心理検査

【効率化】テストバッテリー組んでも心理検査の所見を効率的に書くための工夫

検査もカウンセリングも予約がぎっしりで所見を書く時間がない。

そんな悩みを抱える心理職の方も多いのではないでしょうか。

以前スーパーバイザーにそんな相談をしたところ「それは病院あるあるなんだよ」と言われたことがあります。そういうもんなんだなと腹をくくりました。

とは言え、所見は可能であれば短時間で効率よく書き上げたいものです。

この記事では私なりの、短時間で検査バッテリーを組んでいる所見を素早く書く工夫を紹介します。ただし私はロールシャッハをほとんどとったことがないのでロールは考慮してません。

主にPF、SCT、描画法(バウム、SHTP等)、質問紙(エゴグラム等)の組み合わせについて書きます。

テストバッテリー組んでも効率的に所見を書く工夫

以下は私個人の工夫であり、効率化を保証するものではないことをご理解ください。また、効率的に解釈すれば良いというものではなく、時間をかけて深く解釈することが求められる場合もあることをご理解ください。

①解釈する順番を工夫する

私なりに検査所見素早く書く工夫は、テストバッテリーのうち、投影水準が低いものから解釈することです。

理由は自分の場合、描画の読み取りに長けていないので、エゴグラムやSCT、PFスタディ等で受験者のパーソナリティ特徴にあたりをつけたいからです。

例としては、質問紙のエゴグラム→SCTやPFスタディ→描画法(バウムやS-HTP)という順に解釈して所見にします。描画法以外の検査である程度の情報が得られたと判断したら、描画は参考程度にして解釈に時間はかけませんし量も書きません。

しかし、受検者防衛が強く、質問紙やSCTなどでは情報が不十分な場合もあるでしょう。その場合はバウムなど描画の解釈に時間をかけ、パーソナリティを詳しく検討していきます。

質問紙と投影法では意識的な部分と無意識的部分という着眼点が違うのだから、解釈の順番どうこうの問題ではないと思われた方もいると思います。私は常にこの順番で解釈するわけではなく、ご本人の主訴や健康度などによって変えています。こういう考え方もあるのだなと思っていただけると幸いです。

②質の良い参考書で勉強する

順番をいくら工夫しても、ベースとなる解釈する力がなければ効率よく書くのは難しいでしょう。私が参考になったと感じた書籍を紹介いたします。

心理検査を支援に繋ぐフィードバック―事例でわかる心理検査の伝え方・活かし方[第2集] 

この本はとても良い本でした。実際の所見の例も載っているため、記載する分量ってこれくらいなのかと目から鱗だったのを覚えています。

治療的アセスメントの理論と実践―クライアントの靴を履いて 

この本は如何にしてフィードバックすることがクライアントにとって治療的になりうるのか、というテーマについて書かれたものです。

私は2020年家族心理学会で「治療的アセスメント」をテーマにしたワークショップに参加したことがあります。そこで香川大学の橋本先生が、フィン先生の治療的アセスメントについて説明されていましたが、心理検査をとる身としてはとても役に立つと感じました。

ナラティヴと心理アセスメント: 協働的/治療的につなぐポイント

フィン先生の理論を紹介している本ですが、日本人の先生が書いているので、フィン先生の本よりわかりやすいかもしれません。

以上です。

他にも心理検査について紹介した記事があります、是非ご覧ください。

心理検査

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  • この記事を書いた人

モトセ

精神科・児童精神科クリニックの心理職です。他には学校、企業内で心理的支援の経験があります。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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