法リスト)を載せておきますのでお子さんと一緒に参考にしてみてください。

>>モトセのtwitterはこちら

「次はこうやって言おうね」などと相手に対する気持ちの伝え方を考えるのも良いですね。

具体例をたくさん知っておくと柔軟に対応できるので、アンガーマネジメントの本を頼るのも良いかもです。

残念な話ですが、出来事というのは多くの場合、他の相手も関わっているため、本人がいくら頑張ってもうまくいかないこともあります。例えばきょうだいげんかで考えると、兄がどんなにアンガーマネジメントを頑張っても、弟がめちゃくちゃ暴れるお子さんだったら喧嘩を止めるのは難しい時もあります。

ですが希望は捨てないでください。一度では難しくても、何度も繰り返すことで少しはましになるケースはたくさんあります。

ステップ6:お話しできてえらい、と子どもをほめる

次に同じ出来事が起きたときに取る行動を決めた後は、一連の話し合いができたことをほめます。

親は子どもを冷静にさとしているつもりでも、お子さんは「親に怒られた」と感じていますし、内心は、なんで私がという怒り、怖さ、不安、緊張、恥ずかしさ、などがごちゃっとしています。それに耐えて話し合えたことをほめて労うことで、感情をコントロールする力を育てることができます。

地道ですが、ボディブローのように効いていきますよ。

「お話し頑張ったね」などとニコっと伝えるのがよいようです。

ステップ7:【超重要】子どもに対応した自分にご褒美

超大切なことを言います。

ここまで一連の子どもに対する親のアンガーマネジメントを実行した自分自身をほめて労いましょう!

なぜこれが大切かと言うと、親自身がアンガーマネジメントを継続するためです。自分へのご褒美がないとやってられません。私は毎日、仕事が終わったら自分へのご褒美を用意していますよ。大抵はアイスかチョコレートです。甘い物大好きなので。

「終わったら自分を甘やかすこと」も親のアンガーマネジメントの1つだと思ってください。

個人的にはリンツがおすすめですね~

まとめです。

  • ステップ1:勢いで行動しないために一瞬間をとる
  • ステップ2:刺激を取り除き、子どもの安全と聞く準備をととのえる
  • ステップ3:目を見て、出来事と子どもの気持ちを聞く
  • ステップ4:ステップ3で聞いた子どもの気持ちを子どもに伝え返す+お礼
  • ステップ5:次に同じことが起こった時に取るべき行動を一緒に考える
  • ステップ6:お話しできてえらい、と子どもをほめる
  • ステップ7:【超重要】子どもに対応した自分にご褒美

そうは言っても親御さんが怒ってしまうこともありますよね。そんな時の事後対応について少しお伝えしていきます。

子どもに対して怒ってしまった後の神対応とは?

親のアンガーマネジメント7ステップを知っていても常に実行できるとは限りませんよね。親だって調子が悪い時はありますし、怒りをコントロールできないことも誰だってあります。

そんな時は以下の3つでフォローしてみるといいかもです。

  1. 家族の力を借りて母の思いを伝える
  2. 自分の子どもに求めるものに無理がないか見直す
  3. 小さな目標とご褒美を決めてトライ

①家族の力を借りて母の思いを伝える

この記事では母の皆様を読者として想定しているため、母目線で書きます。

子どもに怒鳴り散らしてしまった事後対応として、父や他のきょうだいなどの家族の力を借りて間接的に思いを伝える方法があります。

母子で険悪になっている場合、直接子どもに思いを伝えても受け止めてもらえない可能性があるためです。

具体例

父から「お母さんめちゃくちゃ怒ったらしいけど、反省していたし、本音は○○を助けたかったみたいだよ」などと伝えてもらいます。

ポイント

伝える人を変えることで、子どもの母親像を肯定的なものに変えるアプローチをとるわけです。自分だけで頑張らない、これ大切です。

父やきょうだいが非協力的な場合はできないかもしれませんが、教師やカウンセラーなどの力を借りることもできますので、頭の片隅に入れておいてください。

②自分が「子どもに求めるもの」に無理がないか見直す

母が子どもに対する高い理想が怒りを生み出しているかもしれません。

これもアンガーマネジメントのスキルの1つですが、「~~するべき」という考えを見直してみることも手です。

具体的にはノートなどに自分の率直な考えを書き出すのが効果的です。

  • 怒らない人になって欲しい➝ちょっと無理かぁ
  • 人に対しては優しくするべき➝いつもは無理かぁ
  • ゲームしすぎると脳が腐るからやるべきではない→ゲームが息抜きならある程度の時間なら良いかぁ

等と考えを見直してみると、親の許容できる範囲が増えて怒らずに済むこともあるかもしれません。

③小さな目標とご褒美を決めてトライ

親自身に怒ってしまった後悔があるのであれば、次はこうしよう、という小さな目標を決めるとよいかもしれません。

なぜなら、同じ過ちを繰り返さないためです。

具体的には、「今日はすぐ怒っちゃったから次はとりあえず10秒待ってから考えるか」「出来事や気持ちを聞けなかったから、次は「何が起こったから教えて」と言おう」などです。

同時に、それができた時の自分へのご褒美も用意しておくといいかもです。

最後に、子どもの怒りの裏にある気持ちを紹介して終わりたいと思います。

子どもが怒る裏の気持ちを知ると親の心に余裕ができる話

子どもは何に怒ってるんだろう…

とわからなくなってしまうこともあるかもしれません。

そんなときは「怒りは2次感情」であることを覚えておくことが役に立ちます。

  • 1次感情:本人が気づいていない本当の感情(怒りの奥の感情)
  • 2次感情:怒り、苛立ち

1次感情の具体例

  1. 悲しかった
  2. 悔しかった
  3. 恥ずかしかった
  4. 惨めだった
  5. 傷ついた など

お子さんは1次感情を認めると、自分の心が揺らいでしまうので、怒りという防御反応をとっている、と捉えるのです。もちろん親御さんにも1次感情があるので、「自分は本当は悲しいと感じているんだな」などと自己理解を深めるためにもこの知識は役に立つはずです。

別の考え方としては、人間は原始人だったときに怒って心拍数を上げて敵(熊とか強い動物)と戦ってきたので、怒りは生存に繋がる本能として強くのこっているのとも言えます。

現代社会では1次感情を素直に伝える方が関係維持に有効なのですが、1次感情と2次感情なんて誰も教えてくれないですし、知らなくても無理ありません。

何が言いたいかと言うと、子どもが何に怒っているかわからなくなった時に、1次感情を想像してみることで、「あーそういうことか」と腑に落ちて、子どもに少し優しくできるかもしれない、ということでした。

 

本記事のまとめ

①親のアンガーマネジメントのやり方7ステップ

  • ステップ1:勢いで行動しないために一瞬間をとる
  • ステップ2:刺激を取り除き、子どもの安全と聞く準備をととのえる
  • ステップ3:目を見て、出来事と子どもの気持ちを聞く
  • ステップ4:ステップ3で聞いた子どもの気持ちを子どもに伝え返す+お礼
  • ステップ5:次に同じことが起こった時に取るべき行動を一緒に考える
  • ステップ6:お話しできてえらい、と子どもをほめる
  • ステップ7:【超重要】子どもに対応した自分にご褒美

②子どもに対して怒ってしまった後の神対応とは?

  1. 家族の力を借りて母の思いを伝える
  2. 自分の子どもに求めるものに無理がないか見直す
  3. 小さな目標とご褒美を決めてトライ

③子どもが怒る裏の気持ちを知ると親の心に余裕ができる話

怒りは2次感情。1次感情に思いをはせると腑に落ちるかも。

  • 1次感情:本人が気づいていない本当の感情(怒りの奥の感情)
  • 2次感情:怒り、苛立ち

本記事で紹介した書籍は以下です

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  • この記事を書いた人

モトセ

臨床心理士です。最近は不登校支援に力を入れています。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。 noteでは不登校のお子さんに対する具体的な関り方をプログラム形式で書いています➝noteはこちら

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