心理検査

代表的な質問紙法の心理検査リスト(MMPI,YG,MPI,EPPS,MAS,STAI,BDI,SDS等)

代表的な質問紙法の心理検査についておさらいしたい。そもそも質問紙法のメリット・デメリットってなんだっけ?

そういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 質問紙法の心理検査とは? メリットとデメリット
  2. 代表的な質問紙法の心理検査の内容
  3. 心理検査の解釈やフィードバック(結果説明)を本格的に学ぶ方法

 

私は医療分野の心理職として年間100件以上の検査実施とフィードバックをしている身です。

なお、この記事では性格を評価するものから、「抑うつ」や「不安」など特定の感情状態を評価するもの、精神的健康度を評価するもの等、臨床心理学に関係あるものを載せています。

そもそも質問紙法とは?

そもそも質問紙法とは、あらかじめ定められた質問項目に回答してもらうことによりデータを得る方法のことです。

例えば、質問項目が”あなたは今気分がいい”(ただの例です)であれば、回答を以下から選ぶような形です。

1:まったく当てはまらない
2:あまり当てはまらない
3:どちらともいえない
4:やや当てはまる
5:かなり当てはまる

質問紙法のメリット

質問紙による性格検査は実施が容易

数値に〇をつければいいだけなのでとても簡単です。

・統計的な解釈がしやすい

質問紙で得られた結果は数値データなので、統計的な解釈がしやすく、客観性が高い分析が行えます。例えば抑うつ度が平均に比べて高いか低いかの判断が容易に判断ができます。

・検査者の主観や能力に左右されない

曖昧な刺激に対する反応をとらえる投影法は解釈が重要ですが、解釈は見る人によって変わることがあります。

しかし、質問紙のデータは量的データなので、主観に関係なく、だれが分析しても結果は同じになります。また、経験を積まないとうまく分析できないということもないので、検査者の熟練によって結果が左右されにくいです。

質問紙法のデメリット

・無意識の側面を捉えることがむずかしい

質問紙は回答者の考えに基づいて回答されるため、無意識面をとらえることが困難です。無意識のうちに防衛しているような場合、得られる情報は貧弱になってしまいます。

・嘘がつける

嘘つく必要性はないことがほとんどですが、つこうと思えばできます。また、自分を良く見せようとするといった社会的望ましさによって、回答の歪みが生じる可能性があります。

代表的な質問紙法による心理検査の紹介

ここでは大学院入試の記述問題対策用の「200字程度説明」を記載しています。

心理検査の実施・解釈には専門的な知識と経験が必要です。検査結果の解釈については、必ず専門家の説明・助言を受けてください。

MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory ):ミネソタ多重人格目録

ハザウェイとマッキンレイによって開発された性格検査尺度である。健常者と精神疾患を持つもので有意差があった質問項目で構成され、臨床場面で多く活用されている。自分を良く見せようとしていないか調べる質問や、めったに「はい」と答えることがない質問に「はい」と答えているかなどを調べ、回答の歪みや虚偽・脚色、精神的な混乱などがないかをチェックする妥当性尺度をもつ。550の質問項目、10の臨床尺度と4の妥当性尺度で構成されており、実施に時間がかかる。はい、いいえ、どちらでもないの3件法であり、どちらでもないは10個以下にするよう教示される。

・MMPIおすすめ書籍

協動的アセスメントで有名なフィン先生の本です。

さすがに値段が値段が高いので、こちらの方が現実的です。

YG性格検査

ギルフォードの性格検査を矢田部達郎が日本人用に標準化した性格検査であり、日本で最も多く使われている。120項目で12の性格特性を測定する。また、測定結果で5つの類型に分類することも可能である。はい、いいえ、どちらでもない、の3件法である。MMPIのように妥当性尺度がないため、回答の歪みを判断できないため、妥当性に問題がある。

YGは別記事で書いてますのでお読みいただければと思います。

MPI(モーズレイ人格目録)

アイゼンクが開発した質問紙法の性格検査である。モーズレイは病院名である。80項目を3件法で行い、情緒安定性である「神経症傾向」と社会性である「外向性-内向性」の2つの性格特性を測定する。回答の歪みを判断する虚偽尺度がある。

EPPS(Edwards Personal Preference Schedule )

エドワーズが開発した性格検査ための質問紙である。同程度の社会的望ましさを持つ文章が2つ提示され、どちらかを強制的に選択することで、15の性格特性が評価され、動機や欲求を測定する ことができる。強制選択法であるため、社会的望ましさによる回答の歪みを統制できる。質問項目としては、A:他人がびっくりするような大胆なことをしたい。B:他人の考えることを分析してみたい。などがある。しかし、精神病理学的な性格検査や異常心理の評価尺度としては、EPPS性格検査は使うことが出来ず、基本的に正常者の性格特性や欲求傾向の測定に用いるものである。

MAS(顕在性不安検査)

テイラーが開発した質問紙法の性格検査である。MMPIから不安に関する質問項目を抽出して作成された検査であり、日本語版は不安尺度50項目と虚偽尺度15項目からなる。

STAI(状態-特性不安検査)

スピルバーガーが開発した質問紙法の性格検査である。生活条件により変化する一時的な不安である状態不安と、生活条件に関係なく存在する特性不安を分けて測定する。状態不安と特性不安20項目ずつであり計40項目から構成される。

BDI(Beck Depression Inventory)

ベックが開発した抑うつの程度を測定するための質問紙であり、21項目からなる。最近の1週間における抑うつ状態の重症度を測定する自己記入式尺度であり、現在でも広く使われている。BDIはベックの“抑うつの本質は認知障害である”とする認知のゆがみ理論に基づいているため、抑うつ的認知に関する項目が多いのが特徴である。また、各質問は4件法であるが、1つの質問に対し、複数の選択肢に○をつけることができるため、採点方法もいくつかの方法が存在する。

SDS(Self-rating Depression Scale)

ツンクによって作成された自己評価による抑うつを測定する尺度であり、うつ病の評価によく使われる。内容は感情、感覚、気分、意志、身体状態のテストであり、20項目の質問からなる。回答は4件法で行われる。テスト用紙を被験者に渡す前にクライアントの印象を検査者が1から5までで評価するglobal ratingの欄があり、実際に実施したSDSの得点と面接時の印象を比較できるようになっている点が特徴である。

HRSD(Hamilton Rating Scale for Depression)

ハミルトンが考案したうつ病評価の質問紙検査であり、うつ病評価の尺度としては世界的に使用されているものである。略称はHAM-Dであり、17項目のHAM-D17、21項目のHAM-D21が主流である。この尺度は被検査者が記入する自己評価ではなく、検査者自身が行い検査者がクライアント一番に近いと思う項目を選ぶ検査である。HAM-Dを用いた構造化面接はSIGH-Dと呼ばれ、うつ病の重症度評価に国際的に最も使用されている。

GHQ精神健康調査票(The General Health Questionnaire)

GHQはゴールドバーグによって開発された、精神障害だけでなく、全体的な健康状態の把握が可能である質問紙検査である。ごく一般的な気分や健康状態や、内面に触れる質問に至るまで、様々な症状を包括的に評価することができる数少ない調査法の1つである。GQHは元々60項目であるが、短縮版も開発され、特に「身体的症状」、「不安と不眠」、「社会的活動障害」、「うつ傾向」の4因子について分析する28項目版は使用頻度が高い。

CES-D

一般人におけるうつ病のスクリーニングを目的として、米国国立精神保健研究所(NIMH)により開発された質問紙による自己評価尺度である。20項目からなり、過去1週間の症状の頻度を4件法で回答する。CES-Dは既存の尺度であるツンクのSDS、ベックのBDI、MMPIなどを参考に、項目の取捨選択を経て作成された点が特徴である。

エゴグラム(TEG)

エゴグラムについては別記事に詳しく書きましたので、良かったらご覧ください。

心理検査の解釈やフィードバック(結果説明)を本格的に学ぶ方法

個々の心理検査の研修やSVを受けることが大切ですが、そういった機会がない方は以下の書籍が参考になると思います。

フィードバックについては以下の書籍がおすすめです。

本ブログには質問紙法の他にも心理検査の記事がありますので是非ご覧ください。

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  • この記事を書いた人

モトセ

精神科・児童精神科クリニックの心理職です。他には学校、企業内で心理的支援の経験があります。最近は不登校支援に力を入れています。2022年4月にブログをリニューアルしました。お気に入りやtwitterフォローお待ちしています。

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