発達障害

【ADHD編】WAIS/WISC結果の特徴4点【対策も解説】

会社でミスを連発して上司から発達障害か調べてこいと言われた…
病院ではADHD(注意欠如・多動症)かもしれないというのでWAISという知能検査を受けたけど、どうやって判断するのだろう…

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 発達障害の診断で医師が診る3つのポイント
  2. ADHDにおけるWAIS結果の特徴4点
  3. ADHDと診断されたらやれると良い3つのこと

 

私は医療機関で心理職として勤務し、日々医師の先生と情報交換を行っています。
年間100件以上の心理検査を実施してるので、発達障害と診断された方の検査も数多くとってきました。

大人でも子どもでも発達障害に特徴的な結果は概ね同じですので、WAISはWISCと読み替えてもらって差し支えありません。

では、解説していきます。

発達障害の診断で医師が診る3つのポイント

医師は発達障害について、主に以下の3点から総合的に判断して診断をします(実際に医師に聞きました)

  1. 幼少期から現在にかけての問題行動のエピソード
  2. 診察でご本人と関わった際の印象(行動観察)
  3. 知能検査や性格検査などの心理検査の結果

 

詳しくは以下の記事をご覧ください。
WISCで差が大きいと発達障害なのか?【医師の判断基準3点】

 

ADHDにおけるWAIS結果の特徴4点

ADHDは「不注意・衝動性」と「多動性」を主な症状としています。
大人のADHDで問題になるのはほとんどが不注意症状です。

代表的なADHDの不注意症状

  • 注意や集中ができず、ケアレスミスが多い
  • 指示や決まりごとを覚えていない、忘れてしまう
  • 物をなくしたり、置き忘れたりする
  • 段取りが苦手でやるべきことを先延ばしにする
  • 片付けが苦手で家がゴミ屋敷
  • 締め切り等の約束を守れない

ADHDの方にWAISを実施すると以下4点の特徴が出やすいです。
※注意:WAISの結果だけでADHDか診断されることはありませんし、必ず以下の特徴が出るわけではありません。

  1. ワーキングメモリーが他の指標に比べて低い
  2.  処理速度が他の指標に比べて低い
  3.  検査中に回答の訂正が多い
  4. 「意識が飛んでいた」と言う

 

※特徴は一例であり全てではありません。また、必ず表れるとは限りません。

ワーキングメモリーが他の指標に比べて低い

ワーキングメモリーを一言で言えば情報の一時的な記憶力です。
パソコンでいう「メモリ」だと思ってください。

どのような仕事でも頭で色々と考えながら作業しますが、ワーキングメモリーが低い方は一時的な記憶力が低いため、指示や会話のやり取りが長くなると断片的にしか記憶できません。それが指示の聞き洩らしにつながり、「さっきこう言ったよね!」と上司に怒られやすくなります。

また、何かに集中すると、それ以前に記憶していた情報を忘れやすいため、忘れっぽさやケアレスミスといった不注意症状につながると言われています。

確実にとは言いませんが、ワーキングメモリーの低さはADHDの最大の特徴と言って良いでしょう。

ワーキングメモリーが平均以上あるのにADHD症状が出る場合については以下の記事で解説しています。
>>【図解】ワーキングメモリーが平均なのになぜADHD症状が生じるのか|漫画「リエゾン」の主人公を例に解説

処理速度が他の指標に比べて低い

処理速度は視覚情報の把握やその情報をもとに正確に作業する速さのことです。

処理速度自体が低い場合もありますが、ADHDの衝動性や不注意のために検査における記入ミスが増えることで結果として処理速度の得点が低くなる場合があります。

回答の訂正が多い

これは検査結果の数値に直接関係しませんが、ADHDの方は衝動的にパッと回答することが多く、「あ、やっぱりこっちで」等と回答を訂正することがしばしば見られます。

「意識が飛んでいた」と言う

記憶に関する検査中に「すいません、意識が飛んでました」と言う方が多い印象です。

理由を聞くと、前の問題について考えていたと答える方がほとんどです。恐らく、ワーキングメモリーが前の問題の振り返りで占領されてしまい、次の問題に集中できなかったことで意識が飛ぶという表現になるようです。1つのことへの集中力が高いことは長所ですが、過集中という没頭状態になることで他の情報へ注意が向けられないことは短所になりえます。

以上、4点お伝えしました。

もちろん、WAISの結果に上記の特徴が見られなくとも、現実の生活でADHD症状が出ており、それが幼少期から続いていたのであればADHDと診断されることはあります。

なぜ検査結果に表れない場合があるかというと、回答を注意して確認するなど、本人の努力でカバーできている場合があるからです。大人の場合、自分の努力で特性を見せないようにできていることがしばしばあります。

ADHDと診断されたらやれると良い3つのこと

自分の意志で医療機関を受診された大人の方は発達障害と診断されると納得し、安堵される方が多いようです。これまでの人生で直面した苦労の数々に「発達障害」という理由付けがされることで決着がついたと言っていた方もいました。

発達障害と診断された方は自分の生活を振り返り、失敗しないような工夫を考えることを目的として医師にカウンセリングを勧められる方もいます。私はそういう方には大人の発達障害サポートの要点として以下3点をお伝えします。

  1. 職場や家庭の環境調整
  2. 本を読んで自己理解を深め、失敗しないように工夫する
  3. カウンセリングで試行錯誤を振り返る

 

職場や家庭の環境調整

発達障害であることだけでなく、具体的な得意・不得意を職場の上司に伝え、部署や業務分担を自分のやりやすいものに変えてもらうといった配慮(合理的配慮)を求めることです。

苦手なことは努力や工夫して見えづらくすることはできますが、治せるわけではありません。向いてない業務をしている場合、適応を改善するのは無理ですので、職場の環境調整はほとんど必須だと思います。

本を読んで自分の特性を理解し、失敗しないような対策をする

大人の発達障害サポートの基本は「なぜこういうことをしてしまうのか」という内省(振り返り)ではなく、生活全般で失敗やストレスを減らすための現実的な工夫を探して実行することです。

子どもと違い、大人は自分で本を読んで対応策を考えることができます。幸いなことに、発達障害には先人たちがたくさんいて、関連する書籍もたくさんあります(むしろたくさんありすぎてどの本を選べばよいかわからない)。

私は「人生の攻略本」ですよと説明しており、多くの方が納得してくださいます。本は読者の方の好みがあるので本屋さんで立ち読みして決めたら良いと思いますが、ありすぎて何を読めば良いかわからない方はひとまず借金玉さんの本が良いと思います。内容がわかりやすいですし、何よりamazonレビュー1400件以上とダントツに反響が大きい本です。

司馬先生も発達障害の書籍で有名です。漫画で読める以下のADHD本は特におすすめです。

カウンセリングで試行錯誤を振り返る

対策方法がわかっても実際にやってみるとうまくいかないことは臨機応変が苦手な発達障害の方によく見られます。大切なのは1人で悩んで行き詰まらないことです。特にADHDの方は失敗体験が増えることで二次障害としてうつ病や適応障害を発症するケースが多く、失敗対策だけでなくメンタルケアも重要になります。

できれば専門家の方が的確なアドバイスがもらえるため、カウンセラーや産業医に相談することをお勧めします。どうか無理しないでください。

  • この記事を書いた人

モトセ

精神科・児童精神科クリニックの心理職です。他には学校、企業内で心理的支援の経験があります。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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